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Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

嘘を愛する女

2025年05月19日 15時32分38秒 | 邦画2018年

 ◇嘘を愛する女(2018)

 

 この女(長澤まさみ)の設定がちょっとエリートすぎてげんなりする。いやまじ、ウーマン・オブ・ザ・イヤーとか、かえって嘘くさくなるから。同僚との会話もなんだかわざとらしすぎて痒くなる。もうすこし庶民的な方がしっくりくるかなあ。

 けどまあ、夕陽が沈むとき蝋燭のようになる灯台の記述を頼りに、高橋一生の事実かもしれない記憶のようにあいまいな過去をおいかけてゆくという設定はおもしろい。しかし、長澤まさみ、それと誘ってくる若い男、ふたりとも酔っぱらった演技は下手だな。

 ちょい待ち。気分が悪くなったところを介助されて靴まで貸してもらった高橋一生を都内のエレベーターで見かけて声をかけるのは、まあぎりぎりゆるそう。そんなに狭くないぞ東京は、というつぶやきを堪えて。けど、つぎの場面は、早くもマンションの中で咳をしてて、風邪は早いうちに治した方がいいとかいって毛布をかけてやって、ここにしばらくいれば?とか、ほくは家賃が払えないとか、なら家事をしてくださいとかいって同棲が始まるとかありか?そのあたりの経緯がいちばん詳しく知りたいところなんじゃないか。

 しかし、働いてるところや、住んでいた部屋までわかったんなら、まず、総務で人事の資料を見せてもらわないか?町役場に行って住民票とか戸籍の照鑑とかしないか?とかいう疑問が出てくるのはわかっていても、あえて物語を展開していくのは、そうか、広島県警をひきだすひっかけかとあとで納得するものの、ちょっとなあ。プロの探偵にしてはずさんな仕事ぶりなんじゃないか?という程度の探偵にしておくのが吉田鋼太郎の設定になってるんだけど、つまり、なかば狂言回しとして扱われてるんだけど、あんまり吉田鋼太郎を描こうとするのは脱線になるんじゃないかって気もしないではないね。

 もっと掘り下げてほしいのは昏睡状態にある高橋一生の方で、妻子が無理心中したことで行方不明になったこの男が、過去のリア充日記をつけてたっておもわせて、死んだ子供が女の子で、耳の後ろのほくろの記述に気づいたとき、どんでん返しになるんだが、この日記が自分の描いた新しい生活なら、喫茶店のウェイトレスとの関係はどうなんだと。とるに足らないウソなら、長澤まさみの口にしたセリフをそっくりそのまま言うわけがないわけで、ま、最後の最後に長澤まさみも過去に浮気したことがあると告白するんだけど、そんなことで相殺されるんかな?

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フジコ・ヘミングの時間

2022年09月18日 15時52分22秒 | 邦画2018年

 ◇フジコ・ヘミングの時間

 

 ピアノもわからず、もちろん弾けないぼくが、なにをいったところで仕方がないし、そもそも、大月ウルフが弟だってことすら知らなかった。だから、観ていて、ピアノがすんごい上手いなってのはわかるけど、これが天才なんだあ~っていう感慨は持てない。ぼくが素人すぎるからだ。

 でも、気さくな、飾らない人柄ってのもわかるし、ちょっと独特な雰囲気を醸してるのもわかる。かなり大雑把で、独自な生き方をしているんだろうってのもわかるし、ピアノを弾くタッチを観てると、もはや上手に弾こうっていうより、自分の意志とは関係なく指が直感的に鍵盤をたたいて音楽を奏でてるんだなっていう感じはする。もしかしたら、こういう人が、日常のすべてもふくめて天才っていわれる人間のかたちなのかな?

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blank13

2022年09月16日 22時57分40秒 | 邦画2018年

 ◇blank13

 

 斎藤工の監督出演作品なんだね。借金まみれで家族をないがしろにしてもいっこうに平気っていう不器用な親父リリー・フランキーの息子ふたりが高橋一生と斎藤工なわけだけれども、渇いた死と潤った葬儀の後の事実という対比は冒頭から見えているわけだからそれはさておき、全体に雰囲気は悪くはないね。静かな死と生の境界があるんだなっておもえるかな。ま、そんなところで、役者たちも想像を超えるものではなく、すべてが予想される中でこじんまりとまとまってる気がするね。

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嘘八百

2022年07月14日 01時56分52秒 | 邦画2018年

 ◇嘘八百

 

 出だしはおもしろかったんだけどな~。だんだんと小器用な演技が鼻についてくる。まあ、狙いがコメディなんだからこういうものかもしれないんだけど、なんだかね。

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今夜、ロマンス劇場で

2022年02月13日 00時39分09秒 | 邦画2018年

 ◇今夜、ロマンス劇場で

 

 ファンタジーてのはこういうもんなんだろうけど、そうか、京映は倒産するのか。宇津井健の映画が上映されてたからもしかしたらとおもってたら、やっぱり、大映だったのね。足利東映の最後も観られたし、加藤剛の遺作て聞くとなんだかしみじみしちゃうわ。

 けど、綾瀬はるかの台詞は、再考の余地ありかな。

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祈りの幕が下りる時

2019年12月08日 19時24分24秒 | 邦画2018年

 ◇祈りの幕が降りる時(2018年 日本 118分)

 監督/福澤克維 音楽/菅野祐悟

 出演/阿部寛 松嶋菜々子 溝端淳平 田中麗奈 烏丸せつこ 伊藤蘭 小日向文世 山﨑努

 

 ◇なんか『砂の器』みたいだ

 まあなんていうのか、父親というのは娘に対しては無償の愛情を抱くものなんだよね、つくづくおもうわ。

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未来のミライ

2019年09月07日 01時07分05秒 | 邦画2018年

 △未来のミライ(2018年 日本 98分)

 原作・脚本・監督/細田守 音楽/高木正勝

 出演/上白石萌歌 黒木華 星野源 麻生久美子 宮崎美子 役所広司 福山雅治

 

 △この未来の現実味はどうなんだ?

 いきなりエンドロールみたいな始まりはなるほど題名の意味なのね。

 子役のくんちゃんの声がまったく大人で、ちょいと気持ちが悪い。

 しかし、雪は凄いな。たいしたもんだな。このくんちゃんにいきなり『あなたが生まれてくるまでこの家の王子だった者』とかいうおんぼろな犬男が出てくるんだけど、そいつの台詞は子供に対するものではなくて映画を観ている観客に対するものとしかおもえないのがなんともな~。

 大人目線のくんちゃんなんだよね。この台詞から受ける感覚は外国人にはわからないのかもね。

 てか、良い家族すぎないか。理想的な家族に町、家の中にいるのにいい服着て今どきエプロンして家政にいそしむ主夫、僕にはちょいと息苦しい。しかしこの若夫婦は頭が悪い設定なのかどうかわからないが先に生まれた子をわざとないがしろにしてる感じがし過ぎな気もするのよ。

 それといっていいかな。この雛人形をしまうのは、旧暦なのかしら。

 もひとついえば、このくんちゃん、お母さんの昔の写真見て綺麗とか痩せてるとかいわんだろ普通。いくつだよ。お母さんに鬼婆化した絵上手すぎだし。魚と水のイメージはさすがに上手だな。

 しかし、赤い雨傘の女の子てかお母さんの子供時分だが、どこから見ても頭の良い子が家の中をめちゃくちゃにするかな?しないんじゃないかな。

 単発の飛行機エンジンを作ってたひいじいさんと馬で駈けるのと、ミライに連れられてファミリーツリーに飛び込んでからのイメージの羅列は良い感じで、足の悪いひいじいさんとひいばあさんの駆けっこはまあ想定内ではあるけど、これもまた良い感じだった。

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タリナイ

2019年09月01日 18時27分39秒 | 邦画2018年

 ◇タリナイ(2018年 日本 93分)

 監督/大川史織 プロデューサー/藤岡みなみ

 出演/佐藤勉

 

 ◇母親ニ孝行シテ下サイ

 人間、2歳のときの記憶はほとんどない。

 74歳になる佐藤勉さんもそうで、でも、佐藤さんの場合、それがとても悲しい。なぜなら、父親の出征と戦死のために再会することが叶わなかったからだ。佐藤さんはそんな父親の面影を追いかけて、遙かマーシャル諸島のウォッゼ島へ赴いてゆく。

 で、いろいろあって、短パンにTシャツという南の楽園を旅するような恰好だったこともあって、猛烈な日差しに全身が焼け焦げてしまったりして、けど、お父さん、勉は来ましたよ~という呼び掛けで、すべてが洗われていくんだね。

 なんていうか、21世紀の20代の女の子たちがどうしてこんな重い主題に目を向けたのかわからないんだけど、撮り方は硬質なドキュメンタリー映画っていうよりも不慣れな若い人達の目線をまったくぶれることなく撮られた紀行映画って感じがした。上手いとかどうとかいう話ではなくて、こういうほんわかした戦跡訪問映画があってもいい。

 よくやったな、がんばったな、と、素朴におもう。

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