BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBC世界ヘビー級タイトルマッチ

2011-09-13 05:25:17 | Boxing
王者 ビタリ・クリチコ VS 挑戦者 トマス・アダメク

クリチコ 10ラウンドTKO勝利

考察 ~クリチコ~

毎回見るたびにあまりの強さにため息が出る。
猫さながら左で痛めつけ、虎のごとき右で沈めるスタイルは完成形だが、
この日はD・ウィリアムスを痛めつけた下からの変則アッパーワン・ツーありと、
どこかワイルドさを取り戻しつつあるのかもしれない。

ビタリ復帰後のコンディションの良さについては
あらゆる評論家、解説者の語るところ。
それ以上に素晴らしいと言えるのはコンスタントな試合間隔。
なんと復帰後2年11ヶ月で8試合!
結果や結末にケチがついたことはあったが、
少なくとも試合前の段階では純粋に”世界戦”として期待できるものだった。
これはウラディミールに言えることだが、ビタリの方が内容は素晴らしい。
最近の王者連中はプロモーションの兼ね合いや権利意識、リスク管理もあるのだろうが、
6ヶ月に1試合ペースが標準的で、さらにカネで揉めたり、
対戦相手を突然変更したり、ドタキャンしたりとやりたい放題だ。
T・ブラッドリーやV・マルティロシャンなどはビタリの爪の垢を煎じて飲むべきだろう。
ヘビー級の停滞が叫ばれて久しいが、これほどコンスタントに試合をする、
言葉の正しい意味においての Fighting Champion は近年では稀有な存在で、
業界、ファン共にこの兄弟王者への評価を再考すべきだと考える。

D・ヘイがウラディミールとのリマッチもしくはビタリとの対戦があるなら
10月引退プランを6ヶ月先延ばしすると言っているが、
噂されている12月のビタリvsヘイは是非実現してほしいもの。

考察 ~アダメク~

観る側にはD・ヘイ vs W・クリチコが下敷きとしてあり、
ビタリの弟にないある種の残酷さがアダメクが持つヘイにはない勇敢さと
どう噛み合うのか、あるいは噛み合わないのかが焦点だった。
結論から言うと噛み合った。
なぜならビタリのこれまでの対戦相手とアダメクが同じ経過をたどったから。
プランとしてはジャブの打ち終わりに左フックから右ストレートが基軸。
しかし、あまりの距離(物理的かつ心理的)の遠さに空転させられ、
またジョー小泉の指摘通り、ボディワーク不足でパンチを受けてしまった。
観る者に哀愁すら感じさせるほどの打たれ強さを披露したが、
これは元々備わっている耐久力に地元の期待が上乗せされたものだろう。
そう考えないと説明しにくい。
耐久力に難のあるD・ヘイほどに動かなかったのは練習不足というよりも
過剰な防衛意識、もしくはパンチへの恐怖感が背景にあるような気がする。
試合後の各コメントを見に、それを覆い隠すほどの大声援が確かにあったようだ。
ビタリは健闘を称賛しつつもクルーザーに帰るべきとそっけないが、
ヘイ側が許せば、クリチコ兄弟への指名挑戦者決定戦を行なってほしい。
またはC・アレオラと再戦して、自身を取り戻すとか。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (さんちょう)
2011-09-14 23:32:45
ビタリはホントなんでこんなに強いんですかね。前は試合がつまらないなんて思ってましたが、現在はそんなことを思っている場合じゃないと思いました。 やはり体質や練習環境、食事などに秘密があるんでしょうか?

返信する
Unknown (涼しい木星/管理人)
2011-09-16 22:02:04
さんちょうさん - 単純にもっとカネを稼ぎたいとか、兄弟でベルト独占とかといったモチベーションだけでは説明できないと思います。かといって過去に脱臼したり膝を壊したりしているので、もともと体が際立って頑丈というだけでも説明できないですね。YouTubeでトレーニング風景を観たことがありますが、豪雪の中をランニングしたり、薪割りしたり、山小屋で懸垂や腹筋してましたね。前近代的なのでパフォーマンスかと思いましたが、実際はそうではないのかもしれません。現代はスポーツ科学の分野が発達して、食事や練習内容にも工夫がされるようになっていて、たとえば20年前のプロ野球選手と現代のプロ野球選手では肉体的なスペックは段違いでしょう。ではボクサーは?これも現代の方が上でしょう。しかし心技体を競い合うスポーツと、心技体を壊し合う格闘技は本質的に異なるので実際の所はどうなんでしょう?スポーツ医学や栄養学の進歩は選手寿命を伸ばしてきましたが、極端な話、ボクシングは1発のパンチで壊れることがあるので、この面の進歩の恩恵も他競技より小さそうです。結局のところ、ビタリ本人にインタビューしないとわからないでしょうし、案外ビタリ本人も好調の理由をうまく説明できないかもしれませんね。
返信する

コメントを投稿