ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

細胞死(アポトーシス)制御の酵素を特定 がん治療などへの応用も期待=東京医科歯科大学

2007年03月09日 | 癌、腫瘍
 DNAが傷ついた細胞が自発的に死ぬ「アポトーシス」(細胞死)の制御に関与している酵素を、東京医科歯科大の吉田清嗣助教授らの研究チームが特定した。

 異常な細胞を狙って細胞死させられれば、がん治療などへの応用も期待できる。研究成果は9日付の米専門誌に発表された。

 紫外線や放射線などでDNAが傷つけられた場合、がん化などの悪影響を防ぐために細胞死が起きる。細胞死は、がん抑制遺伝子と呼ばれるp53遺伝子が働いて起きるが、同遺伝子を働かせるためのスイッチとなる酵素が見つかっていなかった。

[時事通信社 / 2007年03月09日]
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007030900045

東京医科歯科大学 プレスリリース
http://www.tmd.ac.jp/cmn/soumu/kouhou/news20070306.htm

東京医科歯科大学 難治疾患研究所 ゲノム応用医学研究部門 分子遺伝
(BGM音が鳴ります、注意ください)
http://www.tmd.ac.jp/mri/mgen/index_j.html

母乳たんぱく質に血中脂質抑制効果=ライオン

2007年03月09日 | 食品・栄養
 母乳に多く含まれるたんぱく質ラクトフェリンが、中高年に多い内臓脂肪症候群のひとつ、血中脂質の増加を抑えることを、ライオン(本社・東京)の研究チームが解明した。24日から都内で開かれる日本農芸化学会で発表する。

 同社の村越倫明(むらこしみちあき)主任研究員らは2年前、歯周病菌が出す毒素が体内で特殊な働きをして血中脂質を増やすことをマウスの実験で突き止めている。今回は、その毒素を抑えるラクトフェリンに着目。マウスにラクトフェリン水溶液を4週間飲ませた後で毒素を与えると、与えない場合より、血中脂質の増加が10~20%抑制された。

 さらに、高コレステロール食をマウスに8週間食べさせる実験でも、同時にラクトフェリンを与えると、与えなかった場合に比べて血中総コレステロールの増加が約60%抑えられた。

[読売新聞 / 2007年03月09日]
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070309ik04.htm

ライオン株式会社 プレスリリース
http://www.lion.co.jp/press/2007015.htm

授乳が排卵抑制するメカニズム解明、ラットで証明=名古屋大学

2007年03月09日 | 脳、神経
 乳児が母親の乳首を吸うことが刺激となって母親の脳に作用し、生殖機能を抑制するというメカニズムを、名古屋大生命農学研究科の束村博子助教授(47)と山田俊児大学院生(28)らのグループが解明した。米国・内分泌学会誌「エンドクリノロジー」(電子版)に論文が掲載された。

 束村助教授らは、子育て中の母親ラットについて、授乳をさせたものと、赤ちゃんラットと引き離したものとで、脳内を比較検討。その結果、授乳しているラットの方が「メタスチン」と呼ばれる神経伝達物質の量が少なく、乳首を吸われるという刺激によって「メタスチン」の合成が抑えられることが分かった。

 メタスチンは、2001年に日本の研究者の手によって、がん転移を抑える物質として発見された。その後の束村助教授らの研究や欧米の研究で、メタスチンが少ないと排卵しにくいことなどが分かり、哺乳(ほにゅう)類の生殖を制御する最も重要な神経伝達物質と考えられるようになっている。

 今回の研究結果は、不妊治療や家畜の繁殖力を増やす薬への応用が期待されるという。束村助教授は「授乳中の母親の生殖機能が抑制されるのは、次の子供を妊娠しないための摂理と思われるが、その脳内メカニズムは不明な点が多かった。今回の研究で、その中核部分を解明できた」と話す。

[中日新聞 / 2007年03月09日]
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20070309/mng_____sya_____006.shtml