BOXING観戦日記

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WBC世界Sウェルター級暫定王座決定戦 セルヒオ・マルチネスVSアレックス・ブネマ

2008-10-21 00:19:44 | Boxing
マルチネス 8ラウンド終了TKO勝利

こりゃある種の天才型ボクサーだな、というのが第一印象。
サウスポーといえばカウンターパンチャーが主流の現代ボクシングのトップシーンに
ようやくサウスポーらしいサウスポーが出現した。
見た目のスピードやクイックネス以上に空間把握能力に驚かされた。
初回で自分と相手、両方のジャブの射程を見切り、
2ラウンドからは自由自在、まさにやりたい放題。
時計回り、反時計回り、どちらのフットワークからでも
ステップの”逆方向”にヘッドスリップし、間髪要れずパパパーンと
左右のコンビネーションをまとめる。
ディフェンスはバックステップ主体だが、左グローブの置き所を
相手との距離によってあごの前から左頬へと瞬間的に調節するところなど、
基本とインスピレーションの2つを同時に備えていることを伺わせる。
中盤にブネマのジャブを2発連続で顔面に受けた際に、
「あれ、おっかしーな?」とばかりに首をかしげたところに
このボクサーのメンタリティが如実に現われていた。
この年齢とこのキャリアで世界挑戦が初めてというのは
世界タイトルに固執していないか世界王者に恐れられたかのどちらかだろう。
おそらく前者の理由ではないか。
世界を見聞し、いい女を抱き、上手い酒を飲み、
ボクシングで爽やかな汗をかけばいい、とでも考えているに違いない。
vagabondというかcosmopolitanというか・・・
インタビューでは「ボクシング?趣味だよ」とか答えるんだろうな。
こういう相手に勝てるのは、これ以上の天才肌か根っからの雑草男しかいない。
事実、アントニオ・マルガリートは勝っている。

No.1 contenderとしてリングに上がったブネマだったが、
完全な引き立て役に終わってしまった。
相手の右ジャブと左右左のコンビネーションはいったい何発喰らったのか。
勝ち目ゼロだということは3ラウンドのダウンで思い知らされたはずだが、
それでも戦い続けたのはコンゴ初の世界王者を夢見てのことか。
五輪金メダルや世界一という称号は強烈なインパクトを与えるブランドで、
一人そういった人間が生まれると、底辺が一気に拡大する可能性が生まれる。
この蹉跌を挫折にせず、ブネマには戦い続けてほしい。

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2 コメント

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Unknown (マルチネス男前)
2008-10-25 15:13:34
アングロですが、期待されてるわりに『どうかな~』って感じです。
結構打たれるし決め手に欠けるし中だるみするし。今回は相手が異常にタフなのもありましたが、それでも途中で何度かチャンスもあったのにストップできないのはな~、と。
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Unknown (涼しい木星/管理人)
2008-10-26 12:45:02
アングロは微妙ですね。メキシカンでなければ、まとまりのある良いボクサーという評価に落ち着くのでしょうけれど。シントロンがSウェルターに転級してきたら、真っ先にターゲットにされそうです。

マルチネスは男前ですね。アルシンやサントスよりも遥かに面白いボクシングで魅せてくれます。4団体統一を狙ってほしいものですが、本人にはそんな野望は無いんではないですかね。
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