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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

スケアクロウ

2009年03月31日 23時40分04秒 | 洋画1971~1980年

 ☆スケアクロウ(1973年 アメリカ 113人)

 原題/Scarecrow

 監督/ジェリー・シャッツバーグ 音楽/フレッド・マイロー

 出演/ジーン・ハックマン アル・パチーノ アイリーン・ブレナン

 

 ☆ピッツバーグ、往復切符だ

 当時、ロードムービーは花盛りだった。それはやがて邦画にも波が来て、この映画のパロディも作られたりした。ぼくらはロードムービーといえば真っ先におもいうかべるのは『旅の重さ』なんだけど、衝撃を受けたといいきれるのはおそらくこの作品だろう。

 ぼくはこの映画は2番館もならない3番館で観た。冒頭からして、ショックをうけた。からっ風の中にふたりがいて、その間をまるまった枯れ枝が転がっていく。なんでそんなものを観ただけで感動しちゃったのかわからないんだけど、ふたりが酒場のカウンターでどうにも意気投合するのがふしぎだった。

 ジーン・ハックマンはどこからどう見ても武骨で、暴力的で、威張ってて、押しが強くて、もうなにからなにまでぼくの嫌いなタイプだったし、アル・パチーノは腕力がないから優しすぎるくらいに優しくて、気が弱くて、遠慮して、でも陽気にふるまって、ただその明るさが鼻についたりした。

 つまりは、ぼくの目から見てもこのふたりは友達はいないんだろうな~って感じのふたりだった。だから意気投合したのかもしれないんだけど、それからはもう印象的なシーンが続いて、そのおかげでぼくは今でも何枚か重ね着したりするようになっちゃったんだけどそれはさておき、ラストのライオンの噴水でアル・パチーノが錯乱しちゃうまで、もう目は銀幕に釘付けになっちゃってた。おもしろかった。

 影響を受けないやつはいなかったろう、たぶん。

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着信アリ Final

2009年03月29日 17時07分22秒 | 邦画2006年

 ◇着信アリ Final (2006年 日本 105分)

 監督/麻生学 音楽/遠藤浩二

 出演/堀北真希 黒木メイサ 板尾創路 チャン・グンソク 小泉奈々 大島かれん 吉永毎莉奈

 

 ◇転送すれば死なない

 前作までとは繋がりのない内容で、船で行く修学旅行先の釜山とおぼしき所で惨劇が起こってゆくものの、イジメの復讐譚という非常に類型的な展開というか、もうこれでもかってくらいに時代の風俗を取り込むのに一所懸命な感じがして、あんまり好い気分はしない。

 要するに、昔からある「呪いの手紙」が、『リング』で「呪いのビデオ」になって、さらに「呪いの携帯」になってと、あれよと見る間に進化してきたものの通過地点のような作品だってことはまちがいない。

 ただな~なんというのか、堀北真希の演じる生徒を怨霊が乗っ取ることについて、なんの必然性もないところが、なによりもつらいかな。

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着信アリ2

2009年03月28日 12時43分24秒 | 邦画2004年

 ▽着信アリ2(2004年 日本 106分)

 監督/塚本連平 音楽/遠藤浩二

 出演/ミムラ 吉沢悠 瀬戸朝香 ピーター・ホー 小林トシ江 鰐淵晴子

 

 ▽子供への姿勢の問題

 すべての謎が台湾の炭鉱にあって、怨念に共鳴した美々子が前の事件を起こし、ふたたび共鳴が起こって恋人殺しの連鎖が生じてゆくという設定はそそられるんだけど、子供の口を縫って生き埋めにされた怨念という筋にはまったく共感しがたい。

 そういう映画だ。

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着信アリ

2009年03月27日 02時05分09秒 | 邦画2003年

 ◇着信アリ(2004年 日本 112分)

 監督/三池崇史 音楽/遠藤浩二

 出演/柴咲コウ 堤真一 吹石一恵 石橋蓮司 永田杏奈 筒井真理子 松重豊 竹花梓

 

 ◇死を予告する携帯電話

 見ると死んじゃうビデオテープってのがあったじゃん、あれの携帯電話版ってこと?

 とおもって観たんだけどね、誰もが一度は考えて仲間と雑談したものがそのまま物語になってるって感じなのは、いかにも現代的な感じがしていいとはおもうんだけどさ。

 ただ、なんていうのかな、過去の悲劇による恨みと現在の犠牲者たちの因果関係がまるでないんだよね。だとしたら携帯に電話が掛ってくる人間は特定できない筈だし、一か所の集団に集中するってのがよくわかんない。

 まあ、そういうことをいいだしたらいろいろ出てきちゃうんだけど、なににしても、どうにもチグハグな印象を受けた。演出の問題だろうな。

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レッドクリフ PartII -未来への最終決戦-

2009年03月20日 12時21分21秒 | 洋画2009年

 ◎レッドクリフ Part2 未来への最終決戦(2009年 中国、香港、日本、台湾、韓国 145分)

 原題/赤壁2:決戰天下

 監督/呉宇森(ジョン・ウー) 音楽/岩代太郎

 出演/金城武 トニー・レオン リン・チーリン ヴィッキー・チャオ 中村獅童

 

 ◎フランス版が見たい

 ジョン・ウーのことがうらやましくなるくらい、奔放に撮ってる。

 いや、それにしてもリン・チーリンは綺麗だった。映画はこれがデビューなんだね。知らなかった。で、そこであらためておもうのはヴィッキー・チャオの可愛さだ。このときが絶頂で、やっぱり『少林サッカー』のインパクトは強かったんだね。

 ただまあ、なんにしても長いわ。あまりに長尺すぎて戦いに厭きる。

 やっぱりフランス人はそういうところが賢くて、これは長くてだれるから切っちゃおうよっていう姿勢はいいね。1と2を合わせて145分の『レッドクリフ特別版 RED CLIFF INTERNATIONAL VER.』とかいうのを編集しちゃったらしいんだけど、それがいいな。赤壁の戦いについては三国志好きならもう誰もが知ってるわけで、いまさらなにか説明してもらう必要もないような気もするんだけど、そうでもないのかな。

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レッドクリフ Part I

2009年03月19日 12時47分58秒 | 洋画2008年

 ◎レッドクリフ Part I(2008年 中国、香港、日本、台湾、韓国 145分)

 原題/赤壁

 英題/Red Cliff Part I

 監督/呉宇森(ジョン・ウー) 音楽/岩代太郎

 出演/金城武 トニー・レオン リン・チーリン ヴィッキー・チャオ 中村獅童

 

 ◎八門の陣は長すぎ

 関羽と張飛と趙雲の見せ場をそれぞれつくって性格とかも描き分けなければならないのと、呉がどうしたところで主体になるものだから周瑜と甘興(モデルは甘寧ね)もやっぱり描かないとあかんじゃんとかってなったため、いたずらに合戦が長引き、かなりのだれが生じてる。

 これは、つらいよ。

 とはいえ、絵作りは流石で、音楽はこののち三国志といえばこれって感じのもはや古典のような扱いをされるにいたるわけだから、いや、まじに優れものだ。最初はなんだか派手だな~とかおもってたんだけど、これはこれでいいのだとおもうようになると、この作品をおもいだすのと同時に頭の中で鳴り響くんだから、凄い。

 でもまあ、壮大な予告編というのがいちばんしっくりくるんじゃないかしらね。

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完全なる飼育・愛の40日

2009年03月14日 03時28分09秒 | 邦画2001年

 △完全なる飼育 愛の40日(2001年 日本 89分)

 監督/西山洋市 音楽/遠藤浩二

 出演/竹中直人 深海理絵 緋田康人 野田よしこ 徳井優 ユキオ・ヤマト

 

 △半透明の銀色UFO

 せっかくの竹中直人がまるで活かされていないのは不満とするところではある。リアルさは前よりあったけど、そもそも拉致誘拐した女性が従順になる事に辛さがあるような気がするんだけど、どうなんだろね。UFOについては扱いが微妙でいい感じではあるかな。

 そんなことはともかく、この監督の西山洋市は1959年生まれで、聞くところによると早稲田大学のシネマ研究会、通称シネ研にいたんだそうな。ああ、作り方の感覚みたいなものがなんとなくわかるわ~って気がするのは勝手なおもいこみなんだろうか。

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完全なる飼育

2009年03月13日 13時49分16秒 | 邦画1991~2000年

 △完全なる飼育(1999年 日本 90分)

 監督/和田勉 音楽/十川夏樹

 出演/竹中直人 小島聖 渡辺えり子 佐藤慶 泉谷しげる あき竹城 石井苗子 塚本晋也 北村一輝

 

 △新藤兼人、よく脚本書いたなあ

 竹中直人のひとり舞台っていうか、コメディの題材かよとおもえちゃうくらいになんだか奇異な感じを受けた。

 というよりも前に上滑りするギャグと設定は相当にお粗末で、情けないくらい脚本と演出が稚拙だ。

 効果音はまあまあだけどセットもばればれでがっくりするし、小島聖はたしかに綺麗だけど女子高生の意識と台詞にリアルさが欠片も感じられないのは辛さをとおりこして呆然とする。

 ほんとうに新藤兼人が書いたの?と訊きたいくらいだけど、まあ考えてみれば、和田勉という人は重低音の効果音を用いたテレビが得意なわけで、映画的な情緒は期待したらあかんのかもしれんね。濡れ場の撮影のときなんか、演出はできないとか言い捨てて出てっちゃったとかいうし。脚本もずいぶんといじっちゃったんじゃないかしら?

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母べえ

2009年03月11日 17時44分52秒 | 邦画2007年

 △母べえ(2007年 日本 132分)

 監督/山田洋次 音楽/富田勲

 出演/吉永小百合 浅野忠信 檀れい 志田未来 坂東三津五郎 笹野高史 中村梅之助 大滝秀治

 

 △わが青春に悔いなし山田版?

 思想犯と呼ばれた人達の悲哀はわからなくもないし、なるほど野上家はそういうふうに生きてきたのかとおもえるし、晩年の黒澤明とかなり親密そうに見えた山田洋次が選ぶのもよくわかる内容だともおもうんだけど、でもな~なんで今の時代にこの物語なんだろうって素朴に感じちゃうんだけどね。

 ていうか、このなんともいえない美しすぎる物語がどこまでほんとうの話なのかはわからないけど、書生が師の奥方に横恋慕して、鈍感さ故かあるいは感じとりながらも素知らぬふりをしてか、ともかくその好意を厚意として受けるという姿勢はどうよと。

 もしも、あまりの鈍感さでもって自分に惚れている男の奉仕に対してなにも報いることなく受け続け、やがてなんだか悲劇を背負ったみたいにその死を受け止めるという女性像はありなんだろうかと。いやあ、それでいいのだといえる男は凄いとおもうんだけど、なんだか無法松のようでいてそうでないんだよね、これが。

 われながら、ふしぎだ。

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