BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBC世界Sミドル級 Super Six Stage 2

2010-11-12 21:20:20 | Boxing
王者 カール・フロッチ VS 挑戦者 ミッケル・ケスラー

ケスラー 判定勝ち

考察 ~ケスラー~

ジミー・モントーヤといえばかつてのLAのMr. Undercardだったと
ドネアの初防衛戦だかでジョー小泉が解説していたかな。
前座の頃の自分まで見直そうという意気込みの表れだろう。

以前ならどっしり構えてジャブで慎重に距離を測定しつつ、
ワン・ツーとカウンターで試合を徐々に作っていったが、
前戦の反省と新しい指導者によって積極的かつアクティブなボクサーに変身した。
小刻みな前後のステップで距離を調節するスタイルから
小刻みなボディワークとフェイントを駆使するスタイルになったが、
まだ馴染んでいない、それとも元々馴染まないのか、
ケスラー自身にとってcomfortableなスタイルではなさそうだ。
5ラウンドに喰った右で倒れなかったのは生まれ持ったフィジカルの強さの賜物だが、
直後のインターバルでのトレーナーからの"Keep your head on a swivel."
(戦争映画やスポーツでたまに聞く)は文脈次第で2通りに解釈可能。
1つは「あらゆる角度からの攻撃に注意しろ」というもの。
もう1つは「意識をはっきりさせろ」という意味。
もしも後者の意味で言われていたとすれば、相当効いていたということ。
ケスラーにしてみればかなりストレスフルな12ラウンドだったろう。
コンスタントに前進し、明確に手数で上回り、ヒット率でも上回ったが、
相手の得体の知れない距離感と主導権支配に混乱させられ続けていた。

眼疾でトーナメント離脱は青天の霹靂だが、
ぶどう膜炎を患う者のひとりとしてケスラーの回復を待ちたいと思う。
心臓、腎臓、肝臓などの24時間365日働きっぱなしの臓器は別格として、
目、耳などの感覚器も1日17~18時間使うわけで、
ココが障害されるとたとえ軽症でも不安な気持ちでいっぱいになるのだ。


考察 ~フロッチ~

かつてフロッチはケスラーと距離が噛み合うと書いたが、
実際に戦ってみてやはり噛み合った。
見かけによらずスナッピーなジャブと半身での懐の深さ、
そして自身の右の長射程と、攻防ともに主導権を握ることができたが、
それがポイント奪取につながらないのがボクシングの面白いところ。
tale of the tapeで目立って差がつくところはなかったが、
相手の右ストは自身の左ボディにしか届かず、自身の右ストは相手の顔面に届く。
ジャブの手数で劣るも、距離では優り、同時に命中した際の威力では明らかに上だった。
相手は結構頭の位置を変え、自身はほとんど変えず、
なおかつ相手はガードをおろそかにせぜ、自身は左手をだらりと下げていた。
なぜこのスタイル同士のかみ合わせで距離と主導権を握れるのかは、
自身のスタンス、右グローブの置き所と威力によるフェイント、フットワーク、
リング内の位置取り、懐の深さと下半身と連動しない変則逆ワン・ツーなど、
あらゆる技術と戦術ののアレンジメントがある。
これはintelligenceというよりinstinctに属するもので、
練習自体は基本に忠実でスパーリングで勘と本能を研ぎ澄ませているのだろう。

この負けは本人にしてみれば到底納得いくものではなさそうだが、
採点競技は第三者視点で勝敗が決定されるもの。
観ている側から忖度させてもらえば、互いに相手のタフさに舌を巻いたのでは?
幸いと言えるのかどうか分からないが、名前もプライドもタイトルも取り戻す機会が
次にすぐに訪れるのがスーパーシックスの良いところ。
A・アブラハムとの激突はKO必至の一大決戦となりそうだ。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (moulin)
2010-11-13 18:54:08
管理人さんのファン、moulinです。
明日の、パッキャオVSマルガリートの
予想をお聞かせいただければ幸いです。
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Unknown (涼しい木星/管理人)
2010-11-13 22:42:18
予想しました。私は今回いつになくパッキャオが心配です。
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