かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠331 (スイス)

2016年11月07日 | 短歌一首鑑賞

    馬場あき子の外国詠45(2011年11月実施)
       【氷河鉄道で行く】『太鼓の空間』(2008年刊)165頁
        参加者:K・I、N・I、泉可奈、崎尾廣子、曽我亮子、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
       レポーター:N・I
       司会とまとめ:鹿取 未放

331 迷路のやうな氷道ほのかなりければこの薄い酸素こそはアルプス

       (まとめ)(2016年11月改訂)
 氷道とは、329番歌でも見てきたように、「氷の宮殿」と呼ばれる氷河をくりぬいたトンネルのことだろう。3454メートルといえば富士山よりも高いから当然空気は薄く、急激に動けば苦しい。その空気の薄さにアルプスへ来たことを実感している。またこの標高だからかなり寒いらしい。作者の旅は夏だったようだが、それでも氷点下ではある。ちなみに「ユングフラウヨッホ」の公式ウエブサイト(英語)によると、本日11月7日の予報は-17°である。
 レポーターが「氷道とはアイガーの山中をくりぬいた敷設に16年を要したトンネルの事」と書いているが16年を要したのは「ユングフラウ鉄道」のことである。(鹿取)

  
     (レポート)
 氷道とはアイガーの山中をくりぬいた敷設に16年を要したトンネルの事と思います。現実のアルプスにいて薄い酸素ということでリアル感のある歌と思います。(N・I)