BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBA世界Sライト級タイトルマッチ

2009-09-02 00:49:42 | Boxing
王者 アンドレアス・コテルニク VS 挑戦者 アミール・カーン

カーン 判定勝利

考察 ~カーン~

勝てる相手を選び、勝てるプランを練り、それを実行するのは素晴らしい。
だが、このスタイルはこのワンマッチ仕様なのか、今後も継続していくのかで
この試合の評価は大きく分かれるようになると思われる。
軽快な連打をまとめるのはサマになっていたが、逆の見方をすれば軽いパンチだからこそ
サマになっていたわけで、事実全ての連打は2~4発までのパンチで構成されていた。
最初からバックステップ&サイドステップを念頭に置いた連打で、
やはり初回KO負けの影響が心理面に刻み込まれている。
ただ、長い手足を効果的に動かすボディメカニクスは身につけており、
ウェートに見合ったパンチ力と相手を殴り殺さんばかりの闘争心を見せれば
真のスーパースターになれる器でもある。

オフィシャルスコアほどの大差には見えなかった。
116-112あたりが妥当では?
勝ったはいいが、ちゃんとKOマシーン・マイダナと統一戦してくれるんだろうな?

考察 ~コテルニク~

攻防分離の弱点を突かれた格好になったが、これは欠点ではない。
スピードに幻惑されたという見方も可能だが、これも事実ではなかろう。
なぜならそんな相手とはこれまでいくらでも対戦してきたはずだから。
届かない距離でパンチを出さざるを得なくなったのは相手のパンチのまとめ方による。
おそらくワン・ツーをしっかとブロックし、スリー・フォーをでさらに踏み込ませ、
ファイブ・シックスに合わせることを考えていたはずだが、
そのときすでに相手はそこにいなかった。
後半はやや持ち直し、カーンがダイレクトに右で入って引っかけてくる際は
左フックから返しの右である程度追いかけられたが、左ジャブを起点にした出入りには
最後の最後まで対応できなかった。
ジョー小泉の提案するダッキングとウィービングも一理あろうが、
この男のスタイルからしてパーリングからのカウンターの方がより効果的ではなかったか。
試合中にそこまでadjustできるボクサーは稀有だが。

風貌もボクシングスタイルも地味で、おそらく練習も私生活も地味なのだろう。
だがプロボクサーにありがちな破天荒な生活とは無縁で、
敗戦の分析評価を終え、コンディションを整え次第、リングに帰ってくるだろう。

WBA世界Lフライ級タイトルマッチ

2009-09-02 00:49:13 | Boxing
王者 ジョバンニ・セグラ VS 挑戦者 ファニト・ルビリャル

セグラ 6ラウンドTKO勝利

考察 ~セグラ~

ジョバンニ、もとい序盤にペースを掴んだセグラだが、
初回早々にレフェリーのアシストがあったことは見逃せない。
ガードが常に低く、パンチは常に全力となれば、被弾はほとんどカウンターとなり、
当然被ダメージも大きくなるが、与ダメージも比例して大きくなる。
ポンセ・デ・レオンに似たタイプで、ハンドスピードはない代わりに
パンチングパワー自体で相手を威嚇する。
当て勘そのものは標準的と見るが、追い足の使い方はそれほど上手くない。
ファンマ・ロペスのようなハードパンチャーならずとも攻略は可能だ。
真っ直ぐ入って強打を振り回すタイプだけに、嘉陽がプランを練り上げれば勝てる、
と言いたいところだが、どうも最近の嘉陽は成長が止まってしまっているようで・・・

考察 ~ルビリャル~

以前にも書いたがやはりパッキャオのシルエットがちらつく。
初回に相手をwobbleさせた左はパッキャオがハットンから2度目のダウンを奪う直前に
浴びせたロープ際での左の打ち下ろしにそっくりの軌道で、期待感が高まったが、
調整不足は明らかで、結局は王者の馬力に屈することとなった。
Sバンタム時代のパッキャオからプレッシャーとパワーとスピードを半減させた感じで、
スタンスを広く取る割には強いリードを打とうとしない。
挑戦だけで6度の世界戦は異例で、あとはフアレスぐらいしか思いつかない。
ただフアレスよりもメンタルは強靭で、隙を見て撃ち込む左は確実にダメージを与えてはいた。
嘉陽が本気で世界を狙うなら、フィリピンでこの男をKOするぐらいの実績が求められる。