Q:まだまだ、全然勉強不足ですが将来クラリネットの仕事がしたいです。でもなかなか楽器が吹けない日々が続きます。焦らず出来ることからやるのはわかっているのですがどうしてもまわりで音楽してるひとから、取り残されていく気がしてならないです、橋本さんは焦っていたときどうしていましたか? 匿名バナナさん
A:私も焦る時期はありました。私の過去の話になり今とは環境が違うと思いますが、大学時代同級生がプロオケにエキストラに行ったなと話を聞くと早く自分もそうならなきゃと焦る時期はありました。
夜は生活費を稼ぐのに中華料理屋でバイトしながら限られた時間を有効にベーシックな基礎ものやその時に必要なオケスタやソロの曲をさらいました。
私の下宿先は音が出せなかったのでやる曲などの音源を聴きながらイメージを膨らませていた時間も多かったと思います。
大学卒業する頃に広響に受かりホッとしたとはいえ、オケの経験も全くと言っていいほど無かったので現場で揉まれながら上達、クリアしていきました。
オケの仕事をしながらもベーシックなものは必ず必要なことは身体でわかっていたので丁寧にスケールやアルペジオ、ロングトーンもやっていました。
焦らずゆっくり音から見つめ直すことも大切だと思います。
ドイツ留学中に自分がスランプに陥った時、とある有名弦楽器奏者がスランプに陥った時の記事を読みました。
「スランプで調子が最悪な時は楽器が鳴らない、響かない。」
その一文で楽器を響かせ方にこだわる意識が芽生えました。
曲に拘るあまり奏法が蔑ろにされていたのではないか。
ただ楽器を鳴らしただけでは本当は鳴っていない。
自分自身も響くくらい身体が鳴らないと本当は鳴った感じがしない。
身体が鳴る(身体が響く)という感覚を掴んだ時、出来ない事も難無く出来るような気がします。
「考えが変われば音が変わる 」
「音が変われば音楽が変わる」
「音楽が変われば聴衆が変わる」
自己満足に終わらずいつも聴衆の心が変わる様な演奏を心がけて日々鍛錬しています。
人と比べてしまうと焦る気持ちはとてもわかります。
ほとんどのプロのクラリネット奏者は敗北感やスランプを乗り越えて大きな武器を手に入れています。頑張ってください!