乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

まつたけ

2009年10月18日 | 緩和ケア
秋を運ぶまつたけ、もう食べましたか?

私にとって、まつたけは悲しい思い出です。。。

昨年の今頃、私は毎週まつたけを買っていました。末期癌だった母が、昨年の夏ごろから抗がん剤の副作用で、徐々に食欲をなくしていました。

何とかおいしい料理をしようと、私は躍起になっていました。普通のトマトより味の濃いプチトマトに変え、一つ一つ皮をむいてあげたり(10個むくだけでもすんご~い時間がかかる)、高~いフルーツトマトにしたり(桃より高かった)。肉はモソモソして食べたくないというから、スープにしてエキスだけでも飲ませようとしたり・・・。

でも、あまり効果がでないし、「食べろ」は禁句だし。市販の高エネルギー食品って、母のような年代だと食べないんですよね。ゼリーやプリンなんかも、すぐ飽きてしまったし。
もう、あまり長くは生きられないのかも・・・なんて、ぼんやり考えていました。

で、まつたけです。
通勤途中にデパ地下に寄ったら、あら、いい香り。小さいのが一本2000円。
初物だから、縁起担ぎに買いました。決死の覚悟で3本。

自宅へ帰ったら、久しぶりの秋の香りに、母もちょっと元気に。
翌日、私がまつたけご飯の作り方を本で調べていたら、母が作ると言い出しました。お、積極的でいい感じです。子どもの頃、まつたけご飯をよく作ってくれたのですが、その頃のことでも思い出したのかなと思ったり。

我家は、鶏もも肉をダシにして、油揚げもちょっと入れます。醤油・塩・酒の分量は母の秘密です。水加減は熟練の技が必要です。まつたけから水分が出ますから、難しいんです。
炊飯すると、家中がいい香りになりますね。それだけで既に幸せ、炊けたらもっと幸せな気分です。

で、食べたら、おいしい!
3本も奮発した甲斐がありました。しいたけご飯とは全然違います(笑)。
またたくまに、私はごはんをお代わりです。すると、母も茶碗を差し出すではありませんか。うれしくなって、まつたけをメインによそってあげました。

母もたくさん食べられたことが自信になったみたいだし、私は久々に食欲を取り戻してくれたのがうれしくて、まだまだ大丈夫じゃないかと思ったり。。。

というわけで、なんだか毎週、まつたけを買うようになりました。私は精一杯仕事をして、毎週、「まつたけ残業」をしました。そうして残業代の分だけ、まつたけを買って帰りました。残業するのは辛いけれど、小さな幸せを噛みしめた時期でもあります。

今年は、まつたけの香りがとても悲しい。

まつたけから遠ざかろうとしても、香りが追ってくるんです。もう、まつたけご飯を食べたくなるようことはないのかな・・・。

母の納骨のため、妹たち夫婦がやってきました。今年生まれた姪っこを連れてです。夕飯のメニューは何にしようか、、、やっぱり、まつたけご飯にしました。妹は育児でてんてこまいだし、ご飯が大好きなんです。たっぷりと食べさせてあげたくなりました。

離乳食の始まった姪っこに振り回されながら、皆で食べるまつたけご飯。姪っこの機嫌取りで体力を使います。へとへとになって、皆、ご飯のお代わりです。赤ん坊がいると、しんみりとした気分はどこかに飛んでいってしまいます。赤ん坊って、生きるエネルギー全開なんですよね。

おそらく、一人で食べると悲しくなったことでしょう。でも、皆で食べるとおいしい。
今年もまた、私は小さな幸せを味わうことができました。
まつたけご飯が、悲しい思い出とならずに済んでよかったなあ。


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なかのひと

This blog “The salon of breast cancer women authored by Noe:l” is able to read in Japanese:-)