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もったいない!(2011年ドイツ・ドキュメンタリー)

2014年03月01日 | 映画の感想・批評
 スクリーンに登場した男性2人がゴミ箱にダイビング。衝撃的なオープニングだ。そして彼らは、ゴミ箱に捨てられたビニール袋を引っ張り出して、まだ食べられる野菜、果物などを選び始める。中には封の切られていないものまである。
 大きなスーパーマーケットでは賞味期限の数日前に廃棄処分される食品の量は半端ではない。野菜や果物を収穫する農家では、形や大きさが揃わないという理由で、出荷の時点で撥ねられ廃棄される。農家の人々いわく、“消費者は味や栄養価ではなく見栄えで選んでいるが、そんなの間違っている”と。さらに、われわれ消費者も家庭から多少なりとも食品廃棄を行っている。地球上には飢餓で命をなくす人々が大勢いるというのに…。
 これではいけないと、少しでも食品廃棄を減らす努力を始めている人々もいる。品質には問題がない廃棄食品を引き取って、食べ物に困っている施設や人々に届ける活動を行っている団体。売れ残ったパンから廃油を作り、パン焼きの燃料として使っているパン屋。映画の冒頭に出てきた“ゴミ箱ダイバー”たち。
 “ゴミ箱ダイバー”のルールは、①先に入っている人が優先、②必要以上は持ち帰らない、③来たときよりもきれいにして帰る、だそうである。ゴミ箱にダイブする勇気のない当方としてはせめて、家庭では食料廃棄の量を極力減らす、外食などでは食べ残しも極力減らす、必要以上は買わない、などとりあえず自分の出来ることから始めようとつくづく考えさせられた。消費者は大量の食料廃棄を見越した価格で買わされ、そのうえ間接的に世界の飢餓を招く片棒を担がされているのだ。
 今地球が抱えている食料廃棄の問題を考えるいい機会なのに、京都シネマでたった2週間、1日1回の上映というのは“もったいない!”(久)

原題:Taste the Waste
監督:バレンティン・トゥルン
撮影:ロランド・ブライトシュー


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