BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

NUMBER ONE - NUMERO UNO

2009-09-21 23:13:39 | Boxing
フロイド・メイウェザーJr VS ファン・マヌエル・マルケス

メイウェザー 判定勝利

考察 ~メイウェザー~

実況・解説はしきりにスピードを強調していたが、
これはクルマでいえば加速・最高速性能のことだろう。
管理人はむしろメイの減速・制動性能に目を奪われた。
スピードを持て余す選手が多い中(ベルト、ジュダーなど)、
この男は完全に自らのスピードをコントロールしている。
スウェー、ダック、ローリング、バックステップのいずれもが超スピードだが、
だからといって闇雲に避けるわけではなく、止まりたいところできっちり止まれる。
ギアがローとトップしかないクルマを自在に運転するのは至難の業だが、
この男のボクシングはそれを実現しているかのようだ。
L字ガードは右グローブと左肩で顔面を、左腕でボディをカバーするが、
スウェーの速さとハンドスピードが常に相手にカウンターを警戒させる。
あそこからモンティエルも真っ青の軌道で、ドネア以上の左フック打たれたら、
マルケスならずとも手の出しようがない。
連打でフィニッシュできるはずなのにそれをしないのは
ディフェンスマインドゆえか、ポリシーゆえか。
アメリカでの商品価値は実のところどうなのだ?
2ポンド超過にこの試合運びではリング外の評価は上がらないだろう。
モズリーをはじめ、ベルト、コット、クロッティ、
さらに理想をいえばP・ウィリアムスとの対戦が期待される。

考察 ~マルケス~

手も足も出なかったが、それをもってこの男の評価を下げてはならない。
"I have a heart of a lion."という言葉通り、アステカの戦士の意地と誇りは見せた。
2ラウンドにぶちこんだワン・ツーが結果的に唯一の見せ場になったが、
試合にスリルとテンションを与えたのは紛れもなくマルケスだ。
左グローブを細かに動かし、常にフェイントをかけていたが、
それが通用しない初めての相手との対戦となった。
2ラウンドにもらった左フックはactualなフェイントになったとでも言おうか。
potentialなフェイントは相手の視野にパンチの軌道を植え付けるが
actualなフェイントは気付いた時にはパンチをもらっている。
日本語で表現しろと叱られそうだが、actualとpotentialにハマる語彙が見当たらない。
要するに打たずに見せるフェイントもあれば、
打たれたことで初めて気付くフェイントもあるということ。
フェイントとカウンターの当代一流の名手マルケスにして敗れたわけだが、
相手があれじゃあ仕方ない。