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ギヴァー 記憶を注ぐ者

2015年05月03日 13時41分10秒 | 洋画2014年

 ◎ギヴァー 記憶を注ぐ者(2014年 アメリカ 90分)

 原題 The Giver

 staff 監督/フィリップ・ノイス 製作/ニッキ・シルバー、ジェフ・ブリッジス、ニール・コーニグスバーグ 原作/ロイス・ローリー『The Giver』 脚本/マイケル・ミトニック、ロバート・B・ウィード 撮影/ロス・エメリー 美術/エド・バリュー 音楽/マルコ・ベルトラミ

 cast ジェフ・ブリッジス メリル・ストリープ ブレントン・スウェイツ アレクサンダー・スカルスガルド ケイティ・ホームズ テイラー・スウィフト キャメロン・モナハン オデイア・ラッシュ エマ・トレンブレイ

 

 ◎稗田阿礼

 記憶というのは心の遺産みたいなもので、それを継いでいくというのは人類の共通した希望なのかもしれないね。古代の日本では、稗田阿礼みたいな人がたくさんいて、で、記憶を継がせていたのかもしれないんだけど、それが映画になったりするのはどうしても外国で、たとえば、トリュフォーが撮った『華氏451』とかをおもいだす。

 この作品もそれと似たような主題で、レイ・ブラッドベリが『華氏451度』を書いたように、ロイス・ローリーもこの『ギヴァー』を買いて、書の大切さを見つめていくことで人類にとって心の記憶がいかに大切なのかってことを伝えてくれたりするわけだけど、それって本が無くなってしまう恐ろしさという主題に置き換えられるわけで、その方が直接的でわかりやすい。

 ただ、こうした主題はいつの時代も繰り返されるんだな~っておもったのが率直な印象だ。

 映画の作りとしてはサスペンスフルにでき上がって、ジェフ・ブリッジスはこの原作に相当に入れ込んでて、なにが彼をそこまで走らせたのかはわからないんだけど、こうした入れ込みようがあったからメリル・ストリーブも悪役をすんなりと演じてくれたのかもしれないね。

 ちなみに、ぼくもやっぱりテイラー・スウィフトよりケイティ・ホームズがご贔屓だ。

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ミッドナイト・イン・パリ

2015年05月02日 12時06分25秒 | 洋画2011年

 ☆ミッドナイト・イン・パリ(2011年 アメリカ 94分)

 原題 Midnight in Paris

 staff 監督・脚本/ウディ・アレン 撮影/ダリウス・コンジ 美術/アン・セイベル 衣裳デザイン/ソニア・グランデ 音楽/ステファン・レンベル

 cast マリオン・コティヤール レイチェル・マクアダムス オーウェン・ウィルソン キャシー・ベイツ エイドリアン・ブロディ カーラ・ブルーニ マイケル・シーン

 

 ☆真夜中の1920年

 生きる上にはあれこれといろいろなことがあって、ちょっと疲れちゃったりする。

 ぼくなんざ、毎日そんなことの繰り返しだ。で、そういうとき、ふとおもうのは旅に出たいな~とかってことだ。もちろん、現実には旅なんてなっかなかできないし、毎日どうしようもなく忙しい。で、さらにおもうのは「いきなりタイムスリップとかしちゃわないかな~」てことで、できれば、過去のいちばん興味のある時代に行きたいっておもったりする。で、そこで過去の映画人や芸術家や文学者たちと知り合いになって、当たり前の話だけど恋のひとつもしちゃったりできないかな~とかおもうんだ。

 そんな希望というか夢想が映画になったのがこの作品なんだよね。

 だから、パリであるという必然性はどこにもない。上海だっていいし、京都だっていい。1920年じゃなくたっていいし、1939年だっていいし、1582年だっていい。でもまあ、いちばんお洒落で粋な時代と場所がいいよね、やっぱり。そういう点、さすがにパリは筆頭で、あの町の右に出るところはないんじゃないかと。ただ、もしもぼくが行くとしたら、ひとつだけ問題がある。日本語が通じるんだろうかっていう一点だ。あ、でも、ファンタジーなんだから、そんなことを考えても仕方ないか。

 それにしてもウディ・アレンの知識というより教養の高さにはいつものことながら脱帽せざるを得ない。背景に流れる音楽の選曲についてもさすがだ。ただ、今回の場合、上に書いたようなことをさすがのウディ・アレンも夢想してたのかっておもうと、ちょっとだけ安心しちゃったりもするんだよね。

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インベーダーミッション

2015年05月01日 01時27分11秒 | 洋画2012年

 ◎インベーダーミッション(2012年 スペイン 99分)

 原題 INVASOR

 staff 原作/フェルナンド・マリアス  監督/ダニエル・カルパルソロ 脚本/ホルヘ・アレニラス、ハビエル・グジョン 撮影/ダニエル・アラニョ  美術/ファン・ペドロ・デ・ガスパル 音楽/ルーカス・ヴィダール

 cast アルベルト・アンマン アントニオ・デ・ラ・トレ インマ・クエスタ カラ・エレハルデ ルイス・ザヘラ ベルナベ・フェルナンデス ソフィア・オリア フラン・ペレテイロ

 

 ◎イラクに侵攻したのは誰だ?

 原題のINVASORは、英語だとinvaderになる。そう、つまり、侵略者とか侵入者って意味だ。

 イラク戦争において、イラクを侵略したのはいったい誰だったんだ?てな主題になるんだろうけど、たしかに医者のふたりが逃げ込んだ民間人の家で、いきなりの不法侵入をかけてしまったことで、そこの家人と戦う羽目になり、父親を撃ち、その息子を殺し、さらには祖父までも殺してしまった医師がみずからも深手を負い、友人の医師によって自分が撃ってしまったことで死に行こうとしている父親からの輸血を受け、それで生きながらえてしまったことへの罪滅ぼしとも、正義の公表ともいえるような作品だった。

 自分は意識を失ってしまったとはいえ、その間にこの殺人を目撃してしまった家族と親類と近在の住人を、駈けつけた米軍がひとり残らず惨殺してしまったところを友人の医師がコンデジに録画しており、そのコンデジを抱えたまま逃げ、これをスペイン政府の派遣した秘密警察が公表されるのを食い止めるために友人の医師を殺し、さらにカーチェイスまで繰り広げて、穀物工場まで追い詰めてゆくという活劇になっているわけだけれども、そのコピーがテレビ局に送信されていて、寸でのところで公表されるであろうことは途中から予測は立つわけで、そういう予定調和な部分もあるにはあるけど、いや、スピーディだし、絵作りは練れてたし、それなりに楽しめたんじゃないかな。

 ちなみに、インマ・クエスタは知的な雰囲気も備えた美人で、とってもぼく好みなんだけど、華奢な分、こういう切羽詰まった母親役にはぴったりだったわ。

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