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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

ホタル

2014年01月03日 18時22分33秒 | 邦画2001年

 ◇ホタル(2001年 日本)

 東映という映画会社は、

 戦後まもない頃の『聞け、わだつみの声』以来、

 終始一貫して反戦を訴えてきた会社だとおもってる。

 たとえば『大日本帝国』なんかその骨頂だといえるはずなんだけど、

 どうしても暴力的な映画や官能的な映画を撮ってきたこともあって、

 戦争というものに肯定的な立場をとってるように見られることがある。

 でも、そうじゃないんだよね。

 だから、東映の創立50周年企画としてこの作品ができて、

 あきらかな反戦仕立てになってるのかもしれない。

 まあ、それはそれでいいとしても、

 なんでわざわざ朝鮮半島を舞台にしなくちゃいけなかったんだろう?

 まあ、それでないと、

 戦争の総括にはならないのかもしれないんだけど、

 観る側にすれば、

 特攻隊の生き残りの話とはいえ、

 昭和天皇が崩御された年の、

 感慨と慙愧と新たな人生を語ることに搾った方が、

 焦点がぼやけなかったんじゃないのかな~とおもっちゃうんだよね。

 たしかに、

 ああいう時代に、こういう立場に立たされた朝鮮半島の青年将校はいたはずで、

 ぼくみたいな戦争を知らない人間があれこれいうわけにもいかないけど、

 物語の比重として考えると、

 なんだか二分されてる気がしてならないんだよなあ。

 そんなことないのかしら?

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アトランティスのこころ

2010年03月02日 16時29分00秒 | 邦画2001年

 ◎アトランティスのこころ(Hearts in Atlantis)

 

 尻切れ蜻蛉みたいな印象。

 連れ去られた老人と輪姦された母親のその後と、主人公が引っ越した後に恋人に連絡しない理由と、さらにいえば父の影響と絆について語られてないところに不満が残る。でも、それは、スティーブン・キングの原作を熟読していないからだろう

 とはいえ、当時の家と自転車と今の自分と我儘な母と父を誇らしく感じる所は、うん、見事だね。

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血を吸う宇宙

2009年04月19日 01時36分45秒 | 邦画2001年

 ◇血を吸う宇宙(2001年 日本 85分)

 監督/佐々木浩久 音楽/ゲイリー芦屋

 出演/阿部寛 中村愛美 阿部サダヲ 栗林知美 由良宜子 上田耕一 三輪ひとみ

 

 ◇音楽、東宝SF調なのね

 宇宙人が火事で死んだ筈の美郷の名を死刑囚で姉の里美の脳へ刻み込ませ、セックスレスなのに子があるように錯誤させかつ幼児誘拐の幻想を生ませ、それを嗅ぎつけたブラックメンが里美を守る地球防衛の物語なのではないかと僕は踏んだのだけれども、そんなことはどうでもいいのかしらね。

 まあ、悪乗りともいえないし、なんだかよくわからない展開をおもえば、題名は『発狂する地球』とか『発狂する宇宙』でも良かったんじゃないかって気がするんだけどな。

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完全なる飼育・愛の40日

2009年03月14日 03時28分09秒 | 邦画2001年

 △完全なる飼育 愛の40日(2001年 日本 89分)

 監督/西山洋市 音楽/遠藤浩二

 出演/竹中直人 深海理絵 緋田康人 野田よしこ 徳井優 ユキオ・ヤマト

 

 △半透明の銀色UFO

 せっかくの竹中直人がまるで活かされていないのは不満とするところではある。リアルさは前よりあったけど、そもそも拉致誘拐した女性が従順になる事に辛さがあるような気がするんだけど、どうなんだろね。UFOについては扱いが微妙でいい感じではあるかな。

 そんなことはともかく、この監督の西山洋市は1959年生まれで、聞くところによると早稲田大学のシネマ研究会、通称シネ研にいたんだそうな。ああ、作り方の感覚みたいなものがなんとなくわかるわ~って気がするのは勝手なおもいこみなんだろうか。

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かあちゃん

2009年02月19日 00時15分34秒 | 邦画2001年

 ◇かあちゃん(2001年 日本 96分)

 監督/市川崑 音楽/宇崎竜童

 出演/岸惠子 原田龍二 うじきつよし 勝野雅奈恵 中村梅雀 尾藤イサオ 常田富士男

 

 ◇追悼市川崑その29

 人間を性善説で見るとこうなるんだろうか?

 黒澤明の晩年を思い出しちゃうんだけど、これはまあ、市川崑なりの岸恵子への感謝と讃歌なのかな。単調さと間延び加減が市川崑の齢を匂わせる。これはどうしようもないことで、ああ、市川崑も老いたんだなあとしみじみ感じる。黒澤の『まあだだよ』もそうだったんだけど、幸せな話なのになんだか悲しくなってくる。

 人間はどうしようもなく年老いていくんだけど、それでも物を作ろうとする意欲だけは失われず、過去に輝かしさがあればあるほどその期待値と妥協値は高まる。もうほんと、すべてが仕方のないことなのかもしれないね。

 ただ、この作品は市川崑というより和田夏十のやりたかった原作だそうで、そのおもいが叶うまで半世紀ちかい時が必要だったということも考えれば、亡き妻への感謝もあったんだろうね。

 なんだかそういう点もしみじみさせるんだけど、かといって作品のグレードが低かったかといえばそんなことはなく、お得意の銀残しによって画面はひきしまっているし、渋みもある。登場している役者たちは誰も市川崑ばりの役を演じて、幸せの大きさとはなんだろうという主題をちゃんと語ってる。そういうところはたいしたもんだっておもうんだよね。

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仄暗い水の底から

2007年03月08日 02時12分26秒 | 邦画2001年

 △仄暗い水の底から(2001年 日本 101分)

 監督/中田秀夫 音楽/川井憲次

 出演/黒木瞳 水川あさみ 小日向文世 志水季里子 原知佐子 大塚ちひろ

 

 △デジャヴュ?

 既視感っていうんだろか、なんか何処かで見たような印象だった。

 マンションや校舎を舞台にすると誰もが似たようなことを考えるのかな?っていう、なんとも個人的な感想だけが浮かんできちゃうのは、圧倒的な面白さだった『リング』の次の作品っていう期待感のせいかもね。

 それと、黒木瞳の過剰な熱演は認めたいところなんだけど、佳境から終幕までがどうも共鳴できないんだけど、どうなんだろ?

 でもまあ、これはあくまでも個人的な印象なんで…。

 ただ、丁寧に作ってあるな~っていう手作り感はよく出てて、これ以後、雨後のタケノコのように作られたホラー映画みたいに、気持ち悪い怖さを前面に出していないのは、好いわ。

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