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蚕の病気のなぞを解明=京都工芸繊維大学

2007年03月01日 | 生きもの色々
 蚕に感染するウイルスが自らを守るシェルターとして作るタンパク質結晶の分子構造を、京都工芸繊維大昆虫バイオメディカル研究センターの森肇教授(昆虫ウイルス学)らのグループが明らかにし、1日に英科学誌「ネイチャー」で発表した。分子が強固に連結した結晶が蚕の体内に入ると、「連結器」が外れてばらばらになり、ウイルスが放出される巧みな仕掛けが明らかになった。

 ウイルスは自分が作った結晶内に潜み、蚕のエサとなる桑の葉に付着する。結晶は、水や酸にも溶けない強固な構造だが、蚕の体内では簡単に溶けてウイルスが放出され、蚕は感染すると死ぬ。

 エックス線解析で調べると、タンパク質分子24個が一辺約10ナノメートル(ナノは10億分の1)の小さなユニットを構成し、1億2500万個のユニットが集まって立方体の結晶を作っていた。

 ユニット内では、タンパク質分子が隣の分子の突起部分をつかむように連結。さらに、連結部分は強いアルカリの下ではマイナス電気を帯びる性質を持っていた。蚕の腹の中は強いアルカリなので、結晶が入ると、連結部分はマイナス電気で反発し合って緩み、結晶が壊れてウイルスが放出される仕組みという。

 森教授は「安全性が確かめられれば、体内の狙った場所に必要なタンパク質などを送り込むマイクロカプセルとして、医療に活用できるのではないか」と話している。

[京都新聞 / 2007年03月01日]
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007030100028&genre=G1&area=K10

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