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ミシシッピー・バーニング

2013年11月11日 02時24分51秒 | 洋画1981~1990年

 ◎ミシシッピー・バーニング(1988年 アメリカ 128分)

 原題 Mississippi Burning

 staff 監督/アラン・パーカー 脚本/クリス・ジェロルモ

     撮影/ピーター・ビジウ 美術/フィリップ・ハリソン ジェフリー・カークランド

     衣装/オード・ブロンソン・ハワード 音楽/トレヴァー・ジョーンズ

 cast ジーン・ハックマン ウィレム・デフォー フランシス・マクドーマンド ケヴィン・ダン

 

 ◎1964年「Freedom Summer」

 どこの国にも差別はある。

 ただ、肌の色は民族の違いがありありとわかってしまうため、

 なによりも明確に差別の対象となる。

 欧米諸国のほとんどが経験したものだけど、

 なかでも、このアメリカ南部のミシシッピ州は、

 強烈な白人至上主義を持っていた場所のひとつだ。

 1964年6月21日、

 フィラデルフィアの郊外において、3人の公民権運動家が惨殺された。

 黒人の左官ジェムズ・チェイニー、

 ユダヤ人ボランティアの大学生アンドリュー・グッドマン、

 社会労務士マイケル・シュワーナーの3名で、

 犯人の中にはネショバ郡保安官の部局の一員までいた。

 ジョンソン大統領はジョン・エドガー・フーバーに対してFBIの出動を要請、

 8月4日、捜査員たちは、土盛ダムで運動家の死体を発見した。

 さらに別な黒人の死体も、捜査のかたわら、発見され続けた。

 この事実について、

 アラン・パーカーは現場をミシシッピ州ジュサップ郊外に移し、

 3人の公民権運動家が何者かによって惨殺されたことで、

 FBI捜査官のジーン・ハックマンとウィレム・デフォーが捜査に乗り出し、

 やがて差別主義者たちK.K.K.とFBIの全面的な対決となっていく話を作った。

 あまりにも凶暴な要素を包含した映像になった。

 さすが、アラン・パーカーっていうべきなんだろう。

 この映画が封切られた頃、

 アラン・パーカーの強烈さは頂点に達してた観がある。

 切れ味のするどいカッティングとボルテージの高い人物像は、

 たぶん、アラン・パーカーの好むところで、

 そういう激情に包まれた捜査官を、ふたりの役者がうまく演じてる。

 ただ、実際にミシシッピ州において勃発した事件は、

 どうやらFBIの大々的な出動は観られなかったとか、

 この時代に黒人の捜査官は存在しないとか、

 いわゆる辛口の批評はある。

 あるけど、そういう批評はちょっと的外れな気がするんだよね。

 映画作品ってのは、監督の心象風景を銀幕に映したもので、

 なにもかも事実どおりに作れるはずがない。

 いや、そもそもドキュメンタリだって、演出と編集で180度ちがった物ができる。

 映像にせよ、文章にせよ、

 ほんとうのノンフィクションがどれだけあるのかは疑問だし、

 この作品はあくまで実録物の雰囲気を湛えたエンターテイメントなんだから、

 ぼくらは、ミシシッピーの抱えてきた問題の端を垣間見て、

 アラン・パーカーの怒りようが感じられれば、

 それでいいんじゃないかしら。

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