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BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

ウェルター級12回戦 マルコス・マイダナ対ホセシト・ロペス

2013-07-16 11:08:05 | Boxing
マイダナ 6ラウンドTKO勝利

考察 ~マイダナ~

マイダナの試合の白眉は何といってもV・オルティズ戦。
あの倒し倒されの応酬には痺れた。
さらにはA・カーン戦の1ラウンドの被ダウンと10ラウンドの猛攻。
ガッティやアルセの系譜に名を連ねるファイターだ。

ディフェンスに甘さが残り、一発を利かされる場面が
どの試合でもそこここに見られるが、
身体の柔軟性と持ち前の回復力がその欠点をある程度カバーしている。
こういう選手は穴を埋めるためのトレーニングを課すと
全体のバランスを崩し、長所や魅力まで減じてしまう。
今の路線のまま、十分、観客受け・視聴者受けする。

compatriotsのS・マルチネスやL・マティセにと変わらぬ存在感を
今後も発揮し続けて欲しい。


考察 ~ロペス~

オルティズのアゴを割ったのは見事だが、
カネロに捻られたあたり、世界ランカーとしては中の下になる。
経験不足なのか、生来の性格なのか、4ラウンドの流れのままに
5ラウンドに仕掛ければ勝ちを拾えていた可能性は高い。
そこを突けないのを臆病と見るのか、慎重と見るのかは意見が分かれるところ。
マイダナとは異なる意味でのone-punch wonderで終わる可能性の方が高いか。

WBA世界Sフライ級王座統一戦 

2013-05-07 01:46:16 | Boxing
正規王者 河野公平 VS 暫定王者 リボリオ・ソリス

ソリス 2-0判定勝利

考察 ~ソリス~

試合前のインタビュー映像などから察せられる少々イカレ気味のメンタルは
実際の試合では、黒人選手にありがちなメンタルの弱さに転化した。
明らかに河野のラッシングに手を焼いたというか、
うんざりした表情を随所で見せていた。

ラテン系特有の柔軟さとパンチのしなやかさ、
連打になった時の軽やかさは見せたが、どれも及第としか言えず。
かつて日本で猛威を振るい、先日ベガスで見事沈んだA・ムニョスのような
脅威は一切感じない。

判定を聞いた瞬間の呆然とした表情、
その後に涙とともにリング中央に座り込んだ様から、
本質的に悪童ではないと思われる。

亀田兄弟と契約を結べそうなのか、それともTV局用のコメントか。
いずれにしろ短命王者に終わる予感が大。

ちなみに管理人採点では113-113のドローだったりする。


考察 ~河野~

ジャブ禁止令でも出ていたのか?
12ラウンド通じて撃ったジャブは30発程度か?
河野と陣営には「左を制する者が世界を制す」の格言を思い出して欲しい。

河野の試合で見るたびに思うが、前進あるのみのスタイルは改めて欲しい。
とにかくジャブ、フェイントを伴わない前進は禁断のkamikaze attackだ。
また前進の際の体のバランスもグラグラで、
ガードの上からでも打たれる際に大きく体勢を崩すので
際どいラウンドを取りこぼしやすい。
暫定王者との打ち合いは噛み合ったが、とても世界タイトルマッチとは思えず、
4回戦か6回戦がセミセミぐらいで会場の暖気運転しているかのようだった。

酷評ばかりになるが、素晴らしかったのは闘争心。
パッキャオの特集番組でタイソンもSpiritの重要性を問いていた。
泥臭さでは坂田、川嶋に並んだと言える。

また出会い頭の右で先にダウンも奪ったが、
ああいうことが往々にして起きることを知り尽くしているが故に、
メイウェザーは行くべきところでも行かないのだ、ということを
再確認できたボクシングファンは多いことと思う。

それにしても日本人王者というのは初防衛でころころ失陥しますなあ……

世界ヘビー級3団体統一タイトルマッチ

2013-05-05 10:48:22 | Boxing
王者 ウラディミール・クリチコ VS 挑戦者 フランチェスコ・ピアネッタ

クリチコ 6ラウンドKO勝利

考察 ~クリチコ~

パンチの打ち方(≠種類)は2種類に大別できると思う。
オープン気味のブローとねじり込む打ち方。

前者の代表は何といってもオスカー・デラホーヤ。
さらに先日タイで散った佐藤、亀田(兄)、T・ブラッドリー、A・カーンもそうか。

後者の代表は山中、西岡、パッキャオ、そしてクリチコ兄弟。

見るほどに惚れ惚れさせられる。
さらに長期防衛ロードでも変わらぬボクシング理論・哲学。
ワン・ツーの返しのスリーを故意に相手の首に巻きつけ、クリンチ。
鼻先でかわすスウェーではなく、堅実なバックステップを優先。
相手に効かせた瞬間も欠かさないジャブ。
井岡も実はクリチコの映像から学んでたりして。

impeccableな勝利。
perfectなボクシング、そしてボクサーだ。


考察 ~ピアネッタ~

肉を切らせて骨を断とうとする意志は伝わったが、
それを実現するための策やプラン、練習背景などは見えなかった。

左の大振りに賭けるのも悪くはなかったと思うが、
クリチコがクリンチに来る瞬間に右ボディは無かったか。

エイドリアーーーン!!!と叫ぶ瞬間が来ていれば、
かなりの話題になっただろう。

WBA・WBOスーパーバンタム級タイトルマッチ

2013-04-14 13:22:30 | Boxing
WBA王者 ギジェルモ・リゴンドー VS WBO王者 ノニト・ドネア

リゴンドー 3-0判定勝利

考察 ~リゴンドー~

第一の勝因は戦略。
その中でも直接かつ最初に掴んだ流れは初回、
いきなりカポーンと当てた左ストレート。
ドネアのゲームプランを全て吹っ飛ばした軽打だった。

カウンターに特化した精密機械というか、
少なくともリング内では人間らしい温かみや、逆に冷酷さなども感じられず、
かといって淡々としているわけでもなく、
与えられたコマンドを忠実に実行しようとするプログラム的なものを感じた。

瞬間のスピードや当て勘もそうだが、
それ以上にナックルで捉える技術でドネアを明らかに上回っており、
結果以上にそこに度肝を抜かれた。

C・ミハレスと同じく、前腕が明らかに長く、
肘を軸にしたパンチ(ジャブと巻き込むフック)に長けている。
間断なく突くぞ突くぞと見せかけるだけのジャブのフェイントではなく、
やりにくさを脳裏に刻み込むフェイントとジャブ。

フットワーク、体捌き、静・動の切り替わり、メンタルコントロール。
全てが一級品だったと思う。


考察 ~ドネア~

初回のfeeling outの段階で、先に相手に精神的な主導権を握らせた。
それが結果的には最後まで響いた形。

試合直後に連発していた"I got stupid! I got stupid!"は
心の叫び、魂の叫びそのものだろう。
左をもらって眼窩底骨折(?)を食らったことよりも、
初回の時点でnervousになってしまったことを悔やんでいた。

左フックが機能しなかったというよりは、
それ以前の右のリードが封じられていた。
左右のジャブの差し合いでドネアが完全に譲る場面を脳内で描けず、
予想も大外れ。

テクニカルな試合になるとは思っていたが、
どちらかというとゲームプラン面で修正と調整が必要な展開だった。

相当に綿密なプランを練り上げない限り、
リマッチなっても結果は同じ。
恐れ入りやのCuban Marvel。

WBA・WBOスーパーバンタム級タイトルマッチ予想

2013-04-14 02:59:43 | Boxing
WBA王者 ギジェルモ・リゴンドー VS WBO王者 ノニト・ドネア

ドネア 中盤KO勝利を予想

直感8割、根拠2割。
根拠とは、ドネアが左殺しだということ。

ただ、ドネアのresumeの中にリゴンドーレベルの左はいなかった。
西岡はタイプが違う。
ナルバエスも毛色が異なる。

もうひとつドネア有利の根拠として挙げるならば体格の違い。
海外ニュースサイトで写真を見たときは、
SフライとSバンタムくらいの差に一瞬見えてしまった。

息詰まる技術戦に終止符を打つのは、ほんの一瞬の綾。
そこにきらめくは【フィリピンの閃光】だ。


WBC世界バンタム級タイトルマッチ

2013-04-09 01:44:10 | Boxing
王者 山中慎介 VS 挑戦者 マルコム・ツニャカオ

山中 12ラウンドKO勝利

考察 ~山中~

『神の左』は完全にhype=誇大広告だ。
なんでもかんでも派手なネーミングで売り出せばいいもんでもない。
西岡引退後の日本のボクシングシーンを牽引せねばならない一人として、
『モンスターレフト』ならぬ『日本一の左』ぐらいでいいのでは?
または『ワイルドレフト』とか『クラッシャーレフト』とか。

その左は相変わらず硬質で、一撃でダメージを与える力が発散されている。
ただし、あまりに左の威力に頼りたがるためか、
チャンスでじーっと相手を見つめてしまう悪癖(と敢えて呼ぼう)が付いている。

徳山ではないが、常に必要なパンチはジャブ。
チャンスの時こそジャブ。
丁寧に、意図を込めたジャブを間断なく打ち続けれられれば、
3ラウンドまたは9ラウンドに試合は終わっていた。

ディフェンスはブロック主体で堅く、足さばきと体捌きで
打ち易さと打たれにくさを両立させるポジショニングを取ろうとしているが、
不用意な被弾が目立った。
おそらく防御技術がどれも高域にあるために、一貫性が無いのだろう。
興毅までとは言わないが、ブロック主体で行くなら、
それをぶれない軸にすべきだ。
今のままでは、どこかで一発を食って沈んでしまう可能性が否定できない。

WBAと統一戦?
亀田三男相手に防衛戦?
どちらも不要、というか試合自体決してまとまらないよ。
断言する。


考察 ~ツニャカオ~

セレスが「爆発力はなくなったが技術が格段に付いた」と評していた通り。
しかし、ダウン後、そして流血後とエンジンは全開だった。
大場や本田など、かつての日本トップ勢を破ってきた実績や
長谷川のスパーメイトであることなど、山中の左を警戒することはあっても、
恐れていたようには見えない。

しかし、最初のダウンは左の踏み込みに左を合わされた。
王者はワン・ツーを得意とするが故に、ワン・ツーにカウンターを合わせてくる。

それを見抜いてからは左の返しの右を上下に散らし、
とくにスマッシュ気味の軌道で飛んでくるパンチは、
ボディとブロックの上を叩いていたものの、見栄えは良かった。
また視界の外から巻いてくるいきなりの右のフックもダメージングソース。
王者のタフネスに譲ったが、威力は秘めていた。

フィリピーノボクサーには印象に残るジャバーはいないが、
日本で10年やっていると毛色も変わってくる。
それでも体のflexibilityは素晴らしく、
この体の柔らかさがあれば、俺も小中学校の体操でもうちょい良い選手だった、
とあらぬ感慨に耽ってしまった。

最終ラウンドのダウンとストップに胸に去来したものは家族の顔か。
もう3試合は戦えるよ。


PS.

WOWOW実況・解説陣と日テレの実況・解説なら日テレの方が
帝拳べったり度は低いのか。
まあ、そりゃそうだ。
前日の同階級のタイトルマッチと比べてAction-Packedな試合だったことよ。
飯田とセレスのコンビはまた聞きたいね。

WBA世界バンタム級タイトルマッチ

2013-04-07 20:50:24 | Boxing
王者 亀田興毅 VS 挑戦者 パノムルンレック・カイヤンハーダオジム

亀田 2-1判定で勝利

考察 ~亀田~

私的採点では115-114で挑戦者。
8Rまでは奇数Rを興毅、偶数ラウンドをパノムとし、
9Rはパ、10は亀、11はパ、12はドロー採点。

相変わらずラウンド序盤だけに出るジャブ。
脚と同時に前に出る頭(B・ホプキンスほどではないが)。
真っ直ぐ後ろに退くフットワーク。
トレーナーをどれだけ変えても、
親父に叩き込まれた悪癖は抜ける気配がない。
というか、今も親父に指導を受けてるのでは?

褒められる部分は少ないが、2Rのアッパー合戦を譲らなかったのは見事。
今までで一番まともな試合だった。
実況がね。
相手のパンチにちゃんと言及していた。


考察 ~パノムルンレック~

序盤早々にKOの期待を抱かせ、中盤まで持続したが、
結局、終盤に押しきれなかった。
8~9Rの勢いを持ち込めれば、敵地で僅差判定を手にできたはず。
どうしても久高の右がスパーンと決まった印象しかないが、
実況・解説はそこにもちゃんと触れないと。

タイプ的にはトータルに完成されたポンサクレックではなく、
ボディに弱点を持つテーパリットという感じ。
実際にボディを効かされた場面が3度あった。

右ジャブはポンポン出せたが、王者のスピードに完全に譲ったため、
左のストレートにはまったくつながらなかった。
さらにロープ際での攻めも稚拙。
有無を言わせぬ連打で息の根を止めるチャンスは複数あったが、
どれひとつ活かせなかった。
J・アルセの映像を観て研究すべし。

大毅の世界前哨戦にふさわしかったのはこの男。
対戦が実現すれば、壮絶な打ち合いの末のKO決着が見られそうだ。

4団体承認

2013-02-19 00:52:32 | Boxing
あるべき流れだと思う。
団体に権威付けを一任する時代はとうに去っている。
後はボクシング関係者、メディア、ファンの見る目にかかっている。

そうした意味で井岡のロマゴンとの激突延期は、
ある意味予想通りとはいえ、残念なニュースだった。
内容、結果は振るわなかったが、
N・ドネアに立ち向かった西岡の勇姿は決して忘れてはならない。

最近、なかなか更新できていないが、何とか時間だけは作りたいと願っている。
頑張ろう、俺。

WBO世界Sバンタム級タイトルマッチ

2012-12-18 02:23:18 | Boxing
王者 ノニト・ドネア VS 挑戦者 ホルヘ・アルセ

ドネア 3ラウンドTKO勝利

考察 ~ドネア~

3ラウンド冒頭に見せた上下のコンビネーション。
左のスマッシュから右の打ち下ろしのセットは
はじめの一歩のヴォルグが見せたホワイト・ファングか。
あれがもし綺麗に決まったらひとたまりもない。
C・ミハレスも武恵一アッパー見せたりしていたし、
外国人ボクサーは時折、日本の漫画的ムーブを披露してくれる。

バレラ戦やハットン戦を見る限りパッキャオはクリンチ嫌いと断言できるが、
ドネアもまたその系統らしい。
左手一本でアルセをひっぺがすところなど、
左の腕力自体も相当なものだと推測できる。

ドネアの戦い方を見ていると羽生善治の言葉を思い出す。
曰く
「棋士の対局は剣豪同士の戦いに似ている。
 切っ先が鼻先をかすめても読みきっていれば大丈夫」

A・マレス、C・ミハレスあたりでも勝てないでしょう。
なんとcrowd-pleasingな男だろう。
Fighter of the Yearを贈る。


考察 ~アルセ~

戦略は明確。
とにかくロープに押し込んで連打。
バスケスJr戦の2匹目のドジョウ狙い。
試合前は西岡を臆病者だとこきおろしていたが、
勇敢に戦えばいいってものでもないだろう。

2ラウンドのダウンで早くも開き直った感があったが、
それにしても10cmぐらいの隙間からのパンチでも倒されるもんですね。
浜田剛史の拳一つ分あれば倒せる論がまたも実証された。

最後の左フックを食らう直前、ガードを解いたのは
打ちにいく戦士の本能か、それとも閃光の如き一瞬のフェイントに
思わず反応させられてしまったからなのか。
多分その両方なのだろうな。
アルセにしか見えないフェイント、アルセだけが反応してしまうフェイント。

引退宣言したが、メキシカンは2度引退するという格言通りに、
解説者をしながらも血が騒いで復帰 → 負け → あらためて引退
という構図が見えてくる。

WBA暫定Sフェザー級タイトルマッチ

2012-12-10 00:51:56 | Boxing
ユリオルキス・ガンボア VS マイケル・ファレナス

ガンボア 判定勝利

考察 ~ガンボア~

このCuban marvelが過去の(現在もいるが…)ボクサーに照らし合わせると
一番近いのはロイ・ジョーンズJrだ。
今日やっとそれが分かった。
ずば抜けた身体能力に裏打ちされた高速コンビネーションに高速ボディワーク、
対戦相手視点になれば目の前から消えたと思わせるスピード。
そしてどこかスタミナに不安がつきまとうところ。
ロイは流すラウンドを作るというよりはラウンドの中で流す時間帯を作っていた。
ガンボアにもそれが当てはまる。
ダウンは何度か喫しているが、この日のダウンはまた格別で
ロイがターバーに破壊された瞬間を彷彿させた。

クリンチを滅多にしない選手だったが、今日は別。
ダウン後に積極的にクリンチに行く様は
余裕のなさか冷静な判断なのか、
それとも黒人選手にありがちなfragile mentalityの発露か。

ボクシングは時にフラクタルのように、一瞬、1分、1ラウンド、一試合の攻防に
選手の全キャリアが凝縮されているとしか思えない瞬間が往々にしてある。
ブランク明けの次の試合にこそ要注目。


考察 ~ファレナス~

日本の選手が安易に世界ランク欲しさに呼ぶと危ない&アブナイ選手か。
内山とのドローややガンボアからダウンを奪ったり流血させたりと
今後に向けての商品価値はキープしている。
個人的にこの手の顔は大好きだ。
粟生の再起第2戦に呼んでみるのは…… リスキーか?