BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

SUPER SIX Stage 1 WBA世界Sミドル級タイトルマッチ

2009-12-23 22:41:07 | Boxing
王者 ミッケル・ケスラー VS 挑戦者 アンドレ・ウォード

ウォード 11ラウンド負傷判定勝利

考察 ~ウォード~

パーフェクトな試合運びは貫徹したゲームプランの遂行による。
打ち合いは徹底拒否、連打も拒否、後退も拒否、フェイントの掛け合いも拒否。
相手のあらゆる長所を消すべく、そして自身のあらゆる長所を出すべく、
この試合に向けてのプランを練り上げてきた。
その要諦は左の使い方。
ワン・ツーからの切り返しの左にフックではなくストレートを選択し、
射程距離を常に自分本位にコントロール。
リング中央ではスーッと左を伸ばし、間合いを測るとともに相手の打ち気を誘い、
待ってましたとばかりにカウンター。
プランを可能にしたのは眼の反応速度、ハンドスピード、フットスピード。
あらゆるスポーツのあらゆる指導者が言うが、「スピードだけは教えられない」。
両足を広げたスタンスから、時にアメンボウのように滑り、時にバッタのように跳ねた。
ジョー小泉はメイウェザー的と評したが、私には前者のムーブでは徳山、
後者のムーブではパッキャオのように見えた。
一流アウトボクサーは一流クリンチャーであることもついでに証明。
『ホッグ連続殺人』という超絶ミステリーがあったが、
H.O.G.ならぬS.O.Gの神髄を見せてもらった。

ところで… 
上に挙げた本のさりげない、というかあからさまなネタばれをしてしまったが、
かなり古い本のことなので見逃して頂きたいと思う。

考察 ~ケスラー~

一発で形勢を逆転する力を秘めるが、それを当てるための地固めが足りない。
前にもこんなこと書いた気がする。
鋭角的なパンチのコンビネーションを持ち味にするが、
得意分野で相手に上回られたのは初めての経験だろう。
カルザゲは考える暇を与えない回転力で勝負に来たが、
ウォードは考えている間にパンチを打ってきた。
ともに相手あってのことだが、型にハマれば強いということは
型にハマらなければ脆い(アゴがではなくスタイルが)ということを示した。
レジェンドと新鋭に弱点を突かれた訳だが、次がK・フロッチで決定しているのも痛い。
以前に指摘したが、フロッチとケスラーは距離が噛み合う。
勝っても負けてもダメージは深くなると見る。
最高のヨーロピアンにしてトーナメント本命がズッコケタわけだが、
これにより図らずもStage 2はすべて1勝と1敗同士の組み合わせ。
今後の展開に胸躍らさずにいられようか?