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「イチケイのカラス」(2023年 日本映画)

2023年02月15日 | 映画の感想・批評
 漫画~テレビドラマ~映画の流れを受けたフジテレビ系の本作品。私は、黒木華出演だったから、テレビドラマは、見ていた。実際にそんなドラマチックな場面あるのかなあと思いながらも、楽しく見た記憶があったので、観に行った。メインの出演者、監督、脚本も同じキャスト・スタッフなので、安心して観られた。俳優陣のセリフで、人間関係がテレビドラマを未見の人にも分かるように考えられている。本作品も、事件に真摯に向き合い、率直な違和感や疑問を基に、地道に解決に進んでいく、真実に辿り着くその姿・過程が良かった。
 改めて、「イチケイのカラス」とはどういう意味だったのか。ネット検索してみた。「イチケイ」とは、“地方裁判所の第1刑事部”の略。「カラス」とは、八咫烏(ヤタガラス)で、烏に足が3本ある烏のこと。2本が通常だが、3本ある。所説あるようだが、「天」「地」「人」を表すようだ。すべてがバランス良くということだろうか。それで思い出したのが、商売をするものなら誰しも大事にしなくてはいけない3か条。「売り手良い・買い良い手・世間良し」。それも3か条。3点はバランスが良いのだろうか。改めて、感じた。
 それに反し、本作品の地元愛に溢れる同級生達は、大人になるにつれ、バランスが崩れていった。しかも、その崩れが、自分達の勝手な論理で、正当化されていた。それを疑いもしない。万が一、それは間違っていると思っても、とても言えない。
 小さな世界(殻)に長年居ると、その殻が常識となる。広い世間から俯瞰してみると、常識ではない。そこが、中に居ると分からない。違う世界を見る意識をする心構えをもつことは大事だと感じた。それが、裁判官の「カラス」と繋がるのか。でも、裁判所の判断って、一般市民に寄り添っているのか疑問に思う時もあるが・・・。その改善策が、裁判員制度なのか・・・。
 自分の正義(軸)をどこに持つのか。どうそれを維持するのか。テレビドラマ→映画の勢いだけの映画ではなく、軸足をしっかりとした映画だった。黒木華を観たいという気持ちが先行していた自分は強くは言えない???
(kenya)

原作:浅見理都『イチケイのカラス』
監督:田中亮
脚本:浜田秀哉
撮影:四宮秀俊
出演:竹野内豊、黒木華、斎藤工、山崎育三郎、柄本時生、西野七瀬、田中みな実、桜井ユキ、水谷果穂、平山祐介、津田健次郎、八木勇征、尾上菊之助、宮藤官九郎、吉田羊、向井理、小日向文世


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