西園寺由利の長唄って何だ!

長唄を知識として楽しんでもらいたい。
軽いエッセイを綴ります。

角兵衛獅子

2010-04-15 | 長唄の歌詞を遊ぶ (c) y.saionji
50-「角兵衛獅子」(1847・弘化4年・市村座)


皆さまご存知の「忠臣蔵」、
その五段目“山崎街道の場”に“二つ玉”の部分がある。

婿の勘平を、仇討ちの同士に加えてやりたい一心の与市兵衛は
そのための金を工面するべく、
娘のおかる(勘平の女房)を、京の遊郭一文字屋へ身売りさせる話をつけ、
身売り金の半金50両を懐に、山崎街道を家路に急いだ。

日はどっぷりと暮れ、真っ暗闇の山の中。
突然現れた山賊(塩谷判官に勤めていた勘平の同僚で、
今や浪人に落ちぶれた、斧定九郎)に襲われた与市兵衛は
懐の50両を奪われた上、死んでしまった。

財布を手ににんまりする定九郎、そこへふいに猪が襲ってきた。
急いで茂みに隠れる定九郎。

たまたまそこを通りかかった猟師の勘平は、ざわざわという茂みの音に、
「すわや猪」と、火縄銃をかまえて二発打った(だから”二つ玉”という)。

玉に当った定九郎は死に、勘平は懐の50両を奪って、
仇討ちに加えてもらおうと千崎弥五郎の元に急いだ。

この場面を捩ったのが「角兵衛獅子」だ。
鉄砲に当たることから連想した、“当りものづくし”、が洒落ている。

『当たるものには何何ぞ
 竿を並べて陸釣りの
 浮きに川魚 置き炬燵
 こしゃく娘の袖づまに
 ちょっと小当り 
 ドドンがかっちり 揚弓場
 又も当たるは 八卦に河豚汁 蕎麦田螺
 当たり文句で女郎衆の手管
 内のかか衆が八つ当たり
 悋気おしゃらば
 きりりと回して柔の手
 当たりどおし』 

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tea breaku・海中百景 
photo by  和尚

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