Kinema DENBEY since January 1. 2007

☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

ハプニング

2023年02月16日 21時30分21秒 | 洋画2008年

 ◇ハプニング(The Happening)

 

 ナイト・シャラマンは閉鎖された空間の演出はとっても上手な監督だとおもうんだけど、地球上の植物がなんらかの憎悪というか啓示をもって人類に攻撃を仕掛けてくるっていう発想はわからないでもない。ていうより、たまにある。でも、まあ、なんというか、風だけで、たぶん、巨大送風機なんだけど、植物の攻撃性をあらわそうってのは難しくない?

 ただ、いつもどおりのおもわせぶりなところはけっこう楽しめて、蜜蜂が何千万匹も消えた、死骸もないってな予兆を聞くと、あ、ここからの発想かっておもっちゃうけどね。でも、黒板にあるアインシュタインの言葉。蜜蜂が消えたら人類の余命は4年だってのは効いてた。

 道路のそこらじゅうで首を吊っとる死体を見つつ数学の先生が乗り合わせた絶叫ねーちゃんを落ち着かせようと問題を出す。最初に1ドル、2日目に2ドル、3日目に4ドル、倍額で増えていくとひと月後にはいくら?答えられないねーちゃんに1000万ドル以上だ。ってのもわかるんだけど、ま、あってもなくてもいいかな。

 どちらも伏線なんだけど、こういうところは嫌いじゃない。

 でも、フィラデルフィアだけに留まらず、エピローグはベルサイユかしら?風呂敷ひろげてるなあ。

 なんにせよ、尻すぼみな観は拭えないね。

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愛を読むひと

2022年04月03日 00時19分49秒 | 洋画2008年

 ◎愛を読むひと(The Reader)

 

 けっこう身を入れて観ちゃったもんだから、レイフ・ファインズの行動に腹立たしさばかりおぼえる。それも2度、いや、3度。というのも、過去、戦後まもないときに童貞を失って、ケイト・ウィンスレットの身体に溺れているとき、朗読させられつづけたら嫌でも文盲かどうかはわかるってもんだが、それのかけらも気づかないってのは、ちょっと物語上の都合が良すぎないか?

 それをまあ百歩ゆずったにせよ、チンチン電車の車掌から事務方に昇格できる機会があったのに逃げるようにいなくなり、やがてレイフ・ファインズが大学生になったときそのゼミの実習で裁判を傍聴するんだけど、そこでケイト・ウィンスレットと再会し、ナチスの戦犯にさせられ未必の故意を疑われてるんだけど、ここでようやく文盲であることに気づく。だったら、そこで証言して助けようとしてやれよっておもうんだな。というより、物語の上からいってもその方がドラマチックになるし面白くなるっておもうんだけどな。これは作り手に対しての怒りもあるな。

 で、最後のひとつだけど、年老いたケイト・ウィンスレットの出獄直前に面会できたとき、そこで希望を持たせるんだが、ケイト・ウィンスレットとしては頭が悪い分、レイフ・ファインズが自分の身柄をひきとってくれて一緒に棲んでくれるものとおもっていたらそうじゃなかったっていうときの絶望感といったらないわけで、結局、そのせいで首つり自殺をしちゃうわけで、いったい、ケイト・ウィンスレットの人生ってなんだったんだよって。そういう怒りを生ませる物語は大したもんだけど、でも、せっかく感動できる要素のある作品を1段低いものにしちゃった観はある。これじゃだめだ。

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やさしい嘘と贈り物

2021年11月10日 16時03分20秒 | 洋画2008年

 ☆やさしい嘘と贈り物(2008年 アメリカ 92分)

 原題 Lovely, Still

 staff 監督・脚本/ニコラス・ファクラー 撮影/ショーン・カービー

     美術/スティーヴン・アルトマン 音楽/マイク・モーギス、ネイト・ウォルコット

 cast マーティン・ランドー エレン・バースティン アダム・スコット エリザベス・バンクス

 

 ☆約束しましょ、絶対に絶対にあきらめないって

 っていうのは、恋をした老人ふたりがレストランでスプーンで乾杯するときの台詞。

 恋は、若返りの魔法にちがいない、たぶん。

 ぼくは、やはりいつものように、なんの前知識もなく、観た。実は予告編ですべてばらしてしまってるんで、予告編を見ないでよかったわ~とはいえ、まあ、途中からだいたいの目安はついてしまうんだけど、でも、やさしい嘘をつけるようになるまで、町をひっくるめたすべての人々はどれだけの葛藤をしたんだろうと、そんなふうに想像するだけで、胸が熱くなる。

 たしかに、やさしさを前面に出すために、リアルな葛藤はすべて排除されてるんだけど、その分、映画全体をファンタジー色に包み込んでいられる。クリスマスイヴの夜、自分のためにとあるプレゼントを用意し、つまり、明日はこの苦しみから逃れようと自殺を決め、就寝したはずが、翌朝めざめたとき、この孤独な老人は、いつものように身だしなみをちゃんと整え、自宅の扉すら締め忘れてしまうほどの進んでいる哀れさのまま出勤する。

 その扉から、ひとりの老女が入ってくることから、ファンタジーが始まる。

 出だしから、いい調子だ。24歳のデビュー作とはおもえないほど、きめこまやかな演出。ただ、若者だからこそ、痴呆や別居にいたるディティールはおもいきりよく排除できてるんだろう。

 それにしても、これから先、どんどん老人性痴呆症は数を増していくんだろうね。日本だけじゃなくて、アメリカでも深刻な問題になってるんだろう。だから、こういう映画が作られるんだろうけど、ハリウッドの好いところは、老人にみずみずしい恋をさせてしまうことだ。じーさんやばーさんになったって、異性を好きになる。それがたまらない抒情感になってるところが、なんともいいんだわ。

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リカウント

2018年04月26日 00時28分42秒 | 洋画2008年

 ◇リカウント(2008年 アメリカ 116分)

 原題/Recount

 監督/ジェイ・ローチ 音楽/デイヴ・グルーシン

 出演/ケビン・スペイシー ローラ・ダーン ジョン・ハート トム・ウィルキンソン

 

 ◇2000年の米大統領選挙、ブッシュ対ゴア

 しかしアメリカという国はふしぎな国で、パンチ式の投票カードに不備があるんならそれを是正することから始めなければならないのにわけのわからない言葉遊びのような裁判にもっていってそれで大統領選挙の結果を確定させちゃう。

 こんなのありなのか?

 両陣営で戦っている連中は、いったい国家をおもっているのか、それとも単なる選挙というゲームを楽しんでいるだけなのか、よくわからなくなる。

 まあ、シドニー・ポラックが総指揮ってことだからこうした映画なのはなんとなくわかるけど。

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しあわせの帰る場所

2017年11月29日 16時36分56秒 | 洋画2008年

 ◇しあわせの帰る場所(2008年 アメリカ 98分)

 原題/Fireflies in the Garden

 監督/デニス・リー 音楽/ハビエル・ナバレテ

 出演/ジュリア・ロバーツ エミリー・ワトソン ウィレム・デフォー キャリー=アン・モス

 

 ◇Firefliesの意味は、ほたる

 つまり、螢の庭、もしくは庭の螢ってことになる。

 まあなにを暗喩しているのかはさておき、タイトルバックの画面の見事さといったらない。だけど、あとはちょっとだれるかな。小説家ライアン・レイノルズが子供の頃から抱えてきた父親ウィレム・デフォーとの確執が母親ジュリア・ロバーツの事故死を起点にして解消されていくまでの物語だった。

 で、過去のさまざまな風景と現在とが交互に語られるのはまあいいし、ほぼ同年代の叔母エミリー・ワトソン(若いときはヘイデン・パネッティーアね)と昔になにがあったのかは観客の想像に任せるかたちにしてるものの、小説『庭のほたる』に書いてあってそれが周りの連中に読まれたらとんでもないことになるってことから簡単に想像できる。あ、ほたる、出てきちゃったね

 けどまあ、母親が自分の大学時代の友人と不倫していたって事実はどうなのかな~。要らないんじゃないかな~っておもえた。まあ、父親も浮気をしたこともあるって匂わせる夫婦喧嘩の場面はあるものの、けっこう母親の方はかなり本気で不倫してたみたいで、こういうのを見つけてしまう息子の立場ってのは辛いよね。なんていうか、どうしようもない憎しみをいかにして赦していくのかっていうのが主題なのかなと。

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U.N.エージェント

2017年08月14日 14時06分04秒 | 洋画2008年

 ◇U.N.エージェント(2008年 フランス、ポーランド、イタリア 96分)

 原題 Résolution 819

 監督 ジャコモ・バティアート

 出演 ブノワ・マジメル、イポリット・ジラルド、カロリーナ・グルシュカ、クリストフ・オーデン

 ◇1995年7月、スレブレニツァの虐殺

 1995年夏のボスニアヘルツェゴビナにおける8,373人を超える犠牲を出したスレプレニツァの虐殺と殺されたボシュニャク人の死体遺棄を暴こうとする警官の3年におよぶ捜査と旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷なんだけど、テレビ映画だからか、いまひとつ迫力と盛り上がりに欠ける。ヒロイン年法医人類学者が地雷を踏んだのをサスペンスにするくらいなら他に方法がありそうな気もするけど捜査官との仲を親密にする展開からすればありかなとも。

 それにしてもブノワ・マジメル、煙草、喫いすぎだろ。

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ルイーサ

2015年10月31日 01時04分34秒 | 洋画2008年

 ☆ルイーサ(2008年 アルゼンチン、スペイン 110分)

 原題 Luisa

 監督 ゴンサロ・カルサーダ

 

 ☆猫の名はティノ

 飼い猫が死んで、務めてた霊園を経営者が愛人を雇ってやりたいがために解雇され、家政婦として働いてた女優の家からも解雇され、遅配されていた給料はもはや期待できず、銀行の貯金はほぼ底を尽き、手持ちの金は500円しかないから猫の埋葬もしてやれずとりあえず冷凍庫に保存し、乗り方もわからない地下鉄で幸福のカードを売ろうとしたが売れず、ちんばの乞食になったり、めくらの乞食にもなってみたりしたけど無理で、あげくの果てに不良のスリどもからは暴行されるという、人生のどん底まで叩き落とされた還暦の老女の話なんて、いったいどこがおもしろいんだってなところなんだけど、実はすごくおもしろかった。

 片足の乞食とアパートの管理人とがなんとか彼女の理解者というか協力者になってくれるから、まあ、孤独だったのが孤独じゃなくなったってことだろうし、最後、猫の火葬を女優のマンションの屋上にあるごみ焼却炉でしてやったときにはちょっとばかり希望の灯が点ったような気もしないではないけど、そういう理不尽な物語を淡々と客観的に描くことで、恥も外聞も見栄もかなぐり捨てて死にもの狂いで生きようとする人間は傍から見てるとなんとまあ滑稽なんだろうってこともひしひしと伝えられてくる。

 いや、実にしっかり作られてる。ルイーサを演じたレオノール・マンソっていう女優さんも上手だったしね。けど、アルゼンチンって国はこういう人々が少なくないんだろうか?ブエノスアイレスってなんとなく行ってみたい感じのするところなんだけど、どうなんだろね。

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ラスベガスをぶっつぶせ

2015年09月05日 20時09分27秒 | 洋画2008年

 ◇ラスベガスをぶっつぶせ(2008年 アメリカ 122分)

 原題 21

 監督 ロバート・ルケティック

 

 ◇変数変換ってなんだ?

 映画を観ている間は、なんとなくカウントについてわかった気でいたんだけど、観終わるのと同時にまったく説明できなくなった。それくらい難しいことで、おいそれと真似のできるものじゃない。それもそうで、ラスベガスでブラックジャックのカンティング事件をひきおこしたのはマサチューセッツ工科大学の中でもきわめて優秀な学生たちだったらしい。だから、もちろん、ぼくなんぞが説明できるものじゃない。ここでは数学に超絶的な才能を持った学生たちがいるんだっていう前提だけ知った上で、映画を楽しめばそれでいい。

 とはいえ、人間、ギャンブルで勝ちを経験すると、どうしてもやめられなくなっちゃうものなのかもしれない。ことにラスベガスでバカ勝ちすなわちチキン・ディナーを経験したりしたら、それはもう後戻りできなくなっちゃうんだろう。学費を稼ぐためだけだったのが、いつのまにやらギャンブラーになっちゃって、しかも、理論的にかならず勝ってしまうなんていうとんでもない立場になったら、ブラックジャックに溺れちゃうのは無理もない。

 ただ、違法じゃないそうだから、なにも映画のように捕まって叩き出されるわけでもないらしいけど、それでもペナルティは課されるそうで、いや、こういうのって仕方ないかもしれないとはおもいつつも、猛烈に勉強して得られる勝ち方なんだから、ちょっとだけ大目に見てやるってわけには、まあ、いかないんだろうね~。

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イエスマン “YES”は人生のパスワード

2015年08月27日 14時17分02秒 | 洋画2008年

 ◇イエスマン “YES”は人生のパスワード(2008年 アメリカ 104分)

 原題 Yes Man

 監督 ペイトン・リード

 

 ◇YESという言葉の意味

 ぼくはたいがい「YES」といってしまう。

 それでどれだけ辛酸をなめてきたことか。

 だって、物事をなにか頼まれたとき、ここで断わったら相手に悪いじゃないかっておもうからだ。だから、多少の無理をしても「YES」といってきた。やりたくないこと、気の進まないこと、いやだなとおもうこと、やらない方が自分のためだと予想がつくこと、その他もろもろ、たいがい、どうしようかな~とおもったことで「YES」といっちゃうと、ろくなことがない。ぼくにこの「YES」病がなかったら、今頃、大金持ちになってる、かもしれん。

 まあ、ぼくのことはともかく、日本人の多くが「YES」しかいえないんじゃないかともおもう。まあそんなに長くないけれども自分の人生をふりかえってみると「NO」といってきた人間を、ぼくは我儘な人間だとおもってきたし、でも「NO」といえる奴はたいがい人生に成功してる。そんな気がしてきた。あ、この頃「NO」という人間が増えてきたような気もする。若い人達だけれどね。かれらはいとも簡単に「NO」という。もちろん、そういう人もいるしそうでない人もいるんだろうけど。

 で、おもうのはここでいう「YES」と「NO」なるものは、前向きかどうか、明るくふるまえるかどうか、ということであって、相手のいうとおりにするかどうか、相手の期待に応えなくちゃいけないのかどうか、ということではないんだよね。

 ジム・キャリーはあいかわらず大仰な演技ながらとってもうまくて、かれでなければものすごくうそっぽいコメディになってたような気がしないでもない。ただ、おばあちゃんのフェラチオにまで「YES」といっちゃったり、それがもとでせっかく知り合えたズーイー・デシャネルとの間に不穏な空気が流れたり、まあ、いろいろなことはあるものの、ラストの「常にYESということが大切なのではなく、YESかどうかを自身でしっかりと判断できることが大切なのだ」というなんともあたりまえな結論に持っていくための作られたベクトル上のものでしかないことがありありとわかってしまう分、ちょっとね。

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夏時間の庭

2014年10月19日 02時00分54秒 | 洋画2008年

 ◇夏時間の庭(2008年 フランス 102分)

 原題 L'Heure d'ete

 staff 監督・脚本/オリヴィエ・アサイヤス 撮影/エリック・ゴーティエ

     美術/フランソワ=ルノー・ラバルト 衣装/アナイス・ロマン、ヨルゲン・ドゥーリング

 cast ジュリエット・ビノシュ シャルル・ベルリング カイル・イーストウッド エディット・スコブ

 

 ◇パリ郊外の町ヴァルモンドワ

 ぼくもずいぶんといい年になってきたもんだから、

 ときおり、死ぬときのことを考えたりする。

 まあいろいろと買いあさったものもあったりして、ちっとも整理できてないから、

 このあたりのものをちゃんと整理してから死なないといけないなとおもうし、

 実家の親にまんいちのことがあったりしたら、その整理はどうしようとかと悩んだりもする。

 誰もが身近にそういう心配を抱えている分、この映画は決して他人事じゃない。

 とはいえ、オルセー美術館に寄付できるような美術品のある家はそうざらにないけどね。

 フランスでヒットしたとかいうけど、ほんとだとしたら、フランス人の鑑賞眼はたいしたもんだ。

 なんとなく観に行く映画とはおもえないほどの静寂と哲学と死生観に満ちている。

 家族がそろっているときは、その夏の時間は豊饒であるのに対し、

 母親という鼎がなくなってしまうと、もはや豊饒たる夏はめぐってこない。

 屋敷は朽ち果て、庭は荒れ果てる。

 屋敷も庭も、その時代ごとの風景に移り変わっていく。

 そういう寂寞感が濃厚に漂う内容だ。

 長男だって次男だって長女だって、自分たちの実家や母親の遺品を手放したくはない。

 でも、アメリカにいたり、中国にいたり、新しい家族ができたりしてくれば、

 どうしたところで実家には住めないし、

 どれだけ価値のある美術品があったところで現在の生活には必要ない。

 ここに出てくる家族がまだしも幸福なのは、心の底から憎しみ合ってはいないことで、

 それはおそらく親のしつけが行き届いていたということもあるんだけど、

 なによりお金に余裕があったんだろうっておもったりする。

 金持ちは、喧嘩をしない。

 ただし、成金は、喧嘩をするけどね。

 つまり、潤沢にお金のある良家の人間は怒りをあらわにすることがない、という哲学だ。

 ぼくはそれは真実だとおもってる。

 この作品の家族はおそらくその部類で、役者たちもいかにもそれっていう人間が揃えられてる。

 クリント・イーストウッドの息子までもがフランスに招かれて出演してるんだから推して知るべしだ。

 まあ、ヨーロッパやアメリカの場合、こういう映画は余裕をもって撮れるのかもしれないけど、

 邦画はどうなんだろね。

 なんてことをついおもっちゃったわ。

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ファンボーイズ

2014年10月13日 03時00分22秒 | 洋画2008年

 ◇ファンボーイズ(2008年 アメリカ 90分)

 原題 Fanboys

 staff 監督/カイル・ニューマン 原案/アーネスト・クライン、ダン・ピューリック

    脚本/アーネスト・クライン、アダム・F・ゴールドバーグ

    製作/ケビン・スペイシー、エヴァン・アストロウスキー、デイナ・ブルネッティ

    撮影/ルーカス・エトリン 美術/コリー・ロレンゼン 音楽/マーク・マザーズバー

 cast ジェイ・バルチェル ダン・フォグラー サム・ハティントン クリス・マークエット

 

 ◇カメオの豪華さ

 1998年、待望の『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』封切り直前。

 この超くだらない物語が展開されるんだけど、

 スターウォーズきちがいのファンたちが、

 末期がんの友達に『ファントム・メナス』を見せようと、

 スカイウォーカーランチへ泥棒に入るという気持ちは、

 わからないでもない。

 でも、およそ日本では考えられないような物語で、

 まあ、そもそも日本には『スター・ウォーズ』や『スター・トレック』みたいな映画はないし、

 はなから存在しようもない筋立てではあるんだけどね。

 なんにしても、くだらないことおびただしい内容ではあった。

 ところが、こういう映画をほんとに作っちゃうところがアメリカの素敵なところで、

 なんといっても、この主題に乗ってくれてる大物俳優たちがいることが、うらやましい。

 レイア・オーガナ役だったキャリー・フィッシャーが女医の役を、

 ランド・カルリジアン役だったビリー・ディー・ウィリアムズが判事の役を、

 ダース・モール役だったレイ・パークがスカイウォーカーランチの警備員の役を、

 それぞれ演じてくれるなんざ、ちょいと凄い。

 それに加えて『スター・トレック』のジェームズ・T・カーク役だった、

 ウィリアム・シャトナーが本人であるウィリアム・シャトナー役を、

 それも悪人であるという設定で演じてくれるなんてのは、かなり凄い。

 ハリウッドがうらやましいわ。

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ベガスの恋に勝つルール

2014年10月04日 13時43分03秒 | 洋画2008年

 △ベガスの恋に勝つルール(2008年 アメリカ 99分)

 原題 What Happens in Vegas...

 staff 監督/トム・ヴォーン 脚本/デイナ・フォックス

    撮影/マシュー・F・レオネッティ 美術/スチュアート・ワーツェル

    衣裳デザイン/ルネ・アーリック・カルファス 音楽/クリストフ・ベック

 cast キャメロン・ディアス アシュトン・カッチャー ロブ・コードリー デニス・ミラー

 

 △強制結婚の結末

 発想としてはありだ。

 酔った勢いの結婚の瞬間、偶然手に入れた300万ドル。

 これを確実に自分たちのものにするためには、

 半年間の結婚生活を送り、その上で離婚しなければならない。

 そうすれば自分たちは山分けできるし、

 結婚生活に失敗すれば弁護士に持っていかれる。

 で、相容れないふたりが新婚生活を始めるというものだが、

 喜劇の結末はもちろん最初から見えている。

 だから、途中からもうどうでもよくなってきて、

 作劇の悪乗りぶりに溜め息をつきかねない羽目になるんだけど、

 まあなんていうのか、

 キャメロン・ディアスの妙に色気にあるおばかキャラは、

 それが地なのかあるいは演技なのかわからないけど、

 いかにもヤンキーのいかれぽんちのセックス大好き娘の役が、

 これほどぴったりしちゃう女優もめずらしいかもしれない。

 貴重といえば貴重なんだろうけど、一歩まちがうとおもいきり滑る。

 で、滑った。

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バンク・ジョブ

2014年10月01日 00時46分37秒 | 洋画2008年

 ◎バンク・ジョブ(2008年 イギリス 110分)

 原題 The Bank Job

 staff 監督/ロジャー・ドナルドソン 脚本/ディック・クレメント、イアン・ラ・フレネ

    撮影/マイケル・コールター 美術/ギャヴィン・ボケット

    衣装デザイン/オディール・ディックス=ミロー 音楽/J・ピーター・ロビンソン

 cast ジェイソン・ステイサム サフロン・バロウズ リチャード・リンターン ミック・ジャガー

 

 ◎1971年9月11日、ロンドン

 土曜から日曜にかけてのことだったらしい。

 ベイカー街のロイズ銀行が襲われ、数百万ポンドの現金と宝石類が強奪された。

 壁には塗装スプレーで「シャーロック・ホームズに解決させてみろ」とあった。

 ロンドン警視庁は後手に回り、連日大々的に報道された。

 ところが、ある日を境にぴたりと沈黙した。

 英国政府が歴史上数回しか発したことのないD通告(国防機密報道禁止令)を発令したためだ。

 盗まれた品物の中に英国王女のスキャンダラスな写真があり、

 また政府高官や裏社会の顔役、汚職警官らの秘密の書類まで預けてあったからだ。

 これにより、犯人たちはひとりまたひとりと消されていくことになる。

 というのが物語の設定なんだけど、これは実際の事件がもとになってる。

 どこまでがほんとかといえば、D通告が発せられたところまでだ。

 その後、犯人たちが消されていったかどうかはよくわからない。

 実際の犯人はジョージ・マッキンドーというらしく、

 かれらは銀行に忍び込む実行犯と前のビルの屋上で待機する見張り犯とに分かれ、

 無線で連絡しあっていたんだけど、この無線がアマチュア無線家に傍受された。

 無線家はロバート・ローランズといって、かれが警察に通報して捜査が始められたわけだ。

 ところが、その後、4人の実行犯は逮捕されたものの、それで捜査も報道も打ち切られた。

 MI-5が陰で暗躍していたからだっていうのが映画の説で、

 そもそもジェイソン・ステイサムが銀行強盗をする羽目になったのも、

 サフロン・バロウズが空港で身に覚えのない麻薬所持で逮捕され、

 証拠不十分で釈放してやってもいいがそのかわり銀行強盗をしろと持ち掛けられたのが発端だ。

 で、この取引を持ち掛けてきたのがMI-5だったてな話の展開になってて、

 その理由は政府の汚濁を一掃するためで、もちろん、英国王室のスキャンダルの封印もある。

 けど、これはあくまでも製作者たちの推論であって、真実はわからない。

 コマ切れになってる情報を繋ぎ合わせてみると、こういうことなんじゃないのって話だ。

 それにしても、よくできてる。

 実はぼくはジェイソン・ステイサムが苦手で、かれの作品はあんまり見ない。

 男臭すぎるっていうか、なんていうか、あんまり友達になりたくないタイプだ。

 まあ、こういうアクの強い男はぼくとは反対にとっても好きだっていうファンもつきやすい。

 たぶん、役者としては不可欠な魅力を持ってるってことなんだろね。

 実際、この映画のジェイソン・ステイサムはかっこよかった。

 苦手であることには変わりないんだけどね。

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ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡

2014年07月02日 19時45分21秒 | 洋画2008年

 ◎ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡(2008年 アメリカ 109分)

 原題 BOTTLE SHOCK

 staff 監督/ランドール・ミラー

     製作/J・トッド・ハリス、マーク・トベロフ、ブレンダ・ローマー、

         マーク・ローマー、ジョディ・セイヴィン、ランドール・ミラー

     原案/ロス・シュワルツ、ラネット・パドン、ジョディ・セイヴィン、ランドール・ミラー

     脚本/ジョディ・セイヴィン、ランドール・ミラー、ロス・シュワルツ

     撮影/マイケル・J・オジアー 編集/ランドール・ミラー、ダン・オブライエン

     美術/クレイグ・スターンズ 音楽/マーク・アドラー

 cast クリス・パイン アラン・リックマン ビル・プルマン レイチェル・テイラー

 

 ◎1976年5月24日午後、パリ

 世にいう「パリ、テイスティング事件」が起こったのは、

 インターコンチネンタル・ホテルのパティオだ。

 世界的なワイン通で知られる9人の審査員による、

 カルフォルニア・ワインとフランス・ワインとのテイスティング・イベントで、

 主催したのは、

 マドレーヌ広場の近くでワインショップを経営する34歳の英国人で、

 アラン・リックマン演ずるところのスティーヴン・スパリエだ。

 このイベントは、フランスのワイン通からはそっぽを向かれていた。

 マスコミもほとんどが無視した。

 あたりまえの話で、

 伝統的なフランス・ワインが無名のカルフォルニア・ワインに勝てるはずがない、

 と、誰もがおもっていたからだ。

 ところが、いざ蓋を開けてみると、とんでもない結果になった。

 白ワインも赤ワインも、優勝したのはどちらもカルフォルニア・ワインだったんだから。

 この事実は、

 たったひとりイベントに参加していた新聞記者によって報道された。

 記事のタイトルは『パリスの審判 Judgment of Paris』で、

 タイム誌のパリ特派員を勤めていたジョージ・テイパーによる。

 世界中がびっくりした。

 フランスはこの世の終わりのように沈黙し、

 アメリカは建国200年の最大のニュースのようにそこらじゅうが湧いた。

 そしてなんとも恐ろしいことに、

 フランスによるリターン・マッチと称して、

 1986年と2006年にこのテイスティング・イベントは催されたんだけど、

 どちらも、勝ったのはカルフォルニア・ワインだったんだよね。

 ちなみに、

 1976年の赤ワインの優勝は、

 スタッグス・リープ・ワインセラーズ1973で、

 白ワインの優勝は、

 シャト・モンテリーナ1973だった。

 1986年は赤ワインの審査だけだったんだけど、

 優勝したのはクロ・デュ・ヴァル1972で、

 さらに2006年、

 優勝したのはリッジ・モンテベッロ1971 で、

 スタッグス・リープ・ワインセラーズ1973は2位だった。

 ちなみに、リッジ・モンテベッロ1971 ってのはすごいワインで、

 1976年は5位、1986年は2位だったんだ。

 いやまあ、呑んだことはないけど、とっても美味しいんだろう、たぶん。

 で、映画はアラン・リックマンがいかにも板についた英国紳士を演じてるんだけど、

 なかなか味わいぶかい。

 几帳面ながらも自分の舌に絶対的な自信を持っていて、

 フランスワインが世界一だっていうのは幻想だといいきり、

 わざわざカリフォルニアまで出向いていって、美味しいワインを探してくる。

 こういうあたり、イギリス人とはおもえないくらい行動的で、

 いかにもアメリカ人が好みそうな人物ぶりだ。

 この映画は食に対するこだわりだけど、

 世の中、得てしてこんなもんで、

 世間がおもしろいとか口をそろえる映画や小説なんてものは、

 たいがい観たり読んだりしないでおもしろいと流される。

 自分の舌や眼がいかに大切なものかってことを、

 他人の意見に左右されず、

 自分の感覚を信じないといけないってことを、

 この映画は教えてくれてるんだよね。

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新しい人生のはじめかた

2014年05月26日 01時49分24秒 | 洋画2008年

 ◇新しい人生のはじめかた(Last Chance Harvey 2008年 アメリカ)

 ダスティン・ホフマンとエマ・トンプソンの恋愛って、

 それだけでも22歳の年の差があるわけなんだけど、

 どうなんだろ?

 娘の結婚式に呼ばれたのに、

 義父にヴァージンロードを取られちゃうCM音楽作曲家の男が、

 婚期を逃した不器用で奥手の、

 小説を書くことが趣味という孤独な四十代後半の女に対して、

 ストーキングまがいのつきまといをして、

 すったもんだの末にもしかしたら伴侶になるかもしれないね、

 みたいなラストで締めくくっちゃうのって、

 はたしてアリなんだろか?

 そりゃあ、誰だって、

 自分が孤独だと自覚したら、

 そこからなんとかもがきだそうとして、

 新たな恋の相手を探そうとするかもしれないけど、

 ちょっとばかり都合が好すぎるような気もするし、

 あまりにも安易な声掛けっていうかひと目惚れっていうか、

 話の展開がわかりすぎるくらいによくわかっちゃうのは仕方ないけどさ。

 でも、まあ、

 熟年の夢物語とでもおもえば許せる範囲かもしれないね。

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