ノアの小窓から

日々の思いを祈りとともに語りたい

高倉健

2014年11月19日 | 思い出




      その人のことを、実際には何も知らないのに、亡くなったと聞いて
      喪失感を覚えることがあります。

      
      何十年も生きていると、そのような人ばかりで、
      「忘れがたい人の名簿」が出来上がっているのですね。

      私の脳裏をよぎった有名人や「噂の人」は、じつに、数えきれないのでしょう。だから、

      過去の歳月をたどるとき、まるで、古い本棚をひっくり返したように、
      次から次へと時代の人の顔や名前が浮かびます。
      中でも、とりわけ、そそり立つ名前だったと、思うのです。


           高倉健さん


      健さんは、大人の男だった。年上の従姉妹や母なんかが大ファンだった。
      
      当時、心が子供の私は、いずまいの正しいちょっと悲しげなイケメンの顔に、
      まだ、共感を結ぶことができなかった。

      訃報に合わせて、健さんのインタビューが再放送されていた。
      文化勲章を受けた時
     「自分は前科者の役が多かったのに、このような褒賞をいただいて・・・」
      とのコメント。


       網走番外地とか、やくざ映画は見た記憶がない。
       だのに、しっかり、その時代の健さんもまぶたに残っている。
       一世を風靡するというのは、日差しのように、ある時代をおおっていることかもしれない。、      


               ◎   ◎   ◎



       二年前、友人と健さん主演の「あなたへ」を観に行った。
       八十歳と聞いていたので驚いた。
       少しも変わっていない。

       「いずまいの正しさ」がしっかりと存在していた。
       ちょっと悲しげなイケメンぶりに、人生の風雪までがにじんでいた。

       後姿がまっすぐで、吹き替えかしらと思うほどだった。坂道を歩くときも息切れはなかった。

       相変わらず、私には無縁の、孤高の人に見えたけれど、それが、また、胸に迫ってくる。

       じっさいには出会わない方が良い相手ってあるんですね。

       だから、大スターなんですね。