★ 私のクラシック音楽館 (MCM) ★ 蔵 志津久

クラシック音楽研究者 蔵 志津久によるCD/DVDの名曲・名盤の紹介および最新コンサート情報/新刊書のブログ

◇クラシック音楽CD◇~麗しのウィンナー・リート集~

2010-11-04 13:14:23 | 歌曲(女声)

                   

~麗しのウィンナー・リート集~

ワルツが私の愛の歌(シュトルツ)
ウィーンわ力'夢のまち(ジーツィンスキー)
辻馬車の歌(ピック)
プラーターの木々また花咲いて(シュトルツ)
それがウィーンのお家芸(ツィルナー)
愛こそは地上の天(レハール)
きょうだい、やさしく(ドレヒスラー)
幸福は小鳥のように(クラッツル)
時計の最期(グルーバー)
母さんはウィーンの女だった(グルーバー)
かんなの歌(クロイツァー)
プラーターの日曜日(ツィルナー)
ヘレーネンタールの小径(シュタインブレッヒャー)
風の灯、グラスにワイン(プルクナー)
ジーヴェリングの向うではもうリラの花が咲いたって(シュトラウスⅡ世)
私の心の皇帝になって(シュトルツ)
君の愛さえあるならば[恋はやさし野辺の花よ](スッペ)
ウィーンわが夢のまち(ジーツィンスキー)
変奏曲K la(モーツァルト)

ソプラノ:ゲリンデ・イェリネンク
バリトン:フリンツレーマン

ビーダーマイヤーハープ:フーベルト・イェリネック

ウィーン・ビーダーマイヤー・ゾリステン
ウィーン・オペレッタアンサンブル

CD:カメラータ・トウキョウ 32CM‐306

 ウィーンと聞くと誰もが“音楽の都”を思い描くだろう。モーツァルト、ベートーヴェンなどが活躍した街であるし、現在も世界最高のオーケストラの一つ“ウィーン・フィル”などの本拠地でもあるので当然といえば当然だ。しかし、ウィーンが“音楽の都”と呼ばれ始めたのは、19世紀後半からであり、それ以前の“音楽の都”といえばベネチュアであったのである。「ウィーンは街興しのために、人為的に音楽の街となったに過ぎない」と言う人がいるほど。ウィーンは、もともとケルト人の居住する小村に、ローマ帝国の北の拠点が建設されたのがはじまりで、ヨーロッパからみてアジアへの入り口にもあたり、多彩な民族(ゲルマン系、スラヴ系、マジャール系、ラテン系)が集まった都市として栄え、現在はオーストリアの首都であると同時に、国際機関の本部などが数多く置かれるなど、グローバル都市であることに今も変わりはない。

 そんな現在の“音楽の都”ウィーンには、ウィーンの香りをふんだんに持った“ウィーン・リート”とも呼べる一連の歌が歌い継がれている。今回は、そんな小粋な“ウィーン・リート”がたっぷりと聴けるCDである。“ウィーン・リート”は聴いていて心が浮き立つというか、何か自然に踊り出したくなるような軽快さがその身上であろう。“ウィーン・リート”には、深刻さとか重厚さは似合わない。明るく、社交的で華やかな雰囲気に満ち満ちている。毎年元日の夜、ウィーンから生中継で“ニューイヤー・コンサート”が送られて来るが、このCDは、この“ニューイヤー・コンサート”の雰囲気が凝縮されていると思っていただければ自ずから分ってもらえると思う。やはり、イメージづくりでウィーンは随分得をしているなぁといった感じがする。

 このCDの1曲で多分皆さんも一度は聴いたことのあるジーツィンスキー作曲の「ウィーンわが夢のまち」の歌詞の冒頭の一節を見てみると・・・「私の心も、感覚も、いつもウィーンを憧れる 泣き、また笑う、あのウィーンを そこは私のまち、私のふるさと 昼も、そして夜もなおさら― 老いも若きも心は燃える、 ウィーンを本当に知っている人ならば この美しいまちを去ることになったなら、 私の憧れは限りなく広がろう― そうすると遠くから、一つの歌が聴こえてくるだろう。 それは響き、歌い、魅惑的に誘うだろう―」(前田昭雄訳)と続く。この詩だけ読んでも特にどうということもないが、このCDでソプラノのゲリンデ・イェリネックがこの曲を歌い出だすと俄然辺りの雰囲気がウィーン一色に染まるから不思議だ。それにウィーン・ビーダーマイヤー・ゾリステンの演奏が、いかにも昔風の楽団といった趣を醸し出し、“古き良きウィーン”を再現していて、聴いていて楽しいことこの上ない。(蔵 志津久)


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