electric

思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

Cyber-shot T20

2007-10-02 23:49:33 | その他レビュー
結論から言えば、室内や、屋外でも薄曇りの場合など、柔和な光源に対して本機はめっぽう強く、実に美しい画像を写し取る。画像品質は330万画素の名機coolpix880(ニコン)の画質と同等と言える。この鮮明極まる画像にはいろんな意味で驚いた。先ごろ購入したIXY DIGITAL 1000の画質が冴えないのはcoolpix880と同じ1/1.8型CCDサイズでありながら、IXYは1000万画素もあるので画素単位の面積が1/3と小さく、ノイズレシオが落ちるからだろうと納得していた。しかし、このT20は1/2.5型と更に一回り小さいCCDで、かつ810万画素もありcoolpix880と比べると画素の面積は約1/4しかない。画素の単位面積は大きいに越したことはないが、最終的な画像品質は一概には言えないという一般説もあり、T20の画質は事実としてこの説に軍配を上げている。やはりコンパクトディジカメは実際に撮り比べてみなければわからないということだろう。
しかしながら、晴天の直射日光など光線が強い場合には輪郭強調が効きすぎるのか、ノイズが目立つようになり画像がややザラついて見える。光が強くなるほどに真価を発揮したcooipix880とは対照的である。やはりこの辺りが1/2.5型CCD、810万画素の限界なのかもしれない。とはいえ、これもその他多くの1/2.5型CCDを搭載している機種と同程度ということであり、決して劣るものではない。むしろソフトな光源での画像品質が良すぎるのだ。このハイライトよりローライトが得意という性格に、光学式手ブレ補正機能が更にアドバンテージを与えている。しっかり構えれば、夜でも室内光だけでほとんどノンフラッシュでいけるのには驚いた。その他、手のひらにスッポリ入ってしまうコンパクトサイズが実にいいし、レンズがせり出さない分起動も速い。デザインのポイントであるスライドカバーがややダサくも感じるが、電源と連動しているのは機能的にとても使いやすい。個性的ではあるが秀作といえる一台だろう。
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Good Luck(グッドラック)

2007-10-02 21:59:56 | 思索
アレックス・ロビラ フェルナンド・トリアス・デ・ベス  著 ポプラ社

何の含蓄も無い、近年希に見るクズ本。これではまるで「3匹の子豚、ブー・フー・ウー」ではないか。童話としてなら「ブー・フー・ウー」の方がずっと面白いし救いもある。数世紀前ならまだしも、今何故、3匹の子豚の亜形を使って、人生の成功を確定的に語る必要があるのか。時代錯誤も甚だしい。読み始めて数ページで既に結末が見え、それ故の不快感がその後ずっと伴うが、”やはりそうであったか”と、読み終えた後の余韻は不快極まりない。悪役に回された黒い騎士の扱いも残酷で、無能で判断力の乏しい人間はこの世では不要であると、言っているかのごとくである。こんなものなら、ちょっと気の効いたRPGでも、例えば「テイルズ・オブジ・アビス」などのように、多くの可能性を秘めた豊かな人生を雄弁に語っている創作物は山ほどある。特に、自己形成の過程にある少年・少女達には、観念を固定化する怖れのあるこのような本は読ませたくない。”世界中で話題騒然”、”日本でも一気に50万部突破”などのキャッチコピーに誘われて買ったが、お金と時間の無駄以外の何ものでもなかった。
とある雑誌のコラムに、このようなものがベストセラーになるというのは、やはり今の社会はどこか変なのだ、と書かれていたが、まったく同感である。
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