☆エターナル・サンシャイン(2004年 アメリカ 107分)
原題 Eternal Sunshine of the Spotless Mind
監督 ミシェル・ゴンドリー
☆記憶消します
モザイクのように物語の断片を散りばめていき、観客がそれを自分の脳裏で整えることで、ようやく物語の全貌をつかむことができる。もちろん、詳細な筋立てはそのときに確認できるんだけど、こういう綿密な組み方の脚本は、ぼくはとても好みだ。
もっとも話の筋はいたってシンプルで、相容れなくなった恋人と別れたとき、すべてを忘れてしまいたいからと恋人の記憶を消去することが医学的にできるようになっているという世界の物語だ。恋人同士は互いの存在を脳裏から消し去ろうとしているんだけど、どこかでまだ相手を求めていたりするものだから、ふたりにとっては忘れられない素敵な思い出の場になっているモノホークという言葉だけ、ケイト・ウィンスレットがジム・キャリーに告げる。
で、ジム・キャリーはもはや運命がそうさせるようにどうしてもモノホークの浜辺へ往かざるを得なくなり、やがて行く途中の電車にもはや失くした記憶に誘われるかのように本能的に乗り込んでいるケイト・ウィンスレットと新たな出会いをするという出だしに至るわけだけれども、物語が佳境へ向かうにしたがってふたりの脳内の映像が濃くなってくる。記憶除去手術に抵抗するかのようなその一連の映像つまり記憶はそれが崩壊と復活を繰り返すたびにどんどんと甦ってきてしまうという皮肉さと、やっぱり愛は強いんだよっていう主題とが見事に融合してる。
いやまあ、たいしたもんだ。
ミシェル・ゴンドリーはどうやらミュージック・ビデオをたくさん撮っているみたいで、どちらかといえばそっちの方が得意みたいで、本編はこの作品が2本目らしい。ああ、だから断片的な映像と上手なカッティングを見せてくれるんだ~とおもったわけです。