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「サイレントラブ」(2024年 日本映画)

2024年02月14日 | 映画の感想・批評
それぞれに事故や事件で視力と声を失った若い男女の手探りの恋の話。

音楽大学の用務員をしている蒼(山田涼介)はある日、屋上から飛び降りようとするピアノ科学生の美夏(浜田美波)を間一髪で助ける。その時に、蒼は美夏が落としたガムランボールを拾う。
美夏は資産家の娘で、もともとが高慢な性格もあるのか、周囲の学生とも親しめないし、加えて交通事故にあい、視力を失い絶望の淵にあった。家族から離れてハンディを抱えながらも一人くらしを続けようとあがいている。明らかに白杖だけでは危なっかしい。大学ではピアノの演奏家としてよりも作曲専攻に代わるように勧められる。

古ぼけた校舎のピアノの存在を美夏が見つけ、練習に通い始める。杖だけで場所を探りながらピアノにたどり着き、そのピアノの鍵盤のタッチなど、美夏のお気に入りになる。ひそかに練習を重ねるのを、キャンパスの掃除をしながら蒼はじっとサポートしていく。鍵もかかっていなかった教室だったが、やがて施錠されると、用務員室のスペアキーを使って美夏の為に開けてやったり、安全に通学できるように、ガムランボールで導く。美夏は蒼もピアノ科の学生と思い込み、「あなたのピアノを聴きたい」と望む

高級外車を乗り回す学生、悠真(三浦周平)は実は裏カジノで負け続けて多額の借金を抱えている。蒼はスマホの音声機能を使って悠真に「ピアノを弾いてくれれば謝礼を払う」と頼み、1回につき5万から10万円を渡して、悠真の演奏を美夏に聞かせる。美夏はその音色に心を惹かれ、一緒に連弾を楽しみむようになる。蒼と弾いているものと信じていたのか。
ピアノを弾く手があれほどゴツゴツであるはずがないことは早くから気付いていたはず。それ以上の感情を美夏はもっていた。だからこそのラストなのだが。

本作は「ミッドナイトスワン」の監督だし、多少の期待はあったのだが、突っ込みどころが多すぎる。
悠真の位置づけが今一つはっきりしない。学生の身分で、カジノに出入りして大負けして、危ない筋に追いかけられ、果ては・・・・・・。
美夏との連弾シーンはよかった。
バイオレンスシーンは目を伏せてしまった。必要があったのか。また、大学の不祥事も唐突にでてきて、美夏の指導講師が捕まるシーンがあったり。
音大が舞台なだけあって、劇中のクラシック音楽が素晴らしい。曲名を字幕でだしてほしかった。久石譲が音楽を担当しているのには納得。
山田涼介、『ナミヤ雑貨店の奇跡』を覚えているが、今回はほとんど声を出さない、目の表情でかたる、難しい役と言える。
浜辺美波は「君の膵臓を食べたい」以来、わりと注目してきたし、昨年は朝ドラ「らんまん」や、「ゴジラマイナスワン」などなど、大活躍中。今年の賞レースを総なめしそうな勢い。コメディもこなせるし、本作のような高慢な女性もけっこう似合っている。
ますます楽しみな女優さんだけに、本作のストーリー展開に無理やり感があって、十分に楽しめなくて残念。まあ、若い人のラブストーリーにはそもそもついていけなくなってる、こっちの感性のせいかなあ。
(アロママ)

監督:内田英治
脚本:内田英治、まなべゆきこ
撮影:木村伸也
出演:山田涼介、浜辺美波、三浦周平、古田新太





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