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Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

ドリーム・ホース

2025年05月25日 16時48分50秒 | 洋画2020年

 ☆ドリーム・ホース(Dream Horse)

 

 イギリスはときどきこういう珠玉のような映画を撮ることがある。

 ただ、イギリスといってもこの作品はウェールズ作品といってもいいような感じで、とにかくウェールズ愛に満ちている。

 ぼくは競馬の知識はないし、障害競馬についてももちろんわからない。だから、競馬については素人の集団に近いような市民農園で生まれて育てられたサラブレッドがレースで優勝するまでにどれだけの苦労があるのかもわからないんだけど、とにかくおもしろかった。素人の、それも未来に対する希望を失っちゃったような炭鉱町の労働者たちに希望の火を灯すことになるサラブレッドの物語なんて、さらにいうと、途中で安楽死させられるかもしれない重傷を負いながらも復活して重賞レースで優勝するまでになるなんて、まったくもって素敵じゃないか。

 監督のユーロス・リンの演出が肩のちからを抜いてて絶妙なのは、途中で歌われる酒場の歌を、ラストのクレジットタイトルで労働者のテーマソングみたいにみんなで歌うところだ。物語とはまるっきり関係のない、男と女の「いやいやこれまじあるだろ」的な情景の歌で、これがまた好い。

『通りかかると彼女の家の窓に明かりが

 ブラインド越しに揺れる男女の影

 あいつは俺の女だった

 浮気されたと知って俺はキレちまった

 ちくしょうめ デライラ

 何でだよ デライラ

 つきあうべきじゃなかった

 なのに沼にハマってしまった

 明け方 男が去るまで待った

 家を訪ねたらあいつはドアを開けた

 笑いながら立ってやがった

 俺はナイフで笑顔を葬った

 ワァイ ワァイ ワァイ デライラ

 ワァイ ワァイ ワァイ デライラ

 警察がやって来る前に

 俺を許せ 耐えられなかった』 

 しかしなんといっても好いのは主演のトニ・コレットで、彼女のひらきなおったような演技はじつに好かった。

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林檎とポラロイド

2025年02月01日 23時27分16秒 | 洋画2020年

 ◇林檎とポラロイド(Mlla)

 

 ほ~『スカボロー・フェア』から始まるのがちょっと意外だった。

 アリス・セリベタリスがバスの中でいきなり覚醒するのと同時に、記憶喪失になってるのにも気がつくっていう出だしは好い。

 で、記憶回復プログラムを遂行してゆくうちに、ダンスホールに行って、酔いどれて、誰か誘ってトイレでその場限りのセックスをしろと、まあ、つぎつぎに指令が下ってくるんだけど、こんなことで記憶が回復するとはおもえない。それにしても、洋画はほんとにトイレでセックスする場面が多いなあ。

 淡泊な映画なんだけど、その単調さは飽きてくる。つまんないなあとおもうこともしばしば出てくる。

 ちなみに、林檎は記憶に効くらしい。なるほど、それで食卓に林檎が出されているのか。これ、ほんとに記憶喪失だったのかどうか、ほんとはなにもかもおぼえていて、過去の自分を消し去るために徹底して記憶を失くしたように見せているんじゃないのか、と考えることもできるんだけど、それについては、監督のクリストス・ニクはまるで語らない。才能はおそらくあるんだろうけど、商業的なものは好まないのかなあ。

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MINAMATA-ミナマタ-

2023年06月30日 00時54分09秒 | 洋画2020年

 ☆MINAMATA-ミナマタ-(Minamata)

 

 1975年に出版された写真集『MINAMATA』のもとになったライフ誌に掲載された写真が撮影された経緯なんだけど、なるほど、ジョニー・デップの演じたウィリアム・ユージン・スミスの人間性の復活劇なのね。また、それをあとおしして伴侶になっていくアイリーン・美緒子・スミスの物語でもあるわけね。そうしたことをおもうと、上手な出来栄えだった。

 ただ、酒浸りの世捨て人のような人間が、世界の知らない企業の環境汚染に怒り、それが人間性の復活劇につながっていくのはなにもめずらしいことではなく、映画ではよく見られる題材ではあるけれども、ただ、日本人がこの映画を作らずにいるってのがなんともくやしいね。でも、冒頭の九州の海岸線の空撮ひとつからして、画づくりの才能の差をこれでもかってくらいに見せつけられる。つらいところだ。

 とはいえ、美波が堂々と演じた美緒子の過去と現在が見えてこない分、なんとも不安定な役柄に見えちゃう。いきなり現れて、日本まで連れていって、写真をとらせて、恋人になっていくってのは、都合が良すぎるんじゃないのかっておもうし、その完成された人間性にちょっぴり違和感をおぼえるけど、彼女の内面までも描く余裕がなかったんだろうな。

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クーリエ 最高機密の運び屋

2023年02月15日 23時14分04秒 | 洋画2020年

 ◎クーリエ 最高機密の運び屋(The Courier)

 

 ひさしぶりに厚みのある映画を観た気がする。

 ところで、前にも映画でドアのないエレベーターが常に動いていてそれにすっと乗ってすっと降りる画面があったが当時の共産圏はそうだったんだろうか。もしかしたら、ベルリンが舞台のテレビドラマで戦前の話だったかもしれない。

 ま、それはいいとして、これだけ煙草が出てくると喫いたくなるな。フルシチョフを裏切って、キューバの情報を小型カメラに撮ってるメラーブ・ニニッゼが、キリル・ピロゴフに毒入りの煙草をすすめられて肺をおさえて打っ倒れるのを観るとちょっと閉口するけど。

 それはさておき、カンバーバッチ凄い。10キロ痩せたらしいけど、囚人服の背中だけでも痩せたことがわかるくらいってのは凄い。役者はこうでなくっちゃね。レイチェル・ブロズナハンも当時のCIA女性職員をうまく作っててたいしたもんだっておもうし、ソ連の牢屋まで面会にいく奥さんジェシー・バックリーも上手だった。ジェシー・バックリーって『ロスト・ドーター』のオリビア・コールマンの若いときなのね。へ~だわ。

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アーニャは、きっと来る

2023年01月13日 23時21分19秒 | 洋画2020年

 ◇アーニャは、きっと来る(Waiting for Anya)

 

 脚本がよくないな。音楽はいいし、主人公の羊飼いの少年を演じたノア・シュナップはじめ役者もいいし、ロケーションもいいのに、脚本と演出が良くない。もっとおもしろくなるのにね、残念だ。

 よくないところは多々あるけど、レア役の女の子がまるで演技になってないところもそうだし、なんといっても、最後の最後まで出てこないアーニャのことはすっかり忘れ去られて、まるで関係ない子供たちの脱走劇になってくってところだ。なんか山を越えていくって教会で送別会をして村の子供たちが歌を歌うあたりから『サウンド・オブ・ミュージック』をおもいだしたわ。

 てゆーか、この子供たちはいったい誰の手でこの山間の村まで連れてこられたんだよ。アンジェリカ・ニューストンは単に山の中に隠遁してる風変わりな婆さんってだけだし、これに惚れてるジョン・レノもそんなユダヤ人を脱出させる組織とかと連絡とってるわけでもないし、謎だ。

 
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ローズメイカー 奇跡のバラ

2022年12月21日 22時46分31秒 | 洋画2020年

 ◎ローズメイカー 奇跡のバラ(La fine fleur)

 

 カトリーヌ・フロは日本にもいそうなおばあちゃんになっちゃったんだけど、これはこれで個性ってやつだろう。ピエール・ピノーは、薔薇の専門家たちに相談をもちかけてちゃんと形にした。小ぢんまりとした作品に仕上がってるね。オリヴィア・コートがいかにもこういう小さな薔薇園に勤めてそうな雰囲気で、良好だったわ。

 けど、いくらなんでもライバル社の希少種を盗んで交配したってダメだろ。無邪気な犯罪集団だぞっておもわせて、自分たちで開発するんだろうなあっておもってたら、これがあにはからんや、カトリーヌ・フロは手を出していなくて、調香師の才能をもったメラン・オメルタと、その彼女になるんだろうなあってマリー・プショーと、もう50歳で行き場も働き場もないと嘆くファツァー・ブヤメットが自然種を交配させた薔薇だけが嵐に堪え、バガテル新品種国際バラ・コンクールでグランプリを獲得して薔薇園の破産の危機も救うっていうおとぎ話になっていってる。

 なるほど、そうだろうなあ。

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セルジオ 世界を救うために戦った男

2022年12月19日 22時36分36秒 | 洋画2020年

 ◇セルジオ 世界を救うために戦った男(Sergio)

 

 なんてまあ説明過多な邦題かしら。ヴァグネル・モウラとアナ・デ・アルマスは『WASP ネットワーク』に続いて濡れ場があったりしてなんだかごっちゃになりそうな気もするけど、それはさておき、ヴァグネルの演じたセルジオ・ヴィエイラ・デ・メロについて知らないし、東ティモールの独立についても無知なんだけど、でも、イラクで死ぬ爆破テロでの回想よりもこれはエピローグとしてつけるだけで、東ティモールに集中するべきだったんじゃないかな。

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これからの人生

2022年11月12日 14時30分06秒 | 洋画2020年

 ◇これからの人生(La vita davanti a se)

 

 1977年にシモーヌ・シニョレが『La vie devant soi』で映画化した原作の二度目の映画化ってわけなんだけど、なんでセネガルの子にしたのかがわからん。それにしてもソフィア・ローレンが頑張ったのか、息子のエドアルド・ポンティがどうしても母を主役にした映画を監督したいっておもったからなのかわからないけど、できればオリジナル作品をもう一本撮ってあげたいもんだわ。

 まあ、売春婦の子供の面倒をみるホロコーストの生き残りの老女っていうだけで、役者としては魅力的な役柄なんだろうけどね。

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ペンギンが教えてくれたこと

2022年11月11日 22時28分20秒 | 洋画2020年

 ◎ペンギンが教えてくれたこと(Penguin Bloom)

 

 シドニー郊外の海辺ってのは、なんてまあ好いロケーションなんだろう。住みたくなっちゃうよ。

 で、そこに棲息してるのがカササギフエガラスなんだそうで、実はこのカラスの亜種は初めて観た。日本に棲んでるカササギとは顔がまるで違うんだなあ。ま、そんなことはともかく、タイで展望台から落ちて半身不随になった海好きの母親ナオミ・ワッツが、夫アンドリュー・リンカーンや子供たちに励まされながら心を開き、やがてカヤックと出会うことで海に戻り、家族の再生が為されるっていう実話を元にした映画なんだけど、この心を開く鍵になってるのが怪我をして飛べなくなったカササギフエガラスで、白黒の体毛からペンギンって名づけられるんだね。あ、それでペンギンなのかってそのとき初めておもったけど。

 なんにしても、この夫がいいんだ。怒らないし、憤りかけたときも堪えて気持ちを落ち着かせてから話すし、カヤックを見つけてくるのもそうだし、常にカメラに収めてるし。つか、長男もいいんだ。自分が展望台に誘ったせいで母親が転落したわけで、カササギが同類に襲われてどこかへ逃げていっちゃったのも自分が外に出したせいだとおもってるのが、やがて母親が再生することによって自分の心も再生していく。

 上手な映画だね。

 ただまあ上手といえば上手なんだけど、なにもカササギと出会わなくても、この母親は復活するんだろうなって気はする。その後、カヤックや障碍者のサーフィンで世界チャンピオンになったりしてるわけだから、血を吐くような努力はあったにせよ、心はかなり強靭だったんじゃないかな。だとしたら、カササギは教えたわけでじゃなくて、復調するきっかけみたいなものだったんじゃないかって気はする。

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スーパーノヴァ

2022年10月28日 01時25分49秒 | 洋画2020年

 ◇スーパーノヴァ(Supernova)

 

 いや、なんというか、このカップルがゲイのカップルである物語における必要性は感じられないんだけど、まあ、コリン・ファースとスタンリー・トゥッチの落ち着いた演技があるから湖水地方をめぐる旅もまた落ち着いてみられるのかもしれないんだけど、どうにも脚本がぼくの嗜好と相容れない。

 スタンリー・トゥッチが認知症にかかってしまうところはまるで語られず、そのため、そのときの驚きや戸惑いはいっさいなく、すでに認知症が進行してしまってるところから始まる。これがな~。ちょっとな~。まあその分、脳が充分に機能しているように見える最後の段階の旅ってことになって、別れを告げる仲間たちとの宴や会話もじっくりと見ていられるのかもしれないけどね。

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すべてが変わった日

2022年09月08日 01時12分20秒 | 洋画2020年

 ◇すべてが変わった日(Let Him Go)

 

 ほかに方法はないのか?っていう物語だね。

 複雑な設定で、1963年、牧場主のケビン・コスナーとダイアン・レインの息子夫婦に子供が出来て、幸せな家庭が築けるかもしれないっていうところで息子が落馬事故で死に、嫁と孫は別な男と結婚して出て行っちゃうんだけど、その別な男の実家が信じられないような暴力一家で、孫をとりかえしに行くと凄まじく暴力的な環境で育てられてて、とりかえそうとしたらダイアン・レインは犯されそうになるわ、ケビン・コスナーは右手の指を四本も手斧でぶった切られるわ、もうめちゃくちゃで、結局、ふたりが乗り込んでいって、ケビン・コスナーの命をひきかえに嫁と孫をとりかえして、女家長レスリー・マンヴィル以下の家族を皆殺しにするっていう、ありか?っていう物語だった。きついぞ、これは。

 西部劇として企画されたんじゃないかってくらい西部劇みたいな脚本だ。しかし、ダイアン・レインもケビン・コスナーも年食ったな~。途中で小屋暮らしのインディアンの若者ブーブー・スチュワートに出会うんだが、孫を連れていかれた相手の家がかなり常軌を逸した家だっていう前ふりのためだけに登場したんだろうか?

 しかし、トーマス・ベズーチャ、演出うまいな。ことに、レスリー・マンヴィル、ほんと暴力的な人間の家庭を仕切ってる女の感じがものすごく出てるわ。

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この世界に残されて

2022年05月15日 21時21分33秒 | 洋画2020年

 ☆この世界に残されて(Akik maradtak)

 

 なんという節度と情欲と理性と情愛の混雑した物語だろう。

 どうして、この物語を、ナチスによる絶滅政策から生き残ったカーロイ・ハイデュクとアビゲール・セーケの恋愛映画だと観る人間が少ないのかがわからない。

 このふたりは、たしかに孤独だ。そりゃあ、妻もふたりの坊やも殺されて42歳になっても心の傷が癒えない産婦人科医だし、家族どころか妹の死までまのあたりにして戦後に孤児院からひきとってくれた叔母とも上手くいかない16歳の少女とは、疑似家族になるしかないのかもしれないけど、でも、アビゲール・セーケは初潮を迎える前夜にカーロイ・ハイデュクにひと目惚れして、彼がずっと独身でいることを望み、年老いてからは面倒を見るともいいきるくらい好きで仕方なくなってるし、その情熱にほだされて抱きしめたいとおもいながらも理性と節度を鎧にしてるカーロイ・ハイデュクがいつ心を開いて、もうあとさき考えずに国境を越えていくのかとおもいきや、ハンガリーの置かれている立場にそのまま埋没して、共産党に入党するしかないほど追い詰められ、盗聴され、党のすすめる相手と強制結婚させられるという辛さを受け留めるしかないと判断したんだけど、それはアビゲール・セーケに難がおよばないようにしようとする愛ゆえのことで、でもアビゲール・セーケだってカーロイ・ハイデュクのアルバムを盗み見てしまったことであらためて家族がいたことを知り、その家族をいまだに愛していることも実感し、それで涙しながらもやっぱり好きだ~っておもい、ぎりぎりのところで同級生が亡命をかけて告白してくるんだけど、でも断わったはずが、ちょうど、強制結婚の話がもたされててどうしようもなくなってるカーロイ・ハイデュクのために自分は同級生との結婚を決めるっていう、そういうふたりの純愛を観ないとあかんのじゃないか?

 いや、ほんと、まじ、スターリンがもう数年前に死んでたら、このふたりはまったく別な人生を歩んだはずだって、バルナバーシュ・トートはものすごくはっきり演出してるんじゃん。

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ロストガールズ

2022年04月11日 13時19分24秒 | 洋画2020年

 ◇ロストガールズ

 

 ロングアイランドの連続殺人鬼と呼ばれる事件が発覚したのは2010年の春だったみたいだから、それから10年経って製作されたわけだね。題材はきわめて興味深いし、エイミー・ライアンも好演してる。感情の起伏をおしころしたトーマシン・マッケンジーの綺麗さも際立ってる。撮影も、なんとなく陰鬱な殺風景をとらえてて、悪くない。

 でも、なんかつまらない。

 起伏のない演出と中途半端な脚本のせいかもしれないんだけど、これまで容疑が掛けられてる何人かの連中の白黒がいまだについていないことが濃厚に関連してるのはよくわかるとしても、もうすこし緊迫感があってもいいし、観客の想像を刺激する部分があってもいいっておもうんだけどな~。

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ファーザー

2022年02月08日 19時52分34秒 | 洋画2020年

 ☆ファーザー(The Father)

 

 なるほど。養老院か老人ホームかはわからないけど、アンソニー・ホプキンスがフラットって呼んでるところの暗示だったわけね。痴呆っていう言い方はなくなってきたとかいうけど、老人ぼけって言葉はどうなってるんだろう。ま、それはさておき、ここまで幻覚ってひどくなるんだろうか?

 過去と現在が同一線上におもえてきちゃうってのはなんとなくわからないでもないし、子供化しちゃうこともあるかもしれない。でも、完全な幻覚の世界に入り込んじゃうこととかあるんだろうか?

 日本でも『恍惚の人』とか『花いちもんめ』とか『長いお別れ』とか『ぼけますから、よろしくお願いします』とかいった映画が撮られてるけど、いやもう、昭和の時代から痴呆症は世界的な病だね。でも、なんというのか、ぼけたからどうだっていうんだ?っていう主題ではないんだよね。ぼけに対して、ぼけてゆく人間あるいはぼけてしまっているかもしれない人間の考え方や行動をもう少し主観的な捉え方があってもいいんじゃないかって気はする。

 たしかに、アンソニー・ホプキンスはうまい。みごとな演技で、エンジニアだった知的な父親が痴呆になっていったときの我が儘とか不安とか暴力的な言動とかまあいろいろあるし、それらを上手に出してくるし、身のこなしが実にうまい。パリに行っちゃう娘オリヴィア・コールマンや、幻覚の娘として最初に登場して観客を混乱させる看護人のオリヴィア・ウィリアムズや、婿だとおもったら実は医師だったマーク・ゲイティスも、ほんとは娘のはずが介護人として登場してくるイモージェン・プーツも、みんな上手なんだけど、でもまあ、アンソニー・ホプキンスは際立ってるね。

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ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌

2022年01月16日 17時43分23秒 | 洋画2020年

 ☆ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌(Hillbilly Elegy)

 

 うまいな~演技とメイク。グレン・クローズとエイミー・アダムズとヘイリー・ベネットを担当したメイクは天才じゃないっていうくらい、モデルになった婆ちゃんと母親と娘にそっくりだ。ガブリエル・パッソの演じた息子やフリーダ・ピントーの演じたその恋人もそうだけど、やっぱり、グレン・クローズたちにはおよばない。それで、このものすごくリアルなアメリカの「繁栄から取り残された白人たち」を、おもわず舌を巻いちゃうような上手な演技で見せちゃうんだから、いや、まいったわ。

 まあたしかに13歳でかけおちして、しかし、夫が実はごくつぶしで、火をかけて焼き殺そうとまでしたんだけど、結局は近くに別居して老衰死を迎えるまで家族だったっていう婆ちゃんは少なくないだろうし、その娘として育って看護婦にはなったものの麻薬に依存にするようになって病院を解雇され心がおかしくなっちゃう母親もいるだろう。決して珍しくはないだろうけど、まあ、アメリカの典型的な光景として捉えるにはありなのかな。

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