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「舟を編む」 (2013年 日本映画)

2013年06月02日 | 映画の感想・批評


 2012年本屋大賞1位に輝いた三浦しをんの傑作小説を、29歳の若き俊英石井裕也監督が映画化。15年もの歳月をかけて新しい辞書(舟)を編集する(編む)という、途方もなく地道で根気のいる仕事に携わった人たちを魅力いっぱいに描いている。
 出版社・玄武書房に勤める馬締光也は、その名が語るように営業部では「まじめ」過ぎて持て余され気味。しかし、大学院では言語学を専攻しただけあって、言葉に対しては天才的なセンスの持ち主。新しい辞書「大渡海」の編集部に迎えられ、辞書作りの世界に没頭していく。 主人公・馬締を演じるのは松田龍平。その真面目さ、不器用さ、一途さが愛おしく思えてくるくらいのハマリ役。この人、こんなに演技うまかったんだ!!馬締が大学時代から下宿している早雲荘の大家の孫娘・林香具矢に宮あおい。美しい月と共に出現した時から存在感抜群。馬締が一目惚れしてしまうのも頷ける。
 そしてもう一人の主役が辞書。用例採集カード、見出し語リスト、時代とともに生み出される新しい言葉の数々。辞書作りの大変さと面白さが画面からにじみ出てくる。
 特筆すべきなのが、この映画のためにこだわって作られたパンフレットの素晴らしさ。辞書を編んだようなデザインの表紙は「大渡海」と同じサイズ。辞書で使われている“ぬめり感”が体験できる用紙を一部に使ったり、今では珍しいシナリオを掲載したりと、馬締たちの頑張りにふさわしい内容となっている。 
(HIRO)  

監督・石井裕也 
脚本・渡辺謙作 
撮影・藤澤順一 
出演・松田龍平、宮あおい、オダギリジョー、小林薫、伊佐山ひろ子、加藤剛、鶴見辰吾


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