かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

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渡辺松男の一首鑑賞  13

2013年08月19日 | 短歌1首鑑賞
 渡辺松男一首鑑賞 13  
                   『寒気氾濫』(1997年)地下に還せり16頁
                     司会と記録:鹿取 未放

31 内面をことさら探るまでもなき父と子なりて注ぎあわず飲む


    (レポート)2013年4月
 「注ぎあわず飲む」そういう二人がいる。その関係を「内面をことさら探るまでもなき父と子なりて」だという。「内面」という言葉は、近代のいつのころからか、文学的志向の強いものに、頻度高く使用されていると思うので、作者の「内面」の一端は暗示される。もう一人とは、時代差による精神、思考などのへだたりはあろう。
 さてこの場合は「父と子」のよくある日常を切り取ったものと思われるし、「注ぎあわず飲む」というこの関係を、作者は否定していないようだ。「ことさら探るまでもなき」からもそれは伺える。「内面」という個にかかわる言葉を初句に置きながら、一首の作歌主体は「父と子なりて」のどちらかわかりにくく、自分という個を立てていない。そこに不思議な魅力がある。モチーフは父と子、台詞のない一幕ものをみている感があり、印象ぶかい。(渡部慧子)


    (記録)2013年4月
 ★レポーターの言っている「もう一人とは、時代差による精神、思考などのへだたりはあろう」
  という部分がよくわからないのですが。(鹿取)
 ★父と子には必ず時代差による隔たりがある。歌っているのは父側か子の側かは分からないが、
  三十年くらいの隔たりはあるだろうということです。(慧子)
 ★親父と息子って時代差があるから相容れないところが必ずありますよね。一般的にはそうだけ
  ど、この歌では隔たりは感じないですよね。注ぎ合わないで飲めるんだから両方とも納得して
  いる親子関係。(鈴木良明)
 ★まあ日によって意見の衝突することもあるだろうけど、上司と飲むときはこうはいかないわけ
  で、ここではリラックスしている感じ。(鹿取)
 ★お父さんといっしょに仕事している場面がありますよね。次の歌、ふたりで森に入って。身体
  で分かり合っている感じ。(鈴木良明)
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