渡辺松男一首鑑賞 8
26 冬の日のあたたかにして老木は吾に緘黙を宥してくれる
『寒気氾濫』(1997年刊)地下に還せり15頁
レポーター:崎尾廣子(2013年3月)
司会と記録:鹿取 未放
(記録)(2013年3月)
★冬の日の暖かさが老木をつつみ、その老木が私のだんまりを宥してくれる。冬の日の中になに
もかもが宥されてるという感じ。(慧子)
(追記)(2013年8月)
暖かい冬の日差しの中で老木と対峙している〈われ〉、ここには宥し合ったもの同士の暖かい交流がある。歌集中には次のような厳しい歌もあるが、こちらは寒気団とヒマラヤ杉の対峙であろうか。
寒気団ヒマラヤ杉の上にあり同士討ちなり緘黙者とは(52頁)
(鹿取)
(レポート)(2013年3月)
木と向き合った時は言葉はいらない。老木であればなおのことである。静かに向き合うだけでよい。作者は木と目と目で交流ができるのであろう。鹿取さんが以前のレポートで「木は目をあけて何かを(この世におこるすべてを、だろうか)見ているのだ。」と書いている。この老木は作者のすべてを見ていたのかもしれない。そのようにこの歌を読むと「宥してくれる」が心にひびいてくる。「宥」から作者が自然との関わりを大事にしている日々が伝わってくる。(崎尾)
26 冬の日のあたたかにして老木は吾に緘黙を宥してくれる
『寒気氾濫』(1997年刊)地下に還せり15頁
レポーター:崎尾廣子(2013年3月)
司会と記録:鹿取 未放
(記録)(2013年3月)
★冬の日の暖かさが老木をつつみ、その老木が私のだんまりを宥してくれる。冬の日の中になに
もかもが宥されてるという感じ。(慧子)
(追記)(2013年8月)
暖かい冬の日差しの中で老木と対峙している〈われ〉、ここには宥し合ったもの同士の暖かい交流がある。歌集中には次のような厳しい歌もあるが、こちらは寒気団とヒマラヤ杉の対峙であろうか。
寒気団ヒマラヤ杉の上にあり同士討ちなり緘黙者とは(52頁)
(鹿取)
(レポート)(2013年3月)
木と向き合った時は言葉はいらない。老木であればなおのことである。静かに向き合うだけでよい。作者は木と目と目で交流ができるのであろう。鹿取さんが以前のレポートで「木は目をあけて何かを(この世におこるすべてを、だろうか)見ているのだ。」と書いている。この老木は作者のすべてを見ていたのかもしれない。そのようにこの歌を読むと「宥してくれる」が心にひびいてくる。「宥」から作者が自然との関わりを大事にしている日々が伝わってくる。(崎尾)