BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBA世界Sフライ級暫定王座決定戦

2009-09-28 22:20:07 | Boxing
ノニト・ドネア VS ラファエル・コンセプション

ドネア 判定勝利

考察 ~ドネア~

One the line is the vacant WBA interim superflyweight title.とはどういう意味だ?
名城は何が何でもカサレスをセンセーショナルにノックアウトし、
このcontentionに割って入らねばならない。

精神状態は忖度するしかないが、おそらく序盤は「関係ないね」、
中盤以降は「汚ねーぞこの野郎」という感じではなかったか。
この試合で課題云々を論ずるのはすこし無粋というものか。
足も動かせて、バンタム超の相手にも張り合えるところを
見せてもらっただけで個人的には充分だ。
今までは体格で互角以上を誇っていただけに、
自分よりも明らかに重い相手と戦うのは初めてではなかったか。
間合いの見切りとパンチのキレで勝負するタイプだけに、
パワーで追いまくられると得意のカウンターも効果は半減した。
だがこの理不尽な試合をキャンセルすることなく、怪我もなく生き延びたことで
さらなる成長が期待される。
そろそろアルセ、ミハレスら凋落中のメキシカンを喰い、
第二のパッキャオへの地位固めを始めねばなるまい。
ペニャロサ2世もいぶし銀だが、この男はさらに上を目指すべき。
間違ってもフィリピンの中広(生え際的な意味で)になってはならない。
中広は日本のドネアになってもいいけどね。

PS.
WOW FESの宣伝はもうさすがに食傷気味。
この試合をダイジェスト扱いするなどWOWOWも分かっていない。

考察 ~コンセプション~

4.5lbオーバーとは言語道断、曲事だ。
キャッチウェートの試合は許せても、
意図的な計量オーバー、しかもバンタム級超となると
ハンディキャップマッチに等しい。
今後同様の犯行(敢えてそう表現する)を犯した者には
グローブハンデ、USA全州サスペンド、ファイトマネー没収などの
措置が取られることが望ましい。

減量によって動きがキレるようになるのはありうることだ。
だがそれは体内循環を狂わす諸刃の剣でもある。
いかにそれを克服しコンディションを作り上げるかは、
リング内の戦術と同等かそれ以上の意味を持つ。
ボクサーのプロフェッショナリズムは50%が計量パスにあると言ってもいい。
そこを回避するのはファンへの裏切り、階級制度への冒涜である。

WBC世界ヘビー級タイトルマッチ

2009-09-28 21:14:26 | Boxing
王者 ビタリ・クリチコ VS 挑戦者 クリス・アレオーラ

クリチコ 10ラウンドTKO勝利

考察 ~クリチコ~

メイウェザーを目の当たりにしたばかりの我々にとってはスロー過ぎたが、
スピードは常に相対的なファクターなのだ。
ビタリの迫力は言わずもがなだが、だらりと下げた両腕からのパンチが流れることもなく、
スムーズにスウェーもしくはバックステップに移行できるのは相手がよく見えることと
自身のボディメカニクス理解が深いからだ。
流れるように、リズミカルに動くことでスピードが乗り、スタミナも温存される。
左フックに一瞬狼狽する場面も見受けられたが、
5ラウンド以降は相手の左に自身の右肘を合わせてパンチをかちあげて防御した。
はじめの一歩で宮田がOPBFチャンピオンにやられた技術だった。
ブラッディクロスだったか?
ビタリはそこからパンチをねじ込んでは来なかったが。
ジョー小泉がアレオーラにポイントを振り始めた頃からビタリ優勢から勝勢に
移り変わったように見えたのは私だけだろうか?
デビッド・ヘイやワルーエフなど放っておけ!
やはり究極の兄弟対決しか残されていない。

考察 ~アレオーラ~

ジャブとフットワーク、カウンターを最高レベルに仕上げても
イブラギモフがウラディミールに塩漬けされたように、勝ち目はあるまい。
ならば手持ちの材料で戦うしかないが、上体を振るのは得策とは思えない。
この寸胴を振る方がよほどエネルギーを消費しそうだ。
ならばピーカブーでダックした状態からローリングするればいいのかというとそれも違う。
ただでさえ届かない的がさらに遠くなるからだ。
前に出ながらも実はリング内を周回しているだけという展開には自身も陣営も
フラストレーションしか溜まらなかっただろう。
巨体を利す、または巨体に資するスタイルの持ち主を崩すには、
それが苦手とするスタイル、それを上回るスタイルを採用するしかない。
もちろん可不可は別にしての話である。
だがヘビー級で渇望されるのはスタイルではなくタレントなのだ。
残酷なようだが、この男は時代が求めるタレントたりえなかった。

蛇足。
高柳氏の言う「クリチコ城の堀の高さ深さ」というのは広さ深さの誤りでは?

Sライト級8回戦

2009-09-28 20:23:58 | Boxing
エフレン・イノホサ VS ジョン・モリナ

モリナ 1ラウンドKO勝利


考察 ~モリナ~

140lbだからライト級ではなくSライト級と表記させていただく。
私が解剖生理学を学んでいる神経内科部長によると、
レバーブローによるKOはその効果に諸説あって、
単に肝臓だからというわけだけではないらしい。
このあたりは機会があれば詳述したいと思う。
対して右ボディでのダウンは比較的単純で、
肋骨へのダメージ、もしくはデルマトームによる。
どちらを打たれてKOされても、地獄の苦しみである。

考察 ~イノホサ~

まるでセサール・バサンのようだ。
野球などで「野球しかできませんので」という感じで
延々とプレーを続ける小宮山(お疲れ様)、メジャーならフリオ・フランコなど、
「いつまでプレーするんだ?」というのがちらほらいる。
ボクシングにおいてこういう選手は多くいるが、実は彼らは貴重な存在で、
露骨なカマセ犬では積めない経験の場を新鋭に提供する。