馬場あき子旅の歌39(11年5月) 【遊光】『飛種』(1996年刊)P131
参加者:K・I、崎尾廣子、佐々木実之、曽我亮子、H・T、鹿取未放
レポーター:崎尾 廣子
司会とまとめ:鹿取 未放
296 大河のやうなトルコの歴史のかたはらにただ耕して生きしも歴史
(まとめ)
以前に鑑賞したいくつかの歌で気の遠くなるようなトルコの歴史を見てきた。作者はそれらの長い長い歴史と人々の営みに思いを馳せ、圧倒されているのであろう。それは「王権と宗教のむごき葛藤」の1万年であった。しかし、庶民の大多数は争いの傍らで、細々とそしてしたたかに地を耕してひたすらに生き継いだのである。そういう名もない歴史もあるのだと庶民のひとりひとりの生に思いを馳せている。(鹿取)
(レポート)
歴史を再び詠っている。トルコは一万年を超す歴史を秘めているという。様々な出来事が記されている。その流れの中では語られていないが、土を耕し稔りの秋をもたらしてくれた人々もまたいたのだと詠っている。あたりまえのことではあるが人は食なしには生命を保てない。歴史の流れの中でこの人々は大きな役割を果たしたのだと表現している一首であると思う。目に見えないものは尊い。(崎尾)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます