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☆=☆☆☆☆☆
◎=☆☆☆☆
◇=☆☆☆
△=☆☆
▽=☆

真白き富士の嶺

2024年08月30日 16時34分40秒 | 邦画1961~1970年

 △真白き富士の嶺(1963)

 

 太宰治の『葉桜と魔笛』が原作といわれても、そんな短編があることすら知らなかった。吉永小百合、23歳。若いわ。白血病で逗子に住むと。なるほど、転地療養だね。

 逗子が田舎なのはさておき、不治の病でちょっと心がねじくれた妹と姉の物語なんだけど、へ〜、吉永小百合がエキセントリックな妹で、妹おもいの姉が芦川いづみとはおもわんかったな。浜田光夫は、療養してる吉永小百合と出会うヨット部の青年なんだけど、ここでもコンビなのね。でもかなりカットされてるのか、吉永小百合は芦川いづみと小高雄二にも焼き餅を焼いてる観があって、どうもしっくりこない。

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クリード 炎の宿敵

2024年08月28日 19時17分06秒 | 洋画2018年

 ◇クリード 炎の宿敵(Creed II)

 

 ウクライナ、キエフ。おお、なるほど、ドラゴの息子が相手か。しかし、ドラゴは複雑な人生を背負っちゃったなあ。そうか、用無しの烙印をおされてモスクワから放逐されてからはウクライナにいたのか。それで、モスクワに凱旋するのも束の間…。きびしいな、これは。

 問題はドラゴの息子の設定で、ニールセンの息子でもあるわけだから、モスクワのエリートとして君臨しててもいいわけで、ドルフ・ラングレンを復讐の鬼にするならスタローンともうすこしからませた方がよくないか?おたがい息子と相容れない仲なんだし。

 

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ロング・エンゲージメント

2024年08月27日 18時17分13秒 | 洋画2004年

 ◎ロング・エンゲージメント(Un long dimanche de fiançailles)

 

 難しい。つまりは『ひまわり』の第一次大戦フランス版なんだけど、ジャン=ピエール・ジュネのコケティッシュな演出がときに煩わしく、物語に入り込めない。ただ、戦場のフラッシュ・バックのときに、画面まで挟み込んで説明しているところからすると、やっぱり演出側も難しいとおもったんだろう。

 オドレイ・トトゥは『アメリ』からもわかるとおりだけど、マリオン・コティヤールやジュディ・フォスターが要所に出てて、なんとなくほっとするのはどうしてなんだろう?

 なんにしても、5人のノロマな兵士が、フランス軍とドイツ軍の間に追い出されて処刑代わりになるビンゴ刑が今ひとつ要を成してないようで、ほかに筋立てはなかったんだろうかともおもえる。

 両親が死んで叔父夫婦にひきとられて、小児麻痺で足を悪くして、運命の相手に巡り合った頃の、とくに燈台のシーンとかが秀逸な分、もうすこし凝縮した脚本はできなかったんだろうかと。断片的にはわかるんだけど、全体像がうまくつかみきれない。マリオン・コティヤールがギロチンされる佳境になってようやく見えてくる。

 画像はすごい。1920年代のパリも郊外も戦場もみごとに再現されているし、爆裂してゆく塹壕もよく撮れてる。

 けど、わかりにくいんだなあ。MMMの意味はわかるし、予定調和な最後もいいんだけど、素直に納得するにはマリオン・コティヤールのエピソードは要らないし、あれもこれもと入れ過ぎてる気がするね。

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ドント・ウォーリー・ダーリン

2024年08月21日 18時25分33秒 | 洋画2023年

 ◎ドント・ウォーリー・ダーリン()

 

 なんておしゃれな田舎暮らし。

 ビクトリー計画987日目の朝、セキュリティレベル黄色。なんじゃそれは。

 バレエのお仲間におどおどした可愛い子ちゃんが入った日、卵がすべて殻だけになってるとか、不安を募るなあ。知り合いの黒人がキチガイあつかいされるがちがう。幻想がつぎつぎに起こり、紅い服の男たちに引き戻される。つのるなあ。

 万華鏡のダンスがまた不安をつのらせるが、上手なシンクロナイズ。けど半分すぎても謎が解明されないのは、ちょっとなあ。おもわせぶりが長い。

 なるほど、クリス・パインのプログラムか。

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リスボン特急

2024年08月20日 18時07分08秒 | 洋画1971~1980年

 ◇リスボン特急(Un flic)1972年

 

 ジャン=ピエール・メルヴィルの遺作だったのか…。リチャード・クレンナ、若い。冒頭の銀行強盗の雨は本物なのかな?強盗の最後に霧雨の中へ消えていくとこなんて雰囲気あるなあ。ばりばりの緊張感じゃん。

 けど、主役は、リチャード・クレンナだなあ。ドロンもドヌーヴも出番は少ないし、添え物っぽいなあ。リスボン特急とか、単に邦題になってるだけで、そこへヘリで覚醒剤を盗みに入るのはリチャード・クレンナだもんなあ。

 ラスト、リチャード・クレンナを撃った後、迎えに来てたカトリーヌ・ドヌーヴが車にもたれて立ってるんだから、俯瞰でアラン・ドロンが覆面パトカーに乗り込んでいくショットに入れ込んで欲しかったなあ。

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心と体

2024年08月19日 20時02分05秒 | 洋画2023年

 ◎心と体(appendage)

 

 人面瘡が外に飛びだしたっていう物語なんだけど、子供だましのホラーかとおもってれば、話が進んでいくにつれて、ちょっとおもしろくなってくる。

 ヒロインのハドリー・ロビンソンより、人面瘡の会で知り合うエミリー・ハンプシャーの方が綺麗だな。といっても悪役だけど。

 カウサール・モハメッドはおばかな同僚として登場するばかりか、彼氏の浮気相手というか本命だったことから嫌われながらも結局、人面瘡アペンテージを見破って、寄生して乗っ取ろうとしているもうひとりのハドリー・ロビンソンたちと対決してゆくんだから、なんだかこっちの方が主役におもえてくる。

 いやしかしほんと、人面瘡が身体から飛び出して暴力的な化け物に成長して、それをかなりの連中が経験してて、自宅に飼ってるとか、ありえない話なんだけど、徐々に違和感がなくなるんだよね。まあ、そいつらのサークルが宿主にとってかわって、さらなる宿主を探してゆくための拠点っていう設定なんだから、ありかな。

 ただラスト、宿主の復活と反対に赤ん坊に戻ってる人面瘡アペンテージを育てるってのはちょっと甘いぞ。

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アステロイド・シティ

2024年08月07日 21時49分28秒 | 洋画2023年

 ◇アステロイド・シティ(Asteroid City)

 

 文句なしのいびつなシンメトリックと、まったく文句なしのパステル調で出来上がった画面に、スカーレット・ヨハンソンやトム・ハンクスやティルダ・スウィントンやエイドリアン・ブロディが出てきて、これもまた文句なしで、未知との遭遇みたいな感じで隕石のクレーターに登場する異星人のCGのおしゃれさにもまったく文句なしなんだけど、なんで、脚本がつまんないんだ?

 ウェス・アンダーソンって画面や音楽や演技指導は天才的だとおもうけど、映画をおもしろくする才能はないのか?とさえおもっちゃうわ。

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誰も助けてくれない

2024年08月05日 15時31分11秒 | 洋画2023年

 △誰も助けてくれない(No One Will Save You)

 

 よくもまあこんなに単調な、セリフがたった5つしかない、自宅に侵入してきたエイリアンに追われるだけの映画を撮ったもんだ。

 むかしの自主制作映画『午前2時のシチリアーノ』とどこがちがうんだ?まあ、ケイトリン・デヴァーは可愛いからいいけど。

 要は、過去に親友となにかあって自分のせいで死んでしまったためにそのトラウマを抱えながら生きていて、それがエイリアンに姿を変えて押し潰されようとするんだけど、そこから脱却して新たな未来へむかって生きていこうとする田舎町の多感な女の子の物語でしかない。

 結局のところ、彼女が怖がる顔をずっと観ていたいためにブライアン・ダフィールドが撮ったっていうだけのほとんどプライベート・フィルムなんじゃないのか?

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フォロウィング

2024年08月04日 19時06分34秒 | 洋画1999年

 ◇フォロウィング(Following)

 

 いかにもクリストファー・ノーランっぽいね。時間がシャッフルされる手法は1980代の自主制作映画にも観られたからあまり目新しさは感じなかった。

 誰もが思い出の箱を持ってるっていう感覚はよくわかるけど、ルーシー・ラッセルはちょっとごつい。

 ただ、そうか。嵌められてたのかってわかるのがなんともスムーズで、ジェレミー・セオポルドに暴行をくわえるのが、なにもかも嵌めた上で仲間割れのようにするアレックス・ハウとはね、やられたわ。

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