BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBC世界ライト級暫定王座決定戦

2009-12-08 23:10:08 | Boxing
アントニオ・デマルコ VS ホセ・アルファロ

デマルコ 10ラウンドTKO勝利

考察 ~デマルコ~

アップライトの構えからジャブをビシビシと決め、カウンターの左も冴える。
距離の長さは身長、リーチだけでなく構えた際の膝のスタンスでも決まる。
この選手は常に下がる体勢を構築するべく、蹴り足を使わず、
さらにヒットポイントを遠くに置き、パンチの引きも速い。
つまりパンチ力はさほどない(というより力を込めていない)。
ただし、そのことを有効に作用させるようなメンタルと戦略を持っており、
高い勝率はキャリア構築のための綿密なマッチメークの賜物だろう。
しかし、この選手はチャンスを作ろうとせず、チャンスが転がり込んでくるまで待ちすぎる。
たとえばパッキャオやバレロのような問答無用で攻め立ててくる相手に対して
自身のボクシングを貫けるのだろうか。
また平均的なライト級相手ならば体格面の優位で思い通りのゲームメイクもできるだろうが、
アリ・フネカのような更なる長身選手に対しての引き出しはあるのだろうか。
また小堀からベルトを奪取し、嶋田を封じ込めたモーゼスには?
淡々と作業をこなすようなボクサーは嫌いではないが、
それは誰に対しても自身のボクシングを貫く哲学を持ち、
それを実行できるだけの精神力、体力、技術の裏打ちがあってこそだ。
このタイミングで暫定タイトルを獲ってバレロを喰おうというのは結構だが、
陣営は自信が過信になっていないだろうか?


考察 ~アルファロ~

小堀との激突では噛み合った末に逆転KO負け。
今回は自分のボクシングをさせてもらえずヘナヘナとKO負け。
悪いところしか目に付かなかったが、それはつまり数少ない長所だけで
勝ってきたことを意味している。
この選手は主導権支配に重きを置かない。
なぜなら主導権を握れないから。
左フックの切れ味と飛び込むような右だけでボクシングを構築し、
間違いなく噛み合うという理由で小堀に敗れ、
間違いなく噛み合わないという理由でデマルコに敗れた。
ガードを高く保てとか、脚を使えとか、頭を振れだとか、
言いたいことはいくらでもあるが、それができないというのは
指導者が無能だからではなく、ボクサー自身に適性がないからだ。
ボクシングは不思議なもので、世界の頂点とは証明というよりも称号なのだ。
相性で世界を獲り、相性で世界を空け渡し、相性で世界に拒まれる。
穴王者の出現とそれに呼ばれる幸運を待つ必要があるが、
この負け方では高級カマセ路線が関の山だろう。
リナレスがライトに上げる頃にまだ現役でやってるかねえ?