BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBC世界ヘビー級タイトルマッチ

2009-12-14 22:52:22 | Boxing
王者 ビタリ・クリチコ VS 挑戦者 ケビン・ジョンソン

クリチコ UDで勝利

考察 ~クリチコ~

グミかコンニャクを打っているように感じたのではないか。
ジョー小泉はパンチのバリエーションの無さを短所と指摘するが、
円熟の域に達している王者を器用に改造する方がデメリットは大きかろう。
相手のディフェンス技術とディフェンスマインドからすると
左のボディアッパーやワン・ツーからの返しの左もヒットしないだろう。
むしろ前戦よりも右ガードを要所で上げてきたこの試合ではこのスタイルが正解だ。
右をアゴにくっつけておくのは相手のジャブとフックに対する防御として作用するが、
右ストレートを打った際の引きの軌道を最適化する意味合いもある。
だが相手からパンチが飛んでこないのなら打ちやすい体勢の構築を優先するのは当然。
最終回をエモーショナルに戦ったが、政治の世界でフラストレーションを率直に表現することを学んだか。
youtubeで議会で暴発寸前になった映像を観たが、
4年のlay-off(ブランク)が身体の休養になるとともに、さらなる威圧感を植え付けたか。

「打たれずに打つ」をある意味で完成させたこのボクシングが底を見せる時は
兄弟対決が実現するまで来ないだろう。
いや、やはり兄貴の方が強いか。


考察 ~ジョンソン~

1ラウンドの戦いぶり、というよりも戦いの放棄を見て、
何らかの意図が隠されているに違いないと感じ、
それは長いストレートを呼び込んでのボディへのアッパーなのか、
それとも「キンシャサの奇跡」の再現狙いなのか、
はたまた単なる様子見なのか、
それともファーストコンタクトで迫力に気圧されたか。
その答えは2ラウンド途中に出た。
ダックで相手のspleenを狙える状態からすかさずロープ・ア・ドープに移行した。
つまり、ビビってしまったわけだ。
左のガードをやけに下げるが、その際に手首を内に屈曲させている。
これはスナッピーなジャブを打ちたいという意識以上に
肩を柔らかく稼働させ、ショルダーブロックを多用したいからだ。
ヘッドスリップ、スウェーバック、ローリングを軽快に披露するのは見ていて面白いが、
肝腎の両の拳はパリー、ブロック、ガード、ストッピングに大忙し。
pump upされた肉体に希望を抱かせたが、抜かずの剣が美徳となるのは
日本の自衛隊だけに許された特権だ。

名前がかつてNBAフェニックス・サンズで活躍したポイントガードとかぶるが、
しゃにむに切り込んだかのKJと違い、このKJはバックギア全開&装填ゼロ。
ラウンド終了ゴング後にファイティングスピリットを発揮してどうするのだ。
C・D・ドルモンドとにらめっこでもしてるのがお似合いだ。
というか無事にアメリカに帰れるのか?
いくら人材不足深刻な米ヘビーとはいえ、このようなボクサーは認めてはならない。

ヘビー級8回戦

2009-12-14 21:25:19 | Boxing
バンクス 1ラウンドTKO勝利

考察 ~バンクス~

スピードを活かした速攻に見えたが、
スロー再生を見直すとスローだった。
これは洒落ではなく、相対的なスピードがスローだったということ。
ボクシングにおける速い遅いは常に対戦相手との相対性の中にある。
ヘビーの体は作ったものの、その体を自在に操縦するには至っていない。
世界挑戦は(あったとしても)再来年か。

考察 ~ツェラー~

見所はキルト風のトランクスだけだったな。
アゴを引いて打ち返すのは定石だが、
目をつぶって打ち返すのは負け役の証拠。