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「女神の見えざる手」(2016年 フランス・アメリカ)

2017年11月01日 | 映画の感想・批評
 物語はちょっとお堅い政治絡みの内容だから、そこで観客を選別してしまうきらいはあるが、そういうことに興味がない人もずっと我慢に我慢を重ねて見てほしい。胸のすくようなラストの大どんでん返しに出くわせるから。監督ジョン・マッデンの真骨頂だ。
 映画はアメリカ上院議会の公聴会で幕を開ける。女性ロビイストとして泣く子も黙る実力者のスローン(ジェスカ・チャスティン)が証人として召喚される。インドネシア政府の依頼で米議員を接待したことが議会の倫理規定に抵触するというわけだ。
 ここで、話は何ヵ月か過去に遡る。私もよく知らなかったのだが、ロビイストは大手のコンサルタント会社に所属してチームを組み、政治家からの依頼で動くらしい。とある有名コンサルに有力上院議員から近々議会に上程されるという銃規制法案をつぶして欲しいという依頼が入る。それで、とりわけ銃社会に敏感な女性の世論を銃規制反対に導くために、スローンに引き受けてほしいと持ちかけるのだ。ところが、上司の期待を裏切って、彼女は「銃規制に賛成だ。信念を曲げてまで仕事はできない」と言い放つ。その噂を聞いたライバル会社の担当者(マーク・ストロング)が銃規制法案を通すためのプロジェクトに加わってほしいと引抜をはかるのだ。
 スローンは息のかかった若手の部下を引き連れて退社する。ただ、彼女が一番信頼していた部下が反旗を翻して銃規制反対側につくと宣言したことは痛手となる。
 こうして、両者の銃規制法案をめぐる仁義なき戦いの幕が切って落とされ、スローンはあらゆる手を使って態度をまだ決めていない中間派の上院議員獲得に奔走するが、そのエゲツナイやり口に彼女を引き抜いた上司も徐々に引いてくるほどだ。劣勢気味の銃規制反対派は最後の切り札にスローンのスキャンダルを暴いて追い落とそうと、冒頭のインドネシア疑獄に至るのである。
 銃規制派でありながら銃規制反対派に恫喝されて主人公のスキャンダルを追及する委員会の委員長を務める古参の上院議員(ジョン・リスゴー)が、いよいよ最後のとどめを刺そうとしたその刹那・・・さてみなさん、結末は見てのお楽しみだ。 (健)

原題:Miss Sloane
監督:ジョン・マッデン
脚本:ジョナサン・ペレラ
撮影:セバスチャン・ブレンコー
出演:ジェシカ・チャスティン、マーク・ストロング、ググ・バサ・ロー、マイケル・スタールバーグ、ジョン・リスゴー、アリソン・ピル、サム・ウォーターストーン


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