12月13日の防衛省交渉で明らかになったこと---奥港・本部港からの石材搬出量。政府が依拠する活断層はないという「既存文献」。特定外来生物の「高温処理」試験が既に始まっている！

 12月13日（水）、辺野古新基地建設事業についての防衛省交渉を行った。事前に質問事項を送っていたのだが、防衛省は前日になって突然、予算要求の時期で超多忙だとして時間短縮を言い出してきた。こんなことは今までにはなかったことだ。福島議員の秘書さんが何回か防衛省とやり取りし、「13日に触れることができなかった問題については、１週間以内に文書回答する」ということを約束したので、やむなくOKした。

 前回（9月28日）の防衛省交渉に続いて、今回も山城博治さんに参加してもらった。会場の参議院議員会館は平日の昼間にもかかわらず150名ほどの参加者で超満員。午後1時からの院内集会では、私が今日の交渉の内容についての説明、博治さんが現在の沖縄の状況や各地の土砂搬出予定地を訪ねた報告などをした。

                （会場は超満員。お話をされているのは山城博治さん）

     （防衛省の担当者らを鋭く追求する博治さん（前列右端））

N.Wさん撮影

 

 昨日は時間がなく、多くの問題が20日までの文書回答となったが、それでも次のような事実が明らかになった。

１．石材の海上搬送について
 ＊現時点では、本部、奥以外の港からの積出しは考えていない。
 ＊両港とも１日１隻の台船を想定している。
  本部からは10トンダンプ160台、奥からは80台程度の石材を積み込む。
 ＊環境保全図書では県内の資材は南回りルートとしていたが、今回は、本部からは北回りルートで航行する。
 ＊K9護岸からの陸揚げは、１日に台船１隻、ダンプトラック160台程度を想定している。
 ＊K9護岸以外からの陸揚げ方法については、まだ検討中。現在時点で具体的なものはない。
 

２．大浦湾の活断層について
 ＊防衛局は、「既存の文献によれば活断層はない」と主張してきたが、今回、初めて防衛局が根拠とする「既存の文献」を明らかにした。次の２つの文献である。
  1. 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 ホームページ『活断層データベース』
  2. 東京大学出版会『活断層詳細デジタルマップ』

　　　　（⇒この２つの文献については、現在、地質学者さんに連絡して調べてもらっている）

 

 ＊活断層の存在の可能性が指摘されている『日本の活断層』、『名護・やんばるの地質』は考慮していない。
 ＊防衛省自身が、大浦湾の「断層によると思われる落込み」と指摘した「推定地層断面図」作成の基礎データについては、時間がなく、今日はお答えできない。
 ＊海上ボーリング調査の結果やデーター公開については、「まだまとまっていない」「膨大な量になるのですぐに出せない」「個人情報等も含まれているので精査が必要」。後日、回答する。

３．特定外来生物侵入防止策について
 この問題について我々の質問事項は次のようなものであった。
 「防衛局は、沖縄県に本年11月2日、「外来生物の侵入防止対策については、現在、実際の外来生物（セアカゴケグモ・アルゼンチンアリ等）を飼育等の上、当該外来生物を死滅させるための条件を試験により明らかにし、当該侵入防止対策の検討の資とすることとしている」と回答した。この外来生物の飼育・試験等の内容について具体的に説明されたい。また、この飼育・試験等の業務は、防衛局が発注したどの委託業務において実施しているのか？ 」

 

　これに対して、13日、防衛省は次のように回答した。
 「セアカゴケグモ・アルゼンチンアリ等の特定外来生物を飼育し、一定時間高温処理を行い生死を確認する試験を現在、行っている。これは、「シュワブ（H27）水域生物等調査」業務で実施している。」、「本業務の特記仕様書等の関連文書は20日までに提出する」

 

⇒この問題について我々は、「岩ズリは土砂がほとんどであり、洗浄は不可能なので、特定外来生物が見つかった場合、どうするのか」という追求を続けてきた。焼却等のウワサは以前からあったが、防衛省が「高温処理」の試験を行っていることを認めたのはこれが始めてで極めて重大なことである。
 しかし、県外からの土砂は1700万㎥にもなる。費用、時間等を考えれば、「高温処理」など不可能としか言いようがない。

 

　この問題については、土砂搬出予定地の住民グループによる土砂全協とも連携して今後の取組みを強めていきたい。