チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

2月12日、「魂魄の塔」横での鉱山開発について沖縄県と交渉 --- 知事は自然公園法第33条2項に基づき、開発中止命令を出すべきだ!/// 鉱山に隣接したシーガーアブの総合調査の検討も表明(追記あり)

2021年02月12日 | 沖縄日記・辺野古

 今日(2月12日・金)、沖縄平和市民連絡会が提出した、「糸満市・魂魄の塔横での土砂採取の中止を求める要請書」について沖縄県との交渉を行った(要請書全文は1月27日のブログ参照)

 県からは、自然保護課・森林管理課・援護保護課・辺野古新基地対策課の課長や担当者らが出席。我々からは、平和市民連絡会だけではなく、南部地区から糸満市・八重瀬町・南風原町の島ぐるみ会議のメンバーらが参加した。

        (2月12日、沖縄平和市民連絡会の県交渉)

 

1.知事は自然公園法に基づき、熊野鉱山の開発を禁止することができる

 熊野鉱山の開発業者は昨年10月末、自然保護法に違反して開発行為に着手したため、県が立入調査を行い工事中止を指示した。その後、業者は年末に糸満市に開発行為の届出書を提出。糸満市は1月18日、意見書を付けてその届出書を県に送付した。県は現在、形式審査を続けているが、正式に受理すればそれから30日が経過すれば開発行為に着手できることとなる。その意味でも事態はいよいよ正念場を迎えようとしている。

 私たちの要請書にもあるように、自然公園法第33条2項は、「知事は国定公園について、当該公園の風景を保護するために必要があると認めるときは、---その風景を保護するために必要な限度において、当該行為を禁止し、若しくは制限し、又は必要な措置を執るべき旨を命ずることができる」と定めている。知事は、熊野鉱山の開発を中止させる権限を持っているのだ。

 この点については、糸満市も県に提出した意見書で次のように指摘している。

・「国道から平和創造の森公園方向の眺望は、緑のつながりが織りなす稜線となっており、地域資源の一つであるが、大規模な採掘により、この稜線に著しい改変が生じてしまい、眺望も著しく損なわれる懸念がぬぐえない」

・「届出地は慰霊塔である魂魄の塔等の戦跡の周辺に位置しており、また、海岸線に連なる緑の風景が形成されている場所であるため、こういった米須地域らしい風景が損なわれることへの懸念がある」

・「届出地周辺には慰霊塔などもあり、来訪者も多い。そのため、戦跡等とともに、斜面緑地も、歴史の風景として保全を図る必要がある」

 知事はこうした糸満市の意見書を受け入れ、一帯の風景(これには戦跡等の「歴史の風景」も含む)を保護するために、自然公園法第33条2項に基づき、開発行為の中止を命じるべきである。

 今日の交渉で県は、「現在、審査中であり、慎重に検討していきたい」と述べるにとどまった。今後も継続して追及を続けていきたい。

 

(糸満市も、「緑のつながりが織りなす稜線」として景観保護を訴える意見書を県に提出している)

 

2.熊野鉱山周辺の遺骨収集について

 熊野鉱山周辺では、昨年9月から、具志堅隆松さんらのガマフヤーが遺骨収集活動を行ってきた。このままでは、戦没者の遺骨混りの土砂が辺野古新基地建設の埋立に使われてしまう。これは、戦没者を冒瀆するものだとして、怒りの声が高まっている。

 一帯での遺骨収集については、「開発業者が遺骨収集の実施に向けて県との調整を進めている」と報道され、菅総理も国会で「採掘業者においてご遺骨に配慮した上で土砂の採取が行われる」と答弁してきた(2021.1.22 参議院本会議)。しかし、開発業者が遺骨を収集するのは実際には難しい。

 この点について、今日、県は「遺骨収集はあくまでも県の戦没者遺骨収集センターが中心となって行う」、「2月中の遺骨収集実施に向けて、国・糸満市・業者と調整を進めている」と答弁した。今月中に、遺骨収集を県の責任で行うというのだ。

 しかし私たちは、「形だけの遺骨収集作業が行われ、鉱山開発が始まることは認められない。遺骨収集の前に、まず、この付近の土砂は辺野古埋立には使わせないということを確認しなければならない。そうでないと、遺骨収集が業者の開発行為に加担するものとなってしまう」と追及した。

 また、遺骨収集に関連して、鉱山開発地に隣接したシーガーアブ(有川中将以下将兵自決の壕)が破壊されるおそれについても指摘した。

 この壕では、兵士だけではなく、米須地区の7家族も避難し、米軍の呼びかけにも応じなかったことから、石油を流し込んで燃やされたという証言もある。現在も、遺骨や手りゅう弾、軍靴、ガスマスク等が見つかっているが、壕の全面的な調査は行われていないという(詳細は2月10日のブログ参照)。

 今日の交渉で私たちは、「遺骨収集にあわせて、シーガーアブの総合的な調査を実施すべきだ」と求めた。県も、「戦没者遺骨収集センターとも連携しながら、シーガーアブの調査も含めて検討していきたい」と約束した。

 

 さらに今日の交渉では、南部地区の糸満市、八重瀬町、南風原町の方々も参加されたので、一帯の鉱山の現状についても問題となった。

 県も、荒崎海岸近くの束里鉱山について、「自然公園法の普通地域と特別区域にまたがっている。普通地域については届出が出されていない。特別区域部分も許可申請は見当たらないが、古い鉱山なので、今、確認中です」と認めた。熊野鉱山だけではなく、この一帯の多くの鉱山が、法令に違反して掘削が進められているのだ。県は、糸満・八重瀬の全ての鉱山について、自然公園法の手続きを照会する文書を出したというが、さらに多くの違法な鉱山が見つかるだろう。

 多くの鉱山が、掘削後の巨大な穴がそのまま埋め戻しもされずに放置されている。県はどう対処するのか? 遅れて書類を出させて済む話ではない。

 さらに防衛局は、辺野古新基地建設のために、南部地区から3,200万㎥もの土砂が調達可能だとしている。このままでは、南部地区一帯は見るも無惨に破壊されてしまう。

 県は、設計概要変更申請に対して、県内全域からの土砂採取に対して、毅然とした対応を取らなければならない。

 

 下の写真が荒崎海岸近くの束里鉱山。ここでも自然公園法違反が確認された。

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