西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

まかしょ

2010-03-29 | 長唄の歌詞を遊ぶ (c) y.saionji
33ー「まかしょ」その3

『屏風の外に新造が
 祭りも知らず 寝の権現
 櫺子の隙間 洩る風は
 遣手に忍ぶ空き部屋の
 小隅に誰を松の尾明神
 地色は坂本山王の
 二十一二がか客取り盛り
 間夫は人目を関明神
 奇妙頂来さんげさんげ』


●屏風の向こうでは新造が、姉さん女郎のお茂りもかまわず寝入っている。
 張り見世の格子先に風が吹き込みむ夜中、遣手婆アの目を盗み、
 空き部屋の隅で女郎が密かに待つのは、土地の情人、坂本はん。
 二十一二才が一番の稼ぎ時、間夫は人目を避けて来る。
 南無阿弥陀仏、なんまいだ。

新造とは、遊女の妹分のこと。
姉さん女郎の世話をしながら、太夫をめざす。
禿から段階を踏んで新造になる者もいれば、
十五、六で年奉公に出て、いきなり新造からスタートする者もいる。

いやな客の相手もしなければいけない遊女の、
勤めの憂さをはらすのが、間夫といわれる情人。
地色も間夫は間夫だが、その土地に住んでいる、いわゆるすぐに間に合う近場の男。

滋賀県大津の坂本に、日吉大社(山王神社)がある。
全国、日吉・日枝・山王神社の総本宮であり、二十二社の一。
二十二社は皇城鎮守の神として、おもに畿内から選ばれた神社のこと。
京都にある松の尾明神(松尾大社)も二十二社の一。

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tea breaku・海中百景
photo by 和尚
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