広島市西区民センター大ホールで行われた広島ウインドオーケストラの第43回定期演奏会を聴きに行く。
「兼田敏プロジェクト」と題し兼田敏氏のパッサカリアとバラード1~5という渋いプログラムだ。
オールリードやオールスパークプログラムというコンサートも最近増えてきたがオールカネビンというのが興味深く楽しみにしていたコンサートだ。
まず曲がその辺にある商業主義のプンプンする作品とは異なり芸術作品であること。
別段商業主義的な作品が悪いとは思わない。
兼田作品、その作品を指揮者の下野氏が作曲家の立場で深くスコアから全てを読み取り広島ウインドオーケストラが表現豊かに大きく応えた。
なんと言っていいかわからないが、音楽がそこで形として見えるというか、スコアの風景がそこに見えるというか、それくらい聴衆に訴えかけるものが明確且つ大胆で美しく、広島ウインドのサウンドが「あったかいんだから~」からカミソリの刃で切りつけた様なシャープさをもった表現力、最高の音のシャワーをいただきました。
この2時間程のコンサート、少し若い頃の作品から晩年までの作品までニューシネマパラダイスの映画の様に兼田さんと一緒に人生を歩んできたような気がした。
コンサートの集客的には今年のコンクール課題曲をやったり最近流行りのものをやれば一杯きて良いのだけれど、広島ウインドは反商業主義的な路線&吹奏楽は芸術だ路線でお客さんを開拓していく姿勢もまた素晴らしい。
明後日はこの楽団によるコンクール課題曲講習会があるのでそれはそれで聴講にいこうと思ってます。
終演後、指揮者下野氏とウインドの主要メンバー、スタッフと0時まで横川で飲み会。
今日の演奏会、北海道大学の20才の学生が飛行機に乗ってわざわざこの兼田敏作品だけ演奏するコンサートに聴きに来たようです。
日本の吹奏楽界もまだまだ明るいですね。
天国のカネビンさんも微笑んでいます。