4-「百夜車」
市村座の秋狂言に、金井三笑が書いたのが「百夜車」(1765・明和2年)。
小野小町に恋をした、深草少将の百日通いを題材にした曲で、
明日で満願という、九十九日目の小町詣でを描いたもの。
『さればにや少将は 百夜通えと夕月の
傘に降る雪 積もる雪 恋の重荷と打ち担げ
涙のつらら 解けやらぬ 君の心は浮世川
渡りかねたる砂川や』
●というわけで、少将は小町に「百日通えば心を許しましょうぞ」と言われたのだ。
日暮れて通う少将の、傘に積もる雪、ああ、これが恋の重さか…
ぼろぼろと頬に落ちる涙は、冷たいつららとなり、解ける間もない。
小町様、あなたの心には、深くて冷たい川が流れている。
その川を、必死で渡ろうとしている私を哀れと思いませんか。
ちなみに、比叡おろしの吹きすさぶ雪の中、
やっとの思いで小町のもとにたどり着いた少将は、翌満願の日にむなしくも病に倒れ、
思いをとげることなく、みまかったのだとか。
〓 〓 〓
tea breaku ・海中百景
photo by 和尚
市村座の秋狂言に、金井三笑が書いたのが「百夜車」(1765・明和2年)。
小野小町に恋をした、深草少将の百日通いを題材にした曲で、
明日で満願という、九十九日目の小町詣でを描いたもの。
『さればにや少将は 百夜通えと夕月の
傘に降る雪 積もる雪 恋の重荷と打ち担げ
涙のつらら 解けやらぬ 君の心は浮世川
渡りかねたる砂川や』
●というわけで、少将は小町に「百日通えば心を許しましょうぞ」と言われたのだ。
日暮れて通う少将の、傘に積もる雪、ああ、これが恋の重さか…
ぼろぼろと頬に落ちる涙は、冷たいつららとなり、解ける間もない。
小町様、あなたの心には、深くて冷たい川が流れている。
その川を、必死で渡ろうとしている私を哀れと思いませんか。
ちなみに、比叡おろしの吹きすさぶ雪の中、
やっとの思いで小町のもとにたどり着いた少将は、翌満願の日にむなしくも病に倒れ、
思いをとげることなく、みまかったのだとか。
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tea breaku ・海中百景
photo by 和尚