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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

微分(意味と約束事)

2007-10-08 21:26:20 | 電子回路
このグラフは時間経過に対する磁束の変化を示したものです。時間tにおいて磁束の大きさはφであり、時間t+⊿tでは磁束の大きさはφ+⊿φですね。

さて誘導起電力の式はe=⊿φ/⊿t でした(N=1のとき)。⊿は極めて小さな増加分という意味です(マイナス増加分:減少分も含みます)。 ⊿φ/⊿tは図から明らかなように変化の割合です。これは直線aの傾きであり、aの傾きの大きさ(値)は⊿φ/⊿tの値によって決まります。一方、直線bは時間tにおける接線であり、この接線の傾きが時間tにおけるφの変化の瞬間値であることがわかりますね。

⊿tは極めて小さいとはいえ有限値ですから、直線aと直線bの傾きはわずかに異なります。では⊿tをさらに極限まで小さくして、限りなく0に近づけるとどうなるでしょう。直線aはどんどん直線bに近づいてゆき、遂に⊿tが0に達すると直線aは直線bとかさなります。このように⊿φ/⊿tの⊿tを限りなく0に近づけて、φの変化の瞬間値を求めることを微分するといいます。厳密には「磁束φを時間tで微分する」といいます。

これを式で示すとlim(⊿t→0) ⊿φ/⊿tとなり、頭にlim(⊿t→0)を付けて表します。そして、毎回lim(⊿t→0)を付けるのはじゃまくさいので、省略してdφ/dtと書くのです。(ディー、ティー、ディー、ファイと読みます。)
(例)関数y=f(x)をxで微分するとdy/dx 。φ=f(t)をtで微分するとdφ/dt 。

「磁気静電気編」でもe=N・dφ/dtと書きたかったのでしょうが、中学生の読者も想定し、微分の概念を避けて、e=N・⊿φ/⊿tにとどめたのでしょう。

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