馬場あき子旅の歌48(2012年2月実施)
【アルプスの兎】『太鼓の空間』(2008年刊)174頁
参加者:N・I、井上久美子、崎尾廣子、曽我亮子、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:渡部 慧子
司会とまとめ:鹿取 未放
346 飴一つ含みて深く見下ろせばあな大氷河かそけく吹雪く
(レポート)
大氷河を見るべく立っていて、なんとなくなのか、自身をいとしむようになのか、いずれにせよ「飴一つ含みて」いる。そして「深く見下ろせば」という行為につづき、さらに大氷河をスケッチしようとするが、かなわなかったのであろう。「大氷河」は「かそけく吹雪く」状態だった。どれほどの深さだったのか、「かそけく吹雪く」とは塵がまうようだったのだろうか、想像が及ばない。(慧子)
(当日意見)
★標高差があって飴を嘗めたか?(藤本)
★いや、恐怖から飴を嘗めたのだ。(N・I)
★飴一つということで、大氷河の大きさが出る。(曽我)
★飴一つしか口の中に入っていない物足りなさに、かえって大氷河の広がりが感じられる。(鈴木)
★峠のてっぺんに立っていて遙か下の方に大氷河が見えているのでしょうね。遠いから吹雪いてい
てもかそかな気配しか感じられない。その茫漠感でしょうか、飴一含んでいると安堵感が生まれ
ますよね。(鹿取)