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BOXING観戦日記

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Lヘビー級12回戦 ジョー・カルザゲVSロイ・ジョーンズ

2008-12-16 00:19:48 | Boxing
カルザゲ 大差判定勝利

ボクサーの寿命が延びてきているのは間違いない。
このカルザゲやホプキンスを見ていれば実感する。
だが、寿命が延びる=誰もがいつまでもトップコンディションを維持できる、
というわけではない。
それはこの日のジョーンズや先日のデラ・ホーヤが教えてくれている。
やはりカルザゲやホプキンスは人間というより妖怪だ。

初回はものの見事にカウンターでラリアットをもらい、ダウンを喫したが、
そこから先はカルザゲの独壇場。
ノーガードでアゴを突き出してのパフォーマンスと唐突すぎるコンビネーションは
往年(さびしい表現だな)のロイ・ジョーンズのシルエットが思い起こされた。
実況や解説はカルザゲのパンチを軽いと表現するが、それは違うと思われる。
単純な破壊力、つまり腕の筋肉の断面積量とパンチの速度から計算される
物理的な衝撃力とボクシングにおけるパンチ力は必ずしも、というかほとんど一致しない。
何度か書いた記憶があるが、一番効くのは見えない、予期できないパンチだ。
野球のデッドボールをイメージしてもらえば分かりやすいと思う。
ボールが体にぶつかる瞬間に脇を締め、ハッと息を吐き、歯を食いしばれば、
一瞬ではあるが、防御力は飛躍的に向上する。
ボクシングにおいても、相手の強打が予測される状況では、
ボクサーの体は即座にこの防衛機構を発動させる。
ではなぜ、ロイはそれができなかった(ように見えた)のか。
カルザゲが軽打の中に強打を織り交ぜてきたからだ。
この試合で言えば、左ストレートと右のボディフックだったと見る。
相手のプレッシャーの弱さというか無さから、容易にミドルレンジの主導権を握り、
圧倒的な手数でクロスレンジも制圧に成功。
アッパーとストレートの単発強打はそこここで被弾したが、
相手のパンチの無さと自らのリズム、そして随所にちりばめた人を喰ったような
パフォーマンスで誤魔化しきった。
ハンドスピードや連打力、ボディワークやパフォーマンスなど総合的に技術に優れ、
さらにその技の引き出しの多さ以上に、技の使いどころを知っている。
ボクシングではそれを指して”キャリア”と呼ぶ。

超人ロイ・ジョーンズもやはりデラ・ホーヤと同じく衰えを隠せない段階に来たのか。
トリニダード戦ではやたらでかく見えたが、この日はやけに小さく見えた。
俗にハメマラなどというが、ボクシングにおいて歯はパンチの威力、目は反射神経、
マラはファイティングスピリットにあたるかな。
いつストップされてもおかしくないほどのカットを負ったが、
倒しにいくための動きは出せなかった。
前回も指摘したが、つま先の蹴り出しの強さの衰えが顕著で、
がに股気味のスタンスから両足を一気にスクエアさせて連打を放つカルザゲとは
まさに対照的だった。
フットワークでも相手を振り切れずコーナーやロープに押し込まれ、
軽い連打の合間に強めのパンチを混ぜられ、相手のパフォーマンスを
余裕のなせる業なのか誤魔化しなのかを判断することもできなかった。
といってもダメージングブローは10発に届いたかどうかだが。
B・ホプキンスとのリマッチはなくなったと言えるだろう。

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