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アメイジング・グレイス

2013年11月19日 11時41分04秒 | 洋画2006年

 ◎アメイジング・グレイス(2006年 イギリス 118分)

 原題 Amazing Grace

 staff 監督/マイケル・アプテッド 脚本/スティーヴン・ナイト

     撮影/レミー・アデファラシン 衣装デザイン/ジェニー・ビーヴァン

     ヘアメイク/ジェニー・シャーコア 音楽/デイヴィッド・アーノルド

 cast ヨアン・グリフィズ ロモーラ・ガライ ベネディクト・カンバーバッチ アルバート・フィニー

 

 ◎1787年5月、ウィルバーフォース活動開始。

 先に讃美歌Amazing Graceについてふれておくと、

 曲はアイルランドかスコットランドあたりの民謡を掛け合わせたものらしい。

 詞はジョン・ニュートンという牧師が書いた。

 1772年のことだ。

 ニュートンは1725年に生まれた。

 父親が船乗りだったもので彼もまた船乗りになり、奴隷貿易に従事した。

 でも1748年に嵐にあって神に祈ったことから心根が変わり、

 1755年についに船を下りて牧師になった。

 それで、Amazing Graceが作られたわけだけど、

 曲の中身は、

「神の恵みが自分を恐怖と苦悶と誘惑と愚昧から救ってくれた」

 っていうものだけど、もちろん、それは奴隷貿易の愚かさをいってる。

 さて、そこでこの作品だ。

 主人公はイギリスの政治家のウィリアム・ウィルバーフォースだ。

 ウィルバーフォースは奴隷廃止論者だが、かれに助言したのがジョン・ニュートン。

 このふたりの関係は映画にも出てくる。

 映画では、

 ウィルバーフォースが、親友にして首相のウィリアム・ピットに励まされ、

 その親友の死の一年後つまり1807年に、

 奴隷貿易廃止法案を可決させるところが中心になってるんだけど、

 いやまあ、実際のところは実に大変だったらしい。

 だって、奴隷そのものを廃止しなければ、

 貿易だけを廃止にしてもどうにもならないわけで、

 ウィルバーフォースの奴隷廃止運動は、

 1787年から1833年7月26日まで続けられた。

 その日は奴隷制廃止法案がようやく庶民院を通過した日だったんだけど、

 かれの死は、それからわずか3日後だ。

 映画は、もちろん、その過程をすべて描いているわけじゃない。

 年表みたいな物語を作ることほど愚かしいものはないからだ。

 そういう点、欧米の伝記物は映画の語り口と見せ場をよく心得てる。

 この映画も例外じゃなくて、

 ウィルバーフォースの熱血ぶりはよく描かれてるし、

 そこに友情と恋愛をほどよく絡めているのも上手だ。

 なんていうんだろ、

 伝記物の教科書みたいな映画だったな~。

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