Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

童貞物語(1986)

2007年07月31日 11時56分20秒 | 邦画1981~1990年

 ▽童貞物語(1986年 日本 103分)

 監督/小平裕 脚本/掛札昌裕 企画/天尾完次

 プロデューサー/稲生達朗 仁保精一 磯辺春延

 撮影/加藤雄大 美術/筒井増男 音楽/たかしまあきひこ

 主題歌/古村比呂 A面『バージンボーイ』B面『プラトニック』

 出演/古村比呂 光石研 畠田理恵 イヴ もたいまさこ 沢田和美 八神康子 堤大二郎 千石規子

 

 ▽古村比呂&畠田理恵デビュー

 当時、東映大泉の作品は、脚本をつくる際、脚本家を旅館に入れた。

 東映がおもに利用していた旅館は、西荻窪の木村館、荻窪の藤吉、中野の福屋、新宿の常盤館、東銀座の熱海荘といったところで、いまでは熱海荘しか残っていない。ただ、もうひとつだけ、この時期に天尾完次とその一派の使用していた旅館がある。本郷の鳳明館だ。

 鳳明館は大きな純和風旅館で、本館のほかに台町別館と森川別館がある。本作は、その鳳明館で書かれた。早稲田大学映画制作グループひぐらしの有志による下書き原稿を、脚本家の橋場克彦が構成しなおし、掛札昌裕が書いた。鳳明館はこの作品の前後、数年間だけ利用されたが、天尾完次と稲生達朗しか利用しなかった。

 この古色蒼然とした旅館で仕上がった脚本は、後に公開されたものとはまるで異なる。主人公は菊池弘といって浅草の天ぷら屋の息子なんだけど、もちろん、東宝の若大将へのオマージュによるもので、ウインドサーフィンが趣味の大学生だ。

 御前崎や湘南が彼の庭で、ここで爺さんバンドと知り合い、その年老いた連中の恋物語に、主人公とその仲間たちが関わり、海とヨットとウインドサーフィンとバンドの物語が展開される。つまり、後に撮影された『童貞物語』とは全然ちがうやけに爽やかな話だった。

 ところが、この準備稿に横槍が入れられ、再準備稿が作られることになった。場所は、熱海荘。撮影は再準備稿を元にした決定稿で行われたんだけど、本来の準備稿による撮影台本で撮られれば、どうだったんだろね。

 さらにちなみに、映画の中で古村比呂が海辺でクラシックバレエを踊る、おそろしいほどに奇妙な、水着の挿入画面は、斜陽期の映画の、なんとも哀れというか、そこはかとない物悲しさを誘うけど、これは、のちに再撮影されてぶちこまれたカットで、もともとはなかった。

 まあ、映画というのは、そんなふうにして完成に漕ぎつけるんだね。

 大変だわ。

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バルジ大作戦

2007年07月30日 17時02分06秒 | 洋画1961~1970年

 ◇バルジ大作戦(Battle of the Bulge)1965年

 

 ドイツの戦車兵たちが「パンツァーリート」を歌う。どれだけ実際の戦史と異なっていても、これはこれでいいのだ。

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めまい

2007年07月29日 16時48分18秒 | 洋画1951~1960年

 ☆めまい(Vertigo)1958年

 

 ジェームズ・ステュアートとキム・ノヴァクっていう優しさも強さも色気もなにもかも入れ替わったように対照的なふたりがキャスティングされたのは、あれこれいきさつにあるにせよ正解だったかもしれない。なんといっても印象に残るのは、実を言うと、めまいを表現したカメラショットよりも緑の色だ。ヒッチコックのいう「めまい」=「緑の霧」ってのの出所はわからないけど、とにかく、キム・ノヴァクの服や車のえもいわれぬ美しいモス・グリーンはあまりにも印象的だ。好い色だなあ。

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ダーティ・ハリー2

2007年07月28日 16時40分57秒 | 洋画1971~1980年

 ◇ダーティ・ハリー2(Magnum Force)1973年

 

 きわめて暴力的な刑事のハリー・キャラハンが、その豪腕な捜査でも裁けないような犯罪を、法で制するのではなく暴力で殲滅しようとするのはよくわかるし、これが交通課の刑事たちで白バイが犯罪に関わるってのは、このシリーズの中でも実にわかりやすく記憶に残るものだったような気がするんだけどね。

 ま、どれをとっても、クリント・イーストウッドなんだけどさ。

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ザ・メキシカン

2007年07月27日 16時34分18秒 | 洋画2001年

 △ザ・メキシカン(The Mexican)

 

 あ、拳銃なのね。

 ブラッド・ピットとジュリア・ロバーツの共演ってだけで、その時代がなんとなく彷彿される。こういう拳銃がらみのコメディ活劇が成立してたってのは、それなりに平和な時代だったんじゃないかって気もする。ゲイの殺し屋っていう設定が活かせたのもそうだ。

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トゥームレイダー2

2007年07月26日 16時28分04秒 | 洋画2003年

 ◇トゥームレイダー2(Lara Croft Tomb Raider: The Cradle of Life)

 

 イルミナティのつぎパンドラの匣で、つまりはムーの世界の少女活劇なんだけど、どうしてもハリウッドはセクシーさが際立つ。で、ダニエル・クレイグのつぎはジェラルド・バトラーになったわけね?っていう感想しかないのがつらいところだ。

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トゥームレイダー

2007年07月25日 16時24分17秒 | 洋画2001年

 ◇トゥームレイダー(Lara Croft : Tomb Raider)

 

 イルミナティって出てきただけで、なるほど、古えからの秘密結社がついに世界征服に動き出して、それと戦うスタイル抜群の女の子の戦いってわけね?っておもったら、まさしくそのとおりで、脇に、父親のジョン・ボイドやダニエル・クレイグがいるってだけでちょっと豪華にはなってるものの、ぴちぴちのアンジェリーナ・ジョリーを見るということのほかにはなにもないかな。

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パニック・ルーム

2007年07月24日 16時15分56秒 | 洋画2002年

 ◎パニック・ルーム(Panic Room)

 

 監督のデビッド・フィンチャーもそうだが、ジョディ・フォスターがいちばん研ぎ澄まされたときっていうか、サスペンス向きだった頃ってことがよくわかる。パニック・ルームっていう設定もまたあるようでない感じで、妙に新鮮だった。クリスティン・スチュアートがなんといっても子役ってのが時代を感じさせるし、仕方なく降板したニコール・キッドマンが声だけで出演してるってのも好印象だ。

 

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霧と影

2007年07月23日 15時30分04秒 | 邦画1961~1970年

 ◎霧と影(1961)

 

 たった4戸12人の山間の部落。猿谷郷。父親が精神病の清という子が蔵に閉じ込められている。ええなあ。この頃から石井輝男の猟奇ぶりが頭をもたげてるんだね。それにしても、梅宮さん若すぎる。富山の薬売りが鍵になってるんだけど、なるほど、当時の東映は水上勉とやけに結束してたんだね。丹波さんは若くてもいつもの調子だってことはよくわかった。

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ファウンテン 永遠につづく愛

2007年07月22日 13時38分37秒 | 洋画2006年

 ◇ファウンテン 永遠につづく愛(The Fountain)

 

 やけに壮大な話だなあ。

 この宇宙を旅する球体の哲学的瞑想空間はなんだ?樹は妻か?マヤの女王と共鳴したんか?

 ようわからん。予算はかけとるような絵だが抽象的すぎるのと様式に囚われすぎてつまらんくなっとるな。観てるだけで疲れちゃうわ。

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アメリカの友人

2007年07月21日 23時56分21秒 | 洋画1971~1980年

 ◎アメリカの友人(1977年 西ドイツ、フランス 126分)

 原題/Der Amerikanische Freund

 監督・脚本/ヴィム・ヴェンダース 音楽/ユルゲン・クニーパー

 出演/デニス・ホッパー ブルーノ・ガンツ リサ・クロイツァー ジェラール・ブラン

 

 ◎パトリシア・ハイスミス、トム・リプリー第3段『アメリカの友人』

 見てる内にだんだんとデニス・ホッパーが萩原健一に見えてくるんだけど、ぼくだけだろうか?

 サスペンスって、どうしようもなく巻き込まれていって、それでそこから助かろうともがいている内に犯人に対しておもわぬ逆襲を成してしまうっていうのが定道のようにおもってきたんだけど、余命いくばくもないと信じ込まされてしまう額縁屋ブルーノ・ガンツがその対象になってる。

 で、われらがデニス・ホッパーは、贋作を描かせてオークションに持ち込んで儲けるという贋作商をしてるんだが、贋作の装丁をしてもらった際、贋作画家が勝手に変えた青色の絵の具をブルーノ・ガンツに見抜かれたことで、こいつすげえなと認めることになる。

 そんなことから、暗殺を指示してくる野郎に一矢報いるっていう逆転劇は、うん、筋書きはしっかりしてるわ。

 ちょっとだれるのは時代なのか、ヴェンダースの色なのかはわからないけどね。

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クロード・ルルーシュ

2007年07月20日 23時40分26秒 | 洋画1961~1970年

 ◎男と女(1966年 フランス 103分)

 原題/Un Homme et Une Femme

 制作・監督・撮影/クロード・ルルーシュ 音楽/フランシス・レイ バーデン・パウエル

 出演/アヌーク・エーメ ジャン=ルイ・トランティニャン ヴァレリー・ラグランジュ

 

 ◎ダバダバダ

 まあ、どうってことのない物語なんだけど、わかるわなあ。

「電車で帰るわ」

「41号室の積算をしてくれ。パリに行く電車の時間は?」

 過去を背負った男と女の行く末は、互いの過去や立場がわかって、将来の不安を知ってしまったとき、冷めた会話を交わしてしまい、その後に別れちゃうんだけど、でも結局、追いかけて追いかけられてまた抱き合う。抜き差しならない関係がどうしようもなく深まっていく。そんな感じなのかしらね。

 ちなみに、脚本はピエール・ユイッテルヘーベンも噛んでる。音楽のバーデン・パウエルは劇中の楽曲『サンバ・サラヴァ』でピエール・バルーが歌ってる。ダバダバダはもちろんニコール・クロワジール。

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マイ・プライベート・アイダホ

2007年07月19日 23時26分12秒 | 洋画1991年

 ◇マイ・プライベート・アイダホ(1991年 アメリカ 104分)

 原題/My Own Private Idaho

 監督・脚本/ガス・ヴァン・サント 音楽/ビル・スタッフォード

 出演/リヴァー・フェニックス キアヌ・リーブス キアラ・カゼッリ ウド・キア

 

 ◇シェイクスピアの翻案

 そもそも『ヘンリー四世』とか『ヘンリー五世』とか読んだこともないから、想像すらおよばない。恥ずかしいことだけど、だからといって無教養をひらきなおるわけにもいかないしね。

 でも、男娼、同性愛、麻薬、近親相姦とかについてはなんとなく想像はつくし、たぶん現代劇を志向する製作者にとっては扱いたいっておもうテーマなんだろう。いきなりナルコレプシーの発作から始まって、またおなじラストを迎えていくのもなんとなくわかる。

 冒頭のカットもそうだけど、やっぱり『スケアクロウ』をおもいだしちゃうね。それと、肩書のある名士の父親に反発して家を出るってのも、離れ離れにになっちゃってる母親を求めて旅をしていくってのも、いってみれば青春映画の常道ではあるんだけど、ここは『欲望の翼』をおもいだしたわ。

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秋刀魚の味

2007年07月18日 19時52分58秒 | 邦画1961~1970年

 ◎秋刀魚の味(1962年 日本 113分)

 監督/小津安二郎 音楽/斎藤高順

 出演/岩下志麻 笠智衆 岡田茉莉子 中村伸郎 岸田今日子 杉村春子 加藤大介

 

 ◎遺作

 実際『晩春』とどうちがうのかっていわれるとうまく答えられないんだけど、娘の若さと快活さがより現代的になって、父親の老いと孤独が増したってことかしらね。

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秋日和

2007年07月17日 19時43分07秒 | 邦画1951~1960年

 ◇秋日和(1960年 日本 128分)

 監督/小津安二郎 音楽/斎藤高順

 出演/原節子 司葉子 岩下志麻 笠智衆 中村伸郎 佐分利信 沢村貞子 岡田茉莉子

 

 ◇母と娘

 小津にしてはめずらしい父と娘ではなく母と娘なんだけど、そうか、でも原節子と司葉子になる時代なんだね。なんだか、時代ってこういうふうに感じちゃうものなのかもしれないね。岩下志麻が小津作品に初登場ってのも、そういう時代ってことなんだろうけど、この次はもう主役なんだからたいしたもんだ。

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