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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

エターナル・サンシャイン

2015年11月02日 00時53分33秒 | 洋画2004年

 ☆エターナル・サンシャイン(2004年 アメリカ 107分)

 原題 Eternal Sunshine of the Spotless Mind

 監督 ミシェル・ゴンドリー

 

 ☆記憶消します

 モザイクのように物語の断片を散りばめていき、観客がそれを自分の脳裏で整えることで、ようやく物語の全貌をつかむことができる。もちろん、詳細な筋立てはそのときに確認できるんだけど、こういう綿密な組み方の脚本は、ぼくはとても好みだ。

 もっとも話の筋はいたってシンプルで、相容れなくなった恋人と別れたとき、すべてを忘れてしまいたいからと恋人の記憶を消去することが医学的にできるようになっているという世界の物語だ。恋人同士は互いの存在を脳裏から消し去ろうとしているんだけど、どこかでまだ相手を求めていたりするものだから、ふたりにとっては忘れられない素敵な思い出の場になっているモノホークという言葉だけ、ケイト・ウィンスレットがジム・キャリーに告げる。

 で、ジム・キャリーはもはや運命がそうさせるようにどうしてもモノホークの浜辺へ往かざるを得なくなり、やがて行く途中の電車にもはや失くした記憶に誘われるかのように本能的に乗り込んでいるケイト・ウィンスレットと新たな出会いをするという出だしに至るわけだけれども、物語が佳境へ向かうにしたがってふたりの脳内の映像が濃くなってくる。記憶除去手術に抵抗するかのようなその一連の映像つまり記憶はそれが崩壊と復活を繰り返すたびにどんどんと甦ってきてしまうという皮肉さと、やっぱり愛は強いんだよっていう主題とが見事に融合してる。

 いやまあ、たいしたもんだ。

 ミシェル・ゴンドリーはどうやらミュージック・ビデオをたくさん撮っているみたいで、どちらかといえばそっちの方が得意みたいで、本編はこの作品が2本目らしい。ああ、だから断片的な映像と上手なカッティングを見せてくれるんだ~とおもったわけです。

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ワン・アンド・トゥ

2015年11月01日 20時06分56秒 | 洋画2015年

 △ワン・アンド・トゥ(2015年 アメリカ 90分)

 原題 One & Two

 監督 アンドリュー・ドロス・パレルモ

 

 △超能力兄妹の旅立ち

 清々しいくらいになんにも起こらない。

 まあ、要するにこういうことだ。テレポーテーションの超能力を持った一族がいて、かれらは広大な土地を買い、そこに壁をはりめぐらせて19世紀から変わらない暮らしを続けてきた。たぶん、そのちからを持っていることがさまざまな災いを引き起こしてきたためだろう。

 けれど、隔離された中での暮らしは徐々に一族を衰退させ、やがてたったひとつの家族しか残らなくなってしまった。父母兄妹の4人暮らしだ。けれど母は強迫神経症とでもいうのかともかく夜中になると息が詰まってやがて窒息死するんだけど、兄と妹はそのちからを楽しみながら暮らしてる。でも、ちからを使っちゃいけないって父親からは暴力的に叱られ続ける。妹は外の世界が見たいという。兄は父親のいうとおりにするという。しかし母の死の夜、父は娘を失神させ、ついにずた袋を顔にかぶせて、小舟に乗せ、川へ押し流す。要するに捨て子をしたのだ。

 で、妹は壁の向こうの世界へ往くことができたわけだけど、結局、病院から脱走、養護施設に助けられるもそこも脱走、結局、現代の社会というか地方都市なんだけど、どうしたところで馴染めず、父親に棄てられたんだと揶揄もされ、結局のところ、越えることのできなかった壁を空中へいったんテレポーテーションしてふたたび地面にテレポーテーションするという荒業によって越え、やっぱり突然死した父親の死体を埋葬していた兄のもとへ帰ることができた。

 けれど、ふたりはここで旅立ちを迎えるんだよね。社会に出て生きていこうとおもうわけですよ。で、思い出の古い家に火をかけて旅立とうとするわけだけど、こうやって書くとなんだかおもしろそうなんだけど、いやあ、なんていうかね。映像はさすがにこの処女作を撮った監督がカメラマンだけあって綺麗なんだけどな~。

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