48-「秋の色種」その2
昔昔(戦国時代)、中国楚の国に懷王という王様がいました。
ある日家来を連れて雲夢(うんぽう)という所に遊びに出かけました。
そこは遠くに巫山を望むすばらしい眺望の場所です。
王は疲れてしばし昼寝をしたのですが、夢のなかに何とも美しい女性が現れ、
「私は天帝の娘ですが、嫁に行く前に死んでしまい巫山に祭られました。
王がここに遊びにいらっしゃると知り、尋ねてまいりました。
どうぞわたしを女にして下さい」
というのです。
王はその娘と夢で契り、しばし楽しい時を過ごしました。
そして分かれ際に娘が言うのです。
「朝には雲となり、夕べには雨となってあなたをお慕い申しておりますわ」
目を醒ました王は娘を偲んでそこに廟を建てて、朝雲と名づけました。
娘は巫山の神女といわれ、ここから「巫山の夢」「巫山の雲雨」「朝雲暮雨」
などの言葉が生まれたが、いずれもが男女の情交を意味する。
『夢は巫山の雲の曲
雲の曙 雨の夜に
移すや袖の蘭奢待
留めつ移しつ睦言も』
●あの人と寝る夜、袖に焚いた蘭奢待の香りが移り香となって、まとわりつく…
南部公はさすがにインテリだ、いともさりげなく“巫山の夢”を持って来た。
〓 〓 〓
tea breaku・海中百景
photo by 和尚
昔昔(戦国時代)、中国楚の国に懷王という王様がいました。
ある日家来を連れて雲夢(うんぽう)という所に遊びに出かけました。
そこは遠くに巫山を望むすばらしい眺望の場所です。
王は疲れてしばし昼寝をしたのですが、夢のなかに何とも美しい女性が現れ、
「私は天帝の娘ですが、嫁に行く前に死んでしまい巫山に祭られました。
王がここに遊びにいらっしゃると知り、尋ねてまいりました。
どうぞわたしを女にして下さい」
というのです。
王はその娘と夢で契り、しばし楽しい時を過ごしました。
そして分かれ際に娘が言うのです。
「朝には雲となり、夕べには雨となってあなたをお慕い申しておりますわ」
目を醒ました王は娘を偲んでそこに廟を建てて、朝雲と名づけました。
娘は巫山の神女といわれ、ここから「巫山の夢」「巫山の雲雨」「朝雲暮雨」
などの言葉が生まれたが、いずれもが男女の情交を意味する。
『夢は巫山の雲の曲
雲の曙 雨の夜に
移すや袖の蘭奢待
留めつ移しつ睦言も』
●あの人と寝る夜、袖に焚いた蘭奢待の香りが移り香となって、まとわりつく…
南部公はさすがにインテリだ、いともさりげなく“巫山の夢”を持って来た。
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tea breaku・海中百景
photo by 和尚