かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠347(スイス)

2016年11月23日 | 短歌一首鑑賞

    馬場あき子旅の歌48(2012年2月実施)
        【アルプスの兎】『太鼓の空間』(2008年刊)174頁 
         参加者:N・I、井上久美子、崎尾廣子、曽我亮子、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
         レポーター:渡部 慧子
         司会とまとめ:鹿取 未放


347 乾燥トマト湯に戻しをり秋は来て想ふアルプスの村の家刀自
 
       (レポート)
 台所は女性を哲学的にさせると松村由利子さんの言にあるが、色彩にこころおどる人にもさせる。ミニトマトを乾燥させたものであろうか、それを「湯に戻し」秋の想いはよどむことなく、やはりまあるくて大きな地球上の「アルプスの村」へ着地した。「家刀自」からは、中世の暮らしを守って個性的に少し気むずかしい女性を想像する。「家刀自」によって過去の時間が持ち込まれ、ゆたかで楽しい気分が残る。(慧子)


     (当日意見)
★これは旅行から帰った歌。肉体的、感性で読まないと自分との関わりが出ない。(鈴木)
★土産に買ってきた乾燥トマトをお湯に戻しているところ。つましく工夫して家事を切り盛りして
 いたアルプスの村の「家刀自」のことを思い出している。(鹿取)
★「家刀自」の語がいきている歌ですね。(一同)