BOXING観戦日記

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S・ウェルター級10回戦 アルフレド・アングロVSアンドレイ・ツルカン

2008-10-20 23:22:05 | Boxing
アングロ 10ラウンドTKO勝利

左ジャブの鋭さが以前よりも格段に増していたが、
スイッチした時の悪癖は以前のままだった。
右で切れの悪いフリッカー気味のジャブを打ったときに左をかぶせられるんだ。
つまり、威力・スピードともに左のときに比べてだいぶ落ちるということ。
その分、近距離で右肩を預けながら左のフックとアッパーを
ぐいぐい相手のボディに叩き込めるのが利点だが。
相手のタフさと粘りのせいかもしれないが、
スタミナとパンチ力に難があるのではなかろうか。
若い割りに老獪だと言ってしまえばそれまでなのだが、
いまひとつ魅力を感じない。
オリンピック出場の肩書きで華々しくプロ転向したのだろうが、
アマチュアで長くやるうちに、若さゆえの特権である爆発力を失った、
というよりも爆発のさせ方を覚えられなかったのではないのか。
前回放送時には「やりやがったなテメェ!」みたいなところもあったのになあ。
アングロ周辺の人間にはアステカの戦士の系譜をもう一度見直してほしい。
せっかくマルガリートのスパーメイトに抜擢されたのだから、
ティファナの竜巻に迫るレベルの選手に育ってほしいものだ。

対するツルカンだが、医学的に分析してみたいと思うほどのタフネス。
個人的には最終ラウンド終了のゴングを聞かせてやりたかったが、
さすがにセコンドもタオルを振らざるを得なかった。
その決断は尊重せねばならない。
並みの選手、ランカーなら4回はノックアウトされているのではないかと
思えるほどのダメージを耐え切り、割って入れると判断できる瞬間に
打ち返すものだから、レフェリーも止めようにも止められない。
あれだけ打たれれば顔面が2倍に膨れ上がるのが常だが、
この選手は両目の下がうっすらと赤く腫れただけ。
グラッときた場面や露骨にボディを嫌がる局面もあったので
打たれ強さというより我慢強さで凌いだのだろうが、
肉体的、というか遺伝子的にとくに血管や皮膚に何がしかの変異があるとしか思えない。

我々は往々にして激戦を「死闘」などと表現するが、
ボクシングファンは誰一人としてリング禍など望んでいない。
今年も韓国やフィリピンの選手がリング禍で世を去ったというニュースがあったが、
このような試合は常に観るものに問いを投げかけてくる。
「これぞボクシング」なのか「これがボクシング」なのか、
「これもボクシング」なのか、それとも「これはボクシングではない」のか。

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