かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠 142(スペイン)

2014年03月04日 | 短歌一首鑑賞
   【西班牙 3 オリーブ】『青い夜のことば』(1999年刊)P60
                参加者:F・I、N・I、T・K、N・S、崎尾廣子、T・S、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
                レポーター:渡部慧子
                  まとめ:鹿取未放


98 ほつといてくれとばかりに樹なければ煙突に巣づくれり鸛

      (レポート)(2008年9月)
 かつて伝統的農法は野生動物とよいバランスを保っていたと思うが、スペインでも近代化の為の自然破壊がすすんでいるかもしれない。ヨーロッパの伝説・童話によく登場する鸛だが、樹木が少なくなったのであろう、木のてっぺんに巣を作る習性から煙突を代用しているらしい。そこを「ほつといてくれとばかりに」と作者のユーモアと少々強気な部分がのぞく。いつかヨーロッパで農機を動かす人の傍らを鸛がゆっくり歩いている映像を見たが、当時かれらも煙突に巣を作っていたのかもしれない。(慧子)

     (発言)(2008年9月)
★一、二句が面白い。(崎尾)
★この歌は鸛のつがい、97番歌は種としての鸛を詠んでいる。(慧子)


     (まとめ)(2008年9月)
 樹木がないのでやむなく煙突に巣を作っている鸛の哀れさを、初句の俗語が和らげている。その俗語の効果で明るい歌になった。(鹿取)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿